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米韓関係は、急速に冷却化している。朝鮮戦争をともに戦った意識は希薄になっている。文大統領の根底にある「親中朝・反日米」があるからであろう。今回のGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)問題は、この「親中朝・反日米」が典型的に表れた問題である。

 

GSOMIAは、日本との直接的な軍事情報交換である。これを破棄することによって、米国との関係を薄め、将来的には中朝へ接近するという腹案があるに違いない。進歩派政権が、今後20年間継続できるという前提で「積弊一掃」に取り組んでいるからだ。20年間継続させるには、政権の骨格を「親中朝・反日米」に染め上げなければならない。その第一弾が、今回のGSOMIA破棄と読める。

 

米国は当然、こういう見方を承知であろう。となれば、11月23日午前零時のGSOMIA失効時間前に、GSOMIAを翻意させる作業の一環として、駐韓米軍分担金の大幅引上げを同時並行で進める戦術を立てたに違いない。つまり、GSOMIAで翻意しなければ、「経済制裁」に移ることを臭わせている。

 

米国は、GSOMIA問題を米国の安全保障問題として捉えている。すでに、「米中冷戦」へ突入している結果だ。米国は「対中冷戦」と一言も言っていない。だが、米国の対中貿易戦争は、安全保障を目的とする経済制裁の一環と見るべきである。

 

米国が、中国に要求していることは、市場経済に基づく経済システムの構築である。こういう経済システムになれば、専制政治を放棄して普遍的価値観の国になるという前提がある。習近平氏はそれを拒否しているから、あえて関税を引き上げて、中国からの対米輸出を減らさせる経済制裁を実行しているものだ。

 

昨年5月の米中関税戦争が始まったとき、世界中で米国批判が渦巻いた。現在、そういう声は消えている。むしろトランプに賛成して中国の対外膨張政策に反対する人々が増えている。これは、自由と民主主義が将来、中国によって脅かされるリスクを感じ始めたからだ。今や、中国封じ込めの経済戦略と安保戦略が、世界の市民権を得て堂々と語られる時代である。

 

韓国文政権は、「親中朝・反日米」という1945年以降の北朝鮮「チュチェ思想」に染まり、正常な国際感覚を失っている。だから、GSOMIA破棄という驚天動地の政策にはまり込んで平然としているのだろう。米国が、経済制裁という痛みを加えない限り、目を醒ますことがないのだ。

 

『中央日報』(11月21日付)は、「知韓派のビーガン氏も 『韓国、安保ただ乗りはいけない』」と題する記事を掲載した。

 

米政府内の代表的な知韓派のビーガン北朝鮮担当特別代表が韓米防衛費分担金引き上げ圧力に加勢した。20日(現地時間)に開かれた米上院の国務副長官承認公聴会でだ。対北朝鮮政策を調整する韓米ワーキンググループ代表であり米朝交渉の米国側特別代表を務めるビーガン氏は、「韓国は我々の最も重要な同盟パートナーの一つ」としながらも「誰かは安保ただ乗りが許されるというわけではない」と述べた。

(1)「ビーガン代表の「安保ただ乗り」発言は、現在韓国が負担する防衛費分担金では足りないという趣旨を直接的に表したものだ。ビーガン代表はこの日、「我々は韓国とタフな交渉をしている」と明らかにし、防衛費交渉に真摯に臨んでいることを明確にした。ビーガン代表までが立場を明確にしたことで、防衛費に関連して米政府内ではすでに「不可逆的」な決定をしたのではという見方が出ている。国務省、国防総省の責任者が次々と防衛費引き上げを公開的に要求しているからだ」

 

韓国では当初、米軍が金銭問題を口にすると非難していたが、これは米国の意図を読み違えている。米中冷戦という息の長い「戦い」において勝利と収めるには、同盟国が米国頼みではダメであると諭しているのだ。同盟国自らが、中国の野望から身を守る決意を固めさせようとしている。

 

(2)「エスパー米国防長官は19日、在韓米軍撤収の可能性に言及し「韓国は防衛費分担金にさらに寄与できるはずであり、そうしなければいけない」と述べた。これに先立ちミリー統合参謀本部議長も「普通の米国人は、韓日両国に米軍を前方派遣するのを見て根本的な疑問を抱く」と発言した。ポンペオ米国務長官も「各国が安保のための責任を分担すべき」(8月24日)と述べ、早くから費用の問題に対する立場を各国に伝えてきた」

米国の軍人は、同盟国が安全保障のために「身銭」を切って自国を守れと迫っているのだ。今後の防衛には相当のコストが必要である。人口動態上、青年の減少をカバーするには高度の武器などの装備を必要とする。米国が、同盟国用に高コストの武器を全て揃えることは不可能である。同盟国は各国が、それぞれの分担を守りながら結束を必要としている。

 

このような視点で見れば、米国が韓国に対して高い駐韓の駐留費分担を求めるのはやむを得まい。金額で目くじら立てて米国と争うことではないだろう。それよりも、GSOMIAを継続して、日米韓三ヶ国の安全保障体制を維持することが、米中冷戦に不可欠である。