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中国国家統計局が11月30日発表した11月の製造業購買担当者指数(PMI)は50.2と前月の49.3から上昇した。市場予測は49.5。同指数が50を上回り、活動の拡大を示唆するのは、4月以来7ヶ月ぶりである。

 

このデータを見て小躍りするのは早計である。統計局は「新規受注の回復はクリスマス商戦で海外の受注が増えたことと関係がある」と、季節需要の増加を示唆しているからだ。

 

今後、回復が持続するかどうかが焦点だ。PMIは今年34月も一時的に拡大に転じたが、5月以降は再び低迷した。国務院発展研究センターの張立群研究員は、「PMIは前月比で算出するため、10月に建国記念の長期休暇があった反動で11月の数値を押し上げた面がある。景気対策は効果を挙げているが、依然として下押し圧力がある。今回の改善を過度に評価すべきではない」と指摘している。『日本経済新聞 電子版』(12月1日付)が伝えている。

 

米中貿易戦争の成り行きが、今ひとつはっきりしないことも見通しを難しくしている。米国による「香港人権法」という扱いの難しい問題が挟まっているからだ。

 

米中は、基本的に「敵対的関係」に入っている。この基本認識を欠いて一喜一憂していると情勢判断を見誤るであろう。もはや、米中関係は従来のものと異質化した。それは、「香港人権法」で見せた米議会が、上下両院で1名の反対者だけで、全員が法案賛成に一票を投じたことだ。この現実を見落としてはならない。中国は、米国の「敵国」扱いになっている。この事実は重い。

 

中国経済が予断を許さないのは、金融的に逼迫状態にあることだ。「流動性のワナ」にはまり込んでいる。金融が緩和しても銀行貸出は超慎重である。信用創造能力が極端に落ちているからだ。具体的には、マネーサプライ(M2)の前年比増加率が、今年9~10月でも8.4%増に止まっている。一昨年は、9~11%であった。昨年以来、金融逼迫状態に落込んでいる。こうして、企業のデフォルトは増加基調を辿り、来年はさらに増加する気配である。

 

『ブルームバーグ』(11月29日付)は、「中国企業のデフォルト、景気減速で2020年も増加-ムーディーズ」と題する記事を掲載した。

 

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、デフォルト(債務不履行)に陥る中国企業の数が来年も引き続き増加するとの見通しを示した。経済成長が減速するほか、負債を抱えた企業への政府支援が抑制されるとみているためだ。

 

(1)「大中華圏クレジット調査・分析責任者の鍾汶権氏によると、ムーディーズは2020年の新規デフォルトが4050社と、今年の35社から増加すると予想。金額ベースでは計2000億元(約3兆1160億円)を下回り、中国債券市場の1%弱相当との見方も示した。同氏は27日、香港での会議で「規制当局の意図は、モラルハザードを減らす」と同時に、デフォルトが「社会経済の安定性を損ねたりシステミックリスクを引き起こしたりしない」よう万全を期すことだとの見方を示した」

 

ムーディーズは、2020年の新規デフォルトが40~50社と、今年の35社から増加すると予想している。経済状況のさらなる悪化を見込んでいるためだ。来年のGDP成長率は6%割れが見込まれ、5.8%へ減速する公算が強まっている。

 

中国当局は、モラルハザードは許さず経営に規律を持たせるとしているが、行き過ぎてシステミックリスク(金融連鎖倒産)になることを防ぐという「綱渡り」を宣言している。この言葉の中に、中国経済の置かれている状況が、どれだけ厳しいかを理解できるであろう。要するに、ギリギリまで企業の査定を厳しくするという宣言である。

 

(2)「中国の規制当局は14年に、オンショア市場での選択的デフォルトを容認し始めた。国盛証券によると、4年前の国有企業初の社債デフォルト以降、今年10月末までのデフォルトは22社、計484億元相当。中国天津市が保有している天津物産集団は先週、ドル建て債市場で事実上のデフォルトに陥り、公有企業としては初の債務再編計画を提示した

 

ドル建て社債までデフォルトが出てきたのは、対外的に中国企業の信用を落とし、警戒観を強めるであろう。こういう例が一社でも出ると、オフショア市場でのドル建て社債の金利は高くなり、中国企業全体が迷惑を受ける。それを覚悟でデフォルトさせたのは、中国の外貨事情の苦しさを言外に示している。こうして、中国経済は続々とボロを出し始めた。