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下記の目次でけさ、発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

破天荒で未熟な韓国外交の素顔

米兵の犠牲で現在の韓国がある

歴史忘れた日中韓三カ国の悲劇

世界情勢より国内優先する韓国

 

韓国は、8月22日にGSOMIA(日韓軍事情報包括的保護協定)の破棄を決定、日本へ通告した。その失効期日は11月23日午前零時。ここに3ヶ月にわたって日米韓三カ国の間で外交戦が繰り広げられた。結論は、GSOMIA失効6時間前という瀬戸際で、韓国が「失効を一時延期」という決定を下した。これによりGSOMIAは、今も「生きている」わけだ。

 

破天荒で未熟な韓国外交の素顔

韓国が、GSOMIAを破棄する。こういう破天荒な決定をした背景とその後の混乱は、韓国外交の未熟さを露呈している。

 

韓国は、日本が半導体3素材の輸出手続き規制をした原因が、韓国大法院による日本企業への徴用工賠償判決の報復として反発した。外交問題に対して経済的な報復であるとの理由で、WTO(世界貿易機関)へ提訴した。一方、日本に対しGSOMIA破棄で対抗した。これは、半導体3素材の輸出手続き規制という経済問題を理由に、GSOMIA破棄という外交手段で対抗したものだ。

 

以上の関係を整理すると、次のようになる。

日本:徴用工賠償問題(外交)→半導体3素材の輸出手続き規制(経済)

韓国:半導体3素材の輸出手続き規制(経済)→GSOMIA失効(外交)

 

徴用工賠償問題は、日韓で起こった問題だ。GSOMIA失効は、日韓だけの問題に見えるが、日米韓三ヶ国の安全保障体制の根幹に関わる問題である。韓国は、この重大な関係を見落としていた。

 

韓国の「GSOMIA失効宣言」の際、米国が「遺憾の意」を表明した。それに対して、韓国大統領府が反駁したのだ。「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」と。米韓同盟の利益よりもGSOMIAを破棄して、日本に半導体3素材の輸出手続き規制を撤廃させる。これが国益だと豪語したのである。このとんでもない発言でその後、韓国は窮地に立たされた。

 

韓国大統領府の国際感覚のない発言が、「米中冷戦」(米国は、こういう意識で中国に対抗している)状態にある米国の認識を痛く刺激した。「韓国は、中国の味方になるのか」という怒りに火を付けたのだ。朝鮮戦争は、中国と北朝鮮が韓国を侵略した戦争である。韓国軍は一時、釜山一帯まで追い詰められたが、米軍や国連軍は体制を立て直し反撃に成功。現在の韓国が、残ったというのが歴史的事実である。

 

こういう事実を踏みにじって、「韓国には同盟の前に国益を守る権利がある」とはどういうつもりか。米韓同盟を守る意思があるのかという、疑念を生んだのである。これ以降、米国の韓国に向けた「GSOMIA継続」圧力は日に日に大きくなっていった。米議会、国務省、国防総省が総力を挙げて、韓国に翻意を迫ったのだ。最後の台詞は、「韓国がGSOMIAを継続しなければ、トランプ大統領がどういう発言をするか分らない」というもの。トランプ・ツイッター砲で直撃されたら、韓国の国際的な信用は確実に失墜したはずだ。

 

米国からここまで圧力がかかった背景は、前述の「米中冷戦」にある。中国は、米国の世界覇権を狙うと公言している。つい最近の習近平発言では、それを否定しているが、本心に変わりはないだろう。米中冷戦の舞台はアジアである。南シナ海や東シナ海での領土拡張を足がかりにして、米軍と覇権戦争する構想である。

 

こういう中で、韓国がGSOMIAを破棄すれば、日米韓三ヶ国の安全保障体制のシンボルが崩れるのだ。韓国は、三ヶ国の中から抜け出して中朝へ秋波を送る可能性も出てくる。米国が、こういう韓国を引き留めるには、強い圧力をかけざるを得なかった。経済制裁として、まず行なったのは、駐韓米軍の費用分担引上げである。来年については、今年の5倍の約50億ドルの請求書を突付けた。

 

また、韓国からの自動車輸入に関税をかけるという情報も流した。弱り目に祟り目の韓国経済にとって、「自動車関税」は恐慌をもたらすほどのパンチである。この一件によって、米国が韓国に対していかに怒っているかを分らせようとした。(つづく)