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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

日本との歴史を直視する

日韓経済関係の110年

歴史問題が経済を抑制へ

韓国は日本の永久技術圏

 

日本が、韓国への輸出手続き規制を始めてから、10月11日で100日目であった。韓国メディアは、韓国への損害がなかったと報じ、「克日」を自画自賛した。日本製品は韓国で売れず、損害を被っているとボルテージは上がるばかりだ。韓国が、そう受け取っているのであれば、「日本悪者説」が薄められて結構である。

 

日本との歴史を直視する

その韓国では最近、自らの歴史を冷静に顧みようという雰囲気が出てきた。関連書物が相次いで販売されているからだ。需要があるから、書籍の出版が行なわれているに違いない。日韓併合時代に生きた人たちが、次第に減ってきたことも歴史を感情でなく、事実として受け止める精神的な余裕が出てきたと見られる。

 

韓国で、『監国大臣袁世凱』という新刊本が出た。『朝鮮日報』(11月10日付)の書評では、次のように紹介している。

 

韓国人の大部分は現在、朝鮮の亡国と自主的近代化の挫折を日韓併合のせいだと感じている。それは、間違いだと主張しているのだ。実は、清国の袁世凱による国権蹂躙の方が、大きな害悪を朝鮮に及ぼした、と著者は主張している。

 

清(1616~1912)は建国以来、朝鮮の宗主国たることを自任しても、袁世凱派遣以前は事大を要求するだけだった。しかし、西欧列強が清国に押し寄せるや、清は強要された秩序を朝鮮に適用し、実質的な朝鮮属国化を推進した。特に、経済的に従属させるために、朝鮮政府の借款交渉を妨害し、外交官の派遣すら封じ込めた。

 

袁世凱(1859~1916)は米国・英国・フランスなどから借款を受けようとする朝鮮の試みを妨げるだけだったのでなく、代わりに清の資金を借りて使えと強要することで、朝鮮に対する影響力強化を企てた。こういうことになった裏には、放漫かつ贅沢な朝鮮王室の暮らしと、それに伴う借金財政という恥部が隠れていた、と指摘する。

 

『監国大臣袁世凱』では、朝鮮王室の経済運営能力の不足を突くことで、朝鮮自身が清やそれに代わる日本の支配を受けざるを得なかった背景を事実として立証したのであろう。これまでの韓国は、「悪いのは日本帝国主義(日帝)」であると一刀両断。朝鮮は、被害者であるという立場であった。朝鮮自体の抱える政治的・経済的な問題点が、大きかったという指摘は珍しいのだ。

 

この遅れた朝鮮が、日韓併合によって近代化への道を歩む。韓国は、この過程を全否定している。「ローマは一日して成らず」である。韓国が、独立(1945年)後にめざましい経済発展を遂げたのは、その前段である日韓併合による近代化路線を歩んでいたからこそ可能になったものだ。これを認めるならば、韓国は日韓併合時から日本と一緒の道を歩んできたことになる。これが、歴史に対する真っ当な評価であろう。

 

日韓経済関係の110年

韓国経済は日韓併合以来、日本と同じ産業構造高度化の道を歩んできた。これが否定できないとなれば現在、にわかに「反日」を理由に素材の自給体制を構築宣言しても不可能である。これまで、日本から中間財の供給を仰いできた背景に、それを必要とする合理的な理由があったからだ。「反日」という一時の感情論で、日本からの供給を絶ち「素材自給」を実現させる合理的な理由が見つからないのだ。その理由については、後で取り上げる。

 

韓国政府は、日本の輸出手続き強化をきっかけにして、中長期的に自国で素材・部品・装備の関連競争力を育成するとしている。半導体関連分野の研究開発(R&D)予算を毎年1兆ウォン(約900億円)以上投資する。20大品目は1年以内に、80大品目は5年以内に供給を安定させるとの目標を設定した。過去もそうだったが、政権が代れば目標達成の熱意が薄れるのが常。そこに、経済的な合理性がないから当然なのだ。(つづく)