あじさいのたまご
   

韓国与党「共に民主党」は、法相「チョ・グク事件」の後遺症に苦しんでいる。20~30代の民心の離反が深刻であるからだ。この若者世代の人心を取り戻せなければ、来春の総選挙で勝利を収めることは不可能と言われている。「20年間政権維持」という妄念から、「積弊一掃」を掲げて保守派の根絶を狙ってきた。反日運動もその一環である。徹底的に日本を叩き、返す刀で韓国保守派を同根として切り捨てる積もりだったのだ。

 

疑惑の多かったチョ・グク氏は、世論調査では進歩派の圧倒的支持を受けているという理由で、文大統領はあえて法相に任命した。結果的に、家族の不正発覚により30日で辞任という最悪事態に終わった。この問題は、進歩派への疑念を生んでいる。朴槿惠政権と文在寅政権とどこが違うのかという根本的な疑念である。

 

『中央日報』(11月13日付)は、「批判的欧州進歩、守旧的韓国進歩」と題するコラムを掲載した。筆者は、チョン・サンドン韓国外国語大学政治行政メディア大学院招聘教授である。

 

(1)「欧州では1968年の学生運動で新左翼(ニューレフト)が胎動し進歩の革新が始まった。その底辺には批判精神が流れる。ソ連式社会主義も労働の解放を構造的に抑圧するとして批判し正統性を認めなかった。欧州の左派は北朝鮮を社会主義国と見ない。首領を神格化する唯一支配体制であるためだ。マルクスの唯物論的歴史観によると北朝鮮は資本主義より先に克服されなければならない体制だ。北朝鮮は巨大な監獄だ。韓国ドラマを視聴して発覚すれば公開処刑されたりもする。それでも韓国進歩は北朝鮮の人権状況に沈黙する。旧西ドイツは統一前に東ドイツの人権状況に沈黙しなかった。韓国の進歩は南北関係改善のためやむを得ず戦略的にアプローチすると話したいが、国際社会はこれを理解できない」

韓国進歩派を痛烈に批判している。北朝鮮の人権問題に沈黙し、ひたすら北朝鮮の弁解・代理人を務めているからだ。この原因は、韓国進歩派のエセ社会主義にある。それは、北朝鮮の「チュチェ思想」という個人崇拝・独裁主義が、南北分断という悲劇を克服する接着剤と信じているからだ。要するに、韓国進歩派は単純な民族主義集団であり、金一族による朝鮮統一という夢を抱いている集団と規定できよう。欧州左派とは、思想・哲学など全く異なる政治集団と言える。その頭目が、文在寅氏だ。

 

(2)「北朝鮮のあらゆる非正常な形態を容認・黙認して彼らが一流国家になることを期待するのは愚かだ。南北関係の正常化を望むなら南北間で行われることが国際社会の普遍的基準に合致するのかから確認しなければならない。ところが韓国進歩は北朝鮮の侮辱と威嚇には沈黙して北朝鮮を弁護・代弁したりもする。韓国社会で欧州の進歩のように北朝鮮を批判すれば冷戦守旧保守扱いされる。失敗した社会主義モデルの代案を探すため絶え間ない批判精神で自己省察と革新を追求する欧州の進歩の見方では想像できない時代錯誤だ。韓国的進歩の後進的で守旧的形態だ

下線を引いた部分は、韓国進歩派が保守派以上に守旧であることを示している。北朝鮮を一切批判せず、批判者を逆に「冷戦守旧保守」として排撃する。その戦闘集団が、労組と市民団体である。これらが、反日集団として組織的な日本非難運動を世界中に繰り広げている団体でもある。ともかく、豊富な資金を持っている。市民団体は、文政権に原発廃止を迫り、太陽光エネルギーに巨額の補助金を流し込ませた張本人である。

 

こういう「あくどい」やり方で資金を作ったのは、今後20年間も「共に民主党」政権を続けさせる野望を実現させるためだった。最低賃金の大幅引上げが、雇用構造を破壊しても手直しを拒否した理由は、支持団体の労組へ利益誘導を図る目的であった。こうした政権維持のため、国民を犠牲にしても構わないという発想法は、北朝鮮の金一族と同じである。

 

韓国進歩派が、西欧進歩派と同列に語れないのは当然であろう。韓国進歩派は、進歩というイメージを悪用して北朝鮮の金一族を理想型として描いている。ここには、批判精神など、最初から持ち合わせていない「事大主義一派」とも呼べよう。

 

(3)「韓国の政治発展の次元からも、進歩は真の社会的対案になれずにいる。手段と方法を問わず組分けして争い、自分と考えが違えば積弊と追い詰める狂気が社会を支配させたためだ。正義と真理を独占し支持者以外の国民とは疎通の門を閉ざす。過去の軍事政権時代に理念問題で弾圧を受けた韓国進歩が、理念対立解消に向けこれまで何か役割を果たしたという声を聞くことはできなかった。退行的韓国進歩の学習能力喪失を意味する」

 

韓国進歩派は、軍事政権と闘ったという勲章をぶら下げて、韓国保守派を軽蔑している。しかし、それももはや時効である。現在の政治行動が、下線を引いたような醜悪な振る舞いをしているからだ。文政権が発足して以来、「積弊という狂気」で、約20名の人々が侮辱に耐えきれず、自ら生命を絶ったという。こういう社会的な拷問を行いながら、正義と真理を独占するような言動が、20~30代の若者に理解されるか疑問である。