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中国は景気循環で自壊過程

過剰債務で信用危機同然へ

中国の覇権宣言が墓穴掘る

米国内3タカ派が結集する

 

中国の7~9月期のGDP伸び率は、事前予想の前年比6.1%を下回る6.0%に終わった。李首相は、これまで「6.0%成長も大変」と漏らしてきたが、その通りの結果である。中国経済がここまで追い込まれてきた背景に、いくつかの要因がある。

 

中国は景気循環で自壊過程

第一は、景気循環要因である。在庫投資と設備投資の循環過程で、両者がボトム期にぶつかっていることだ。在庫循環(キチン・サイクル)は、約4年周期で起こるもの。生産過剰が生産者価格(卸売物価)を下落させて、自律的に生産を調整する効果がある。生産者価格は、すでに8~9月と連続で前年比マイナスに落込んでいる。この現象は始まったばかりだ。これから値下がりが本格化する。

 

日本経済の高度経済成長期(1960~80年代前半)は、この在庫循環を巡ってエコノミストは白熱の議論を展開した。こういう在庫循環は当然、中国経済にも当てはまる。過剰生産基調の中国経済では、在庫循環の動きがGDP成長率に大きな影響を与えるであろう。一般的に、「景気サイクルは4年」と言われているものがこれである。

 

設備循環(ジュグラー・サイクル)は約10年周期である。前半の5年は設備投資が上昇過程に乗り、後半の5年は緩やかに下降して、10年目にボトムをつける。中国は、10年目ごとに社会騒乱が起こっているが、設備循環のボトム期と一致している。私は、この事実に気付き、メルマガ21号でそれを具体的に示した。

 

1949年 中国共産党が政権を奪い、中華人民共和国が誕

1959年 チベット蜂起の発生

1969年 中国とソ連が国境のウスリー川のダマンスキー島で大規模軍事衝突

1979年 中国がベトナムに対して宣戦布告した中越戦争勃発

1989年 天安門広場で民主化を求める学生と市民を武力鎮圧する

1999年 中国当局は伝統気功、法輪功学習者へ弾圧政策開始

2009年 新疆ウイグル自治区ウルムチで大規模暴動

2019年 米中経済の衝突と新冷戦時代へ

(以上は『大紀元』による)

 

「9の付く年」の実質GDP成長率を上げると、次のようになる。

 

1979年 7.6%

1989年 4.2%

1999年 7.6%

2009年 9.2%

2019年 6.0~6.5%(政府予想)

 

中国は、昨年12月20日で改革開放40年を迎えた。この間の平均GDP成長率は9.5%と発表。この9.5%と前記の「9の付く年」の成長率を比べると、いずれも平均値に達していない。これは、成長率が鈍化した結果を示している。この事実は、約10年周期で起こる設備循環の存在を証明するものだ。設備投資が落込む時期は、投資需要の低下を意味するので、GDP成長率は落込んで当然である。

 

2019年は、在庫循環ボトム期と設備循環ボトム期が重なり合う「最悪期」に当る。これは、20年に1度の確率で起こることだ。ちなみに、前回の1999年前後の実質GDP成長率は、次のような推移であった。中国経済史で、珍しい「停滞期」である。

 

1996年10.0%

97  9.

  98  7.

  99  7.

2000  8.

   1  8.

   2  9.

   3 10.

   4 10.

 

在庫循環と設備循環が重なり合うと、以上のようにその前後で数年にわたり成長率のジグザグを描いている。ここから推測されることは、今後の中国経済が容易ならざる事態にはまり込むであろうという予測だ。上のデータで分るように、1997~2003年までの7年間もGDP成長率が停滞した。今後の中国経済に起こっても、なんら不思議ではないのだ。(つづく)