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韓国は、11月22日のGSOMIA(日韓軍事情報包括管理協定)失効を前に、大慌てである。日本による韓国の「ホワイト国除外」に対抗して、GSOMIA廃棄を決めた。その後の北朝鮮による度重なるミサイル発射は、皮肉にもGSOMIAの必要性を証明している。

 

大統領府の民族主義者は、感情論に突っ走ってGSOMIAに手をかけたが、安保論から言えば下策そのもの。感情論で国家の安全は保障されないからだ。今、韓国はGSOMIA復帰の大義名分を求めて必死である。気の毒に思うほどだ。米国の地政学的安全保障論の専門家が、韓国紙のインタビューでGSOMIA復帰を薦めている。

 

『中央日報』(11月4日付)は、「韓国、在韓米軍は必要、防衛費分担金50億ドルは本当に安い」と題する記事を掲載した。

 

国際地政学戦略家のピーター・ゼイハン氏は、インタビューで「シェールガス開発でエネルギー自給の夢を実現させた米国はもう世界秩序の維持に関心がない。米国の同盟はそれぞれが生き残る道を探らなければいけない」と述べた。著書『シェール革命とアメリカのない世界』で主張した内容と同じである。ゼイハン氏の主張は「韓国は夢から覚めるべき」だった。元外交官のゼイハン氏は民間情報機関ストラトフォーで副社長を務め、2012年に安保コンサルティング会社を設立した。顧客は世界多数の政府・軍・企業だ。

 

ここでは、日韓関係を中心に取り上げた。

 

(1)「(日韓摩擦で)歴史の問題は分かるが、冷静に話すべきだ。日本は、海洋強国であり米国内のFDI(外国人直接投資)上位を争う国で、韓国を必要としない。しかし、韓国は日本が必要だ。韓国が日本に勝てない理由だ。いま韓国は日本中心産業および外交・安保構造から必死に抜け出そうとしているが、意味がない。ギアを早く切り替えるべきだ。日本と手を握らなければ国家の生存が危うくなる」

韓国は、日本経済の隠れた実力を知らないで、「NO JAPAN」などと気楽に言っているが、とんでもない話だ。その一例を挙げる。

 

対外直接投資から対内直接投資を差し引いた「直接投資収支」は、1333億0400万ドル(2018年)で、何と世界一である。これだけの巨額資金が正味で、1年間で世界中に投資され、世界経済の成長に寄与している。韓国の「直接投資収支」は、244億3800万ドル(2018年)で、日本の18%に過ぎない。この直接投資収支から見て、日本経済は世界中に根を張っていることが分る。

 

世界中が、堅実な「ジャパン・マネー」の投資によって、経済発展を願っているのだ。韓国は、こういう現実も知らないで「NO JAPAN」などと小馬鹿にしているが大間違いだと筆者は言っている。

 

「直接投資収支」が世界一であれば、その果実である「所得収支」はどうか。日本は1891億0800万ドル(2018年)で世界2位である。直接投資収支を上回る所得収支を上げている。ちなみに、1位は米国の2539億8100万ドルである。米国は、基軸通貨国としての強味を発揮していることと、投資眼力が高いのであろう。

 

韓国の所得収支は、27億7800万ドル(2018年)である。日本の1.5%に過ぎない。この韓国が、隣国日本を「克日」と称して喧嘩を売るのは常識に反した行動だ。インタビューでは、「日本は、海洋強国であり米国内のFDI(外国人直接投資)上位を争う国で、韓国を必要としない。しかし、韓国は日本が必要だ。韓国が日本に勝てない理由だ」と指摘しているのは、以上の説明で納得できるであろう。


(2)「韓国は生存のためにGSOMIAを維持しなければいけない。大変な効力があるからではなく、米国なしにも韓日が外交・安保協力ができるという象徴だからだ。過去の米国政府であればGSOMIA破棄直後に仲裁したが、今はそうでない。状況はさらに悪化するだろう」

 

韓国は、生存のためにGSOMIAが必要だと言っている。日本が、前記のように世界中に直接投資をしてふんだんに「果実」を収穫している経済力を擁している。このことからも、日本は米国なしで外交や安保協力できる能力を持っている。だから、米国は日本に仲裁がましいことを控えているのだ。韓国は、こういう隠れた「実力国」日本と喧嘩をしないで、素直にGSOMIAを結んでいた方が身の安全である、と示唆している。「反日」韓国には、耳の痛い話であろう。