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文在寅大統領の思慮の足りなさが招いたGSOMIA破棄は、韓国の国益に重大な損害をもたらそうとしている。米国が、礼を尽くして説得したにも関わらず、韓国は「日本憎し」の感情論から脱却できず、日米韓三ヶ国の安全保障体制に重大なひび割れを起こした。米国は、こう見ているのだ。韓国への報復案を検討していると伝えられる事態だ。

 

『中央日報』(11月21日付)は、「米上院、GSOMIA終了時、韓国に撤回要求決議案を提出」と題する記事を掲載した。


米国上院外交委員会のジェームス・リッシュ委員長(共和党)が日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了時に韓国に撤回を促す決議案を提出する計画だと明らかにした。リッシュ氏は20日(現地時間)、スティーブン・ビーガン国務省副長官指名者に対する外交委承認公聴会の冒頭発言で「一部の上院与野党の議員と一緒に決議案を出す」と話した。

 

(1)「決議案発議には外交委民主党幹事であるボブ・メネンデス議員と、共和党所属ジェームズ・インホフ上院軍事委委員長、ジャック・リード上院軍事委民主党幹事が参加するというのがリッシュ氏の説明だ。リッシュ氏は、「韓国は日本と核心情報の共有を終了しようとする、逆効果を出す措置を取ってきた」とし「我々はこの点において重要な時期を迎えた」と話した。続いて「GSOMIA終了は韓国に駐留した米軍の危険を増大させて韓米同盟を損なわせる」と付け加えた」

米国上院外交委員会が、韓国非難とGSOMIA継続を要求する決議案を提出する意向である。韓国の言っているGSOMIA破棄理由など、全く関心がないのだ。米国は、「GSOMIA終了は、韓国に駐留した米軍の危険を増大させて韓米同盟を損なわせる」という基本認識である。この前で、「日本が憎い」などと言う感情論が通るはずがない。米国の韓国への評価は、急落して当然であろう。

 

『聯合ニュース』(11月21日付)は、「GSOMIA終了間近、韓国の外交ダメージ懸念」と題する記事を掲載した。

 

米国の度重なる説得にもかかわらず韓国と日本の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が予定通り23日午前0時に失効することになり、今後の韓米関係への悪影響が懸念されている。韓国が8月下旬にGSOMIAの終了を決めたのは安全保障を理由とした日本の不当な対韓輸出規制強化を撤回させるための「勝負手」だったが、成果はなく、外交上の負担が増したと指摘される。

(2)「米国はこれまで「失望」と「懸念」を表明し、GSOMIA終了決定を覆すよう求め続けてきた。次第に批判のトーンを強め、ハリス駐韓米国大使は今月19日に聯合ニュースとの単独インタビューで「韓国がこの問題(日本との歴史問題)を安保領域に拡大させた」と述べてGSOMIA失効の責任が韓国にあることを明確にした。韓国は「安保上、信頼できないという理由で輸出規制措置を取った日本と軍事情報の共有は難しい」と主張したが、米国を納得させられなかった」

 

米国の認識では、GSOMIA失効の責任が韓国にあると明確にしている。これは、韓国にとって外交上、大きな負担になることは明らかだ。もっと遡れば、韓国大法院判決の不当性である。日韓基本条約で解決済みの問題を持出し、日本の責任にしたことは国際的な「司法自制論」に反するのだ。宮沢賢治の童話に登場の山猫裁判長と同類である。

 

(3)「米国はGSOMIAを、中国と北朝鮮に対抗するための韓米日3カ国協力のシンボル、中国をけん制するための「インド太平洋戦略」の基本的な枠組みとみなしている。さらには「韓国の防衛をさらに難しく、複雑にし、在韓米軍だけでなく韓国軍もより大きな脅威にさらされることになる」という米国務省の声明に表れているように、GSOMIAの終了を自国の安保に害を及ぼす行動とさえ受け止めている」

 

文在寅氏の認識は、日本が憎いからGSOMIAを破棄することだ。米国の認識は、米中冷戦の中で、米国の安保に害を及ぼすというグローバルなものである。こうなると、「分からず屋の韓国を懲らしめろ」と話が広がっても不思議はない。

 

(4)「韓国があくまでGSOMIAの終了決定を覆さなければ、米国は一段と強い批判を盛り込んだ声明を発表するとみられる。問題は、米国の不満表明が「声明」にとどまらない恐れがあることだ。セミナーのため訪米している韓国シンクタンク・世宗研究所のウ・ジョンヨプ研究員は21日、「米国から非常に強い声明が出されるだろう。声明だけで終わらせてはいけないというムードもあり、自動車関税問題などに影響が及びかねない」と話した」

 

韓国は、米国から経済制裁を受けなければ目が覚めないだろう。韓国が、最も嫌がる自動車関税引上げでショックを加え、「覚醒」させることである。自由と民主主義を守るためのコストと見るべきだ。日本が韓国に対して行なった「ホワイト国除外」など、初歩的で生温い措置であろう。