中国は、韓国を属国と見ている。日韓併合時代の朝鮮は中国の手を離れたが、その間はわずか36年。超長期にわたる中国の支配を受けただけに、中国から見た韓国はやっぱり属国にしか過ぎないのか。こういう中国の不遜な態度に、韓国が怒りを見せている。
『ハンギョレ新聞』(11月29日付)は、「ミサイルを配備すれば禍招く、中国大使の発言は無礼だ」と題する社説を掲載した。
邱国洪・駐韓中国大使が11月28日、国会での講演で「米国が韓国本土に中国を狙う戦略的兵器を配備すれば、いかなる禍を招くかは、皆さんも想像することができるだろう」と語ったという。不遜なきわまりない態度である。こういうときは、大使を外務省に呼びつけて抗議すべきだ。実際には何もせず、「お説ごもっとも」で聞いていいたのだろう。情けない話である。駐韓米国大使には、「言動を注意せよ」と警告したほどだ。米中の大使で区別している。これぞ、中国の属国と言われても抗弁できまい。
(1)「中距離核戦力(INF)条約から脱退した米国が、韓国に中距離ミサイルの配備を要求する可能性が高い」という参加議員の発言に対して返答する形式だったというが、外交使節が駐在国でこのような形の脅迫性発言をしても良いものなのか。この上なく不快だ。米国がINF条約破棄以後、中国を狙って北東アジアに中距離ミサイル配備を推進する可能性に中国が警戒心を持つのは理解できる。中国はすでに何回も「米国のミサイルのアジア配備に反対する」との意思を強く表明した。しかし、駐韓中国大使が韓国の国会議員の前で遠慮なく報復措置を意味する「禍」を云々して脅すのは全く別の問題だ。しかも、米国のミサイル配備はまだ韓米間で具体化していない未来の事案ではないか」
米国が、中距離核戦力(INF)条約から脱退した理由は、これに参加していない中国が、ミサイルの大増産をしていることへの反発だ。米国が、アジアへ中距離ミサイルを配置すれば、中国の優位が一挙に崩れるという。中国は、台湾を攻撃する際、米国空母が接近すれば、中国本土から中距離ミサイルで攻撃する戦略を立ててきた。
ところが、韓国、日本、台湾が中距離ミサイルで装備すれば、中国が逆に「蜂の巣」にされかねなくなってきた。この「一発逆転」に驚いているのが中国だ。中国にとって、韓国への中距離ミサイル配備は是が非でも避けたいところ。だが、日本や台湾が装備すれば同じこと。韓国だけを虐めても意味はないのだ。
中国は、それでも韓国だけでも脅して中距離ミサイルを配備させなければ、それだけ防衛負担が減ってくる。そこで、韓国への脅しにかかってきたのだ。韓国は、中国の属国でないのだから、しかるべく対応すべきだが、中国へ「3不」(後述)という「証文」を渡してしまっている。駐韓大使の風情で、韓国国会で堂々と威嚇する理由があるのだ。
(2)「中国は、2017年の在韓米軍による朝鮮半島への高高度防衛ミサイル(THAAD)配備以降、韓国を狙って様々な経済報復を行っている。邱大使が述べた「皆さんも想像することができる禍」というのが、このような形の稚拙な報復を示すことは、十分に察することができる。邱大使は「韓国政府は十分に政治的知恵を持っているので、うまく対応できると信じる」とも述べた。外交官が駐在国を相手に「脅して慰める」発言をするのを韓国国民がどう見るのか。いくら自国の「安保上の憂慮」が重要であるとしても、その問題を周辺国に伝達して理解を求める方式には、守らなければならない外交規範があり、越えてはならない線があるものだ」
韓国は、2017年からTHAADを配備した。中国は、実害のないことを熟知している。それにも関わらず。韓国を虐めて2017年10月、先述の「三不」という証文を出させた。すなわち、下記の3項目を「行なわない」という約束である。
1.米国のミサイル防衛(MD)システムへの参加
2.終末高高度防衛ミサイル(THAAD)追加配備
3.日米韓軍事同盟を行なわない
以上の3つを「やらない」とする、いわゆる「三不」を中国と約束した。一国の安全保障上で重大な点を約束させられた韓国の「お人好し」ぶりは嘲笑の的であった。
(3)「中国の王毅外交部長が12月4日、THAAD配備後初めて韓国を訪問する予定だ。もうTHAAD対立を止めて関係改善を成し遂げようとの意味だろう。このような時期に邱国洪大使の高圧的な発言は韓中関係の改善には全く助けにならないことを心に刻んでほしい」
王毅外交部長の訪韓目的は、12月末に中国で開催される日中韓三カ国首脳会談の打合せである。すでに、日本へも訪問した。GSOMIA継続に関する韓国の感触を探る目的もあろう。
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