a0960_008407_m
   


歴史を見る上で、欠かせない視点の一つは経済であろう。だが、政治学だけしか専攻しなかった人の見解は、著しい偏りが見られる。韓国の反日論においても、日韓併合時代の経済発展のすべてを無視し、ただ日本に搾取されたと主張している。日本によって、近代化が進んだという視点をすべて無視した議論を行なっている。およそ、実証科学でなく想像の世界である。

 

朝鮮の近代化の基盤が、日本の財政負担で作られたという事実すら抹殺している。こういう歴史に向き合う態度が、公平であるはずがない。良い面も悪い面もすべて飲み込んで理解する。その時はじめて、朝鮮の発展史が身近ものとして理解できるであろう。

 

日本人学者が、中韓経済が危機に瀕している事実を忘れ、とんでもない見解を韓国紙『ハンギョレ新聞』のインタビューに答えている。日本の政治学者が、中韓経済についてその構造的な脆弱性も知らずに評価しているのだ。その姿は、気の毒にすら見える。日本では、中韓のGDP成長率が高いから、中韓を羨んで反感を持っていると主張している。この日本人学者に、経済の素養が少しでもあれば、こうした恥をかかずに済んだと思う。

 

中韓の読者でも、日本と中韓の経済発展の段階が異なっているぐらいのことは知っている。人間に喩えれば、初老の人間(中韓)は高齢者(日本)よりも身のこなしが早いもの。その中韓の体力が急に衰え、日本の後を追っているのだ。現実には、年齢差を超えて日本の方が健康体である。失業率は、日本の方がはるかに低いことで立証済みである。日中韓の体力比べでは、中韓の衰えが目立つ。

 

『ハンギョレ新聞』(10月17日付)は、「日本社会に横たわる韓中への嫉妬、韓日関係を難しくする」と題する記事を掲載した。

 

筑波大学の進藤榮一名誉教授は、アジア未来フォーラム初日の今月23日午後「東アジアの新たな秩序と平和」と題して中国・清華大学人文学部の汪暉教授と特別対談を行う。進藤教授は米国外交、アジア地域統合、国際政治経済学の専門家で、現在は国際アジア共同体学会代表、『一帯一路』日本研究センターのセンター長も務める。フォーラムでは、アジアの持続可能な未来のためにどのように協力すべきかに焦点を当てる予定だ、という。

 

(1)「進藤教授は最近のハンギョレとの電子メールでのインタビューで、安倍晋三首相をはじめとする保守政権だけでなく、日本社会全般に広がっている「潜在的嫉妬」感情が韓日関係を悪化させると説明した。進藤教授は「日本のバブル崩壊後、急速な経済発展に成功した中国と韓国に対する『潜在的嫉妬』が日本社会にある」と指摘する。同氏は「韓国、中国の経済発展と日本の長期低迷期間が重なる。『ジャパン・アズ・ナンバーワン(世界一の日本)』が終わりをむかえたことで、政府、財界、メディア、一般国民の間で中国、韓国に反発する感情が高まり始めた」という」

 

日本人が、中韓に経済面で嫉妬しているという「進藤説」は、初めて聞く話である。韓国を喜ばせるという意図によるのでないかと疑うほどである。国民1人当りのGDPを持出すまでもなく、日本と中韓の差はある。この差は今後、逆転するだろうか。潜在的な経済発展性は、合計特殊出生率で大方の見当がつくもの。この値が、日本は「1.4台」であるが2025年までに「1.8」へ引上げる総合的な施策が行なわれている。幼稚園から大学まで、教育費の無料化がその推進役である。

 

中韓の合計特殊出生率はどうか。中国は、低下しすぎて公表を取り止めてしまったほどだ。推計では、「1近辺」とされる。韓国は昨年で「0.98」で世界最低である。今年はさらに悪化して「0.89」と見られる。合計特殊出生率一つ見ても、中韓は日本よりも低く、経済発展力は息切れ状態である。学者であるならば、この程度の基本データを抑えて発言すべきだ。

 

(2)「日本社会の世代変化も影響したと分析する。日本の植民地支配など「戦争を知らない世代」が日本社会の主流となり、「日本が犯した歴史の過ちを忘れて狭い意味での『愛国主義』に閉じ込もっている。従軍慰安婦(性奴隷)、強制徴用問題などを解決しない日本を見る時、アウシュビッツの歴史的誤りをいまも謝罪し続けているドイツとは対照的」と指摘する。そして、進藤教授は「本当に心配だ。日本がアジアと世界の信頼を失うことになるだろう。困難であっても韓日の知識人、報道関係者、政治家、経済人が活発に交流し、連帯できる仕組みを作らなければならない」と強調した」

 

ドイツは、ユダヤ人を抹殺しようとした人類への犯罪である。日本の太平洋戦争が、他国領土を侵害した意味では深い反省が必要である。だが、その冒した罪を、ナチスと同列に扱う進藤氏の意図を疑うほかない。それは、日本の天皇の罪を問うという思想上の動機でないだろうか。日本が、再び軍事国家になるという認識は、世界情勢を見誤っている。集団安全保障時代に、日本一国が軍事国家になれば周辺から浮き上がり、集団安全保障体制は成り立たないのだ。

 

(3)「進藤教授は、米国が主導した世界秩序「パックスアメリカーナ」が終わり、世界の軸がアジアに移りつつあると主張する。これは中国の「一帯一路」を念頭に置いたものだ。一帯一路とは、2013年に習近平主席がカザフスタンを訪問して初めて提起した構想で、古代シルクロードのように内陸と海洋に多様な道を作ってユーラシアとアフリカ大陸を一つに繋げようというものだ。進藤教授は「一帯一路は軍事的同盟ではなく、社会的・経済的関係をもとに信頼を築いて、貧困を解消し、テロの可能性を縮小し、地球環境の持続可能性を高める方向に進もうというもの。中国だけでなく日本、韓国が参加してシンクタンクの設立など積極的に取り組むべき」と述べた」

 

下線をつけた部分は、中国共産党の代弁にすぎない。「一帯一路」が、中国による「債務漬け」を引き起こしている事実に何の疑問も持たないのは、学者としての公平性に欠けると見る。私も研究を志す一人として、余りにも研究スタンスの違いに驚くのだ。