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米国は、確実に中国経済に圧迫を加える動きを強めている。中国企業が、米国市場へ上場して「米国資金」を利用することは、長い目で見て米国の国益に反するとの認識を強めているからだ。「敵に塩を送るな」という意味である。米国は、米国覇権に挑戦する中国の野望を許さない。そういう「冷戦思想」の発露だ。

 

中国電子商取引最大手のアリババ・グループは11月26日、香港証券取引所に上場し、初日の取引で875億香港ドル(約1兆2000億円)の資金を調達した。専門家は、米政府が中国企業に厳しい姿勢を示しているため、今後アリババのように香港株式市場に進出する中国企業が増えると推測しているほどだ。

 

アリババ株が、米国市場での増資を断念した背景は、米国が中国企業に厳格な姿勢を見せている結果だ。米中摩擦が、資本市場にまで広がっている。米国の対中強硬派議員は、米公的年金に中国株投資を見合わせるように法改正を準備しているほどだ。

 

米国資本市場から締め出される中国株は、香港市場へ上場してドル資金を調達する次善の策を取り始めた。だが、香港市場も安住の地ではなくなった。米国の「香港人権法」によって、米国務省が香港の「一国二制度」が守られているかどうかを検証する新たな関門ができた。違反事項があれば、米国が罰則を加える。

 

こうなると、香港市場も従来の自由闊達さを失いかねない。中国は、香港人権法でじわりと真綿で首を締められる形になってきた。米中冷戦で、中国がきわめて不利な事態に追い込まれることが確実である。

 

『大紀元』(11月29日付)は、「アリババが香港上場、中国企業は米株市場から撤退の始まりか」と題する記事を掲載した。

 

(1)「香港情勢が緊迫化した現在、中国巨大企業の香港株式市場への上場が注目を集めた。米サウスカロライナ大学の謝田教授は、米政府と議会が米上場の中国企業に厳しい姿勢を示したことで、「アリババも、その株主構成が米政府に知られることを危惧して、香港市場に上場したのではないか」との見方を示した。米国に亡命した中国人富豪の郭文貴氏は、江沢民元国家主席の一族がアリババやテンセントなど大手企業を実質的に掌握していると暴いたことがある」

 

アリババは2014年、ニューヨーク市場に上場している。そのアリババが、なぜ香港市場にも上場したのか。その狙いは、冒頭に説明したように米国に上場している中国企業の締出しで上場廃止のリスクが発生しかねないためだ。そこで、香港市場にも上場してリスク分散を図る目的だ。米中冷戦、ここまで現実味を帯び始めてきた。

 

(2)「米上院と下院は65日、米株式市場に上場する中国企業に米政府による監督を受け入れることを義務付ける法案を提出した。法案は、監査資料や財務諸表を提出しない企業は上場廃止されると規定した。投資家の張氏は大紀元に対して、「米政府からの圧力によって、アリババは米市場から香港市場に移らざるを得なくなった。アリババはまだ信用があるうちに香港に移ると決めたのだろう。上海や深センの株式市場ではなく、香港を選んだ理由はやはり米ドルを獲得したいからだ」との見方を示した」

 

米上院議員マルコ・ルビオ氏は、連邦公務員向け確定拠出年金(TSP)を監督する連邦退職貯蓄投資理事会(FRTIB)が、中国へのエクスポージャーを増やす判断を先送りしたことを受け、米政府による中国株投資を阻止する法案を計画している。エクスポージャーとは、市場の価格変動のリスクにさらされている資産の度合い(割合)である。ルビオ氏は、連邦公務員向け確定拠出年金が、中国株で運用されるリスクを阻止する法案を準備している。これには反対論もあるが、米中冷戦の中で実現の公算があろう。

 

(3)「台湾の経済金融評論家・謝金河氏は26日、フェイスブックに、アリババに続きテンセントや小米(Xiaomi、シャオミ)、百度、網易などの現在米市場に上場している中国大手IT企業も香港市場に新規株式公開(IPO)を検討する見通しだと投稿した。同氏は、アリババの香港市場上場は、「米中ハイテク技術新冷戦の始まりだ」との見方を示した」

 

アリババの香港上場は、他のIT関連企業で米国市場に上場している企業のトップバッターという位置づけである。

 

(4)「米有識者や当局者は米金融市場で資金を調達する中国企業への締め出し姿勢を強めている。今年3月に設立された外交政策組織、「現在の危険ー中国に関する委員会(CPDC)」の委員長を務めるブライアン・ケネディ氏は、1114日に行われた記者会見で、米中間の貿易不均衡よりも金融セクターにおける不均衡の方が深刻だとの見方を示した。同氏は「中国共産党は米国に経済戦争を仕掛けた。トランプ大統領は対中貿易赤字を強調しているが、対中金融赤字の方が重要だ」と話した。トランプ政権に、さらに厳しい措置を実施して米国から中国企業を排除するよう求めた」

 

米国では、米中間の貿易不均衡よりも金融セクターの不均衡が、深刻だとの見方が出始めている。これは、世界の金融センターである米国金融市場から、中国を閉出せという強硬論である。これが現実のものになれば、中国経済は日干しにさせられる。中国は、この厳しい現実を知らなければならない。

 

大紀元英語版は1031日の報道で、米国家安全保障会議(NSC)高官のロジャー・ロビンソン氏が、中国当局が米国金融市場から調達した資金規模は数千億ドルから1兆ドルに向かって拡大していると強い懸念を示したと伝えた。これは、対中国強硬論者にとって、またとない「情報」であろう。仮にこれだけの巨額資金の調達が、米国で不可能になれば、中国の外貨準備高は急減し、中国企業はバタバタと倒産し「地獄」を見る。中国経済は、「ジ・エンド」になる