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聞き捨てならぬビッグ・ニュースが飛び込んできた。中国の習近平国家主席の側近が、知中派の米国大学教授に、中国共産党が政策的に行き詰まっていることを示唆したという。

 

この種の情報は根拠もなく大袈裟に扱われるものだが、冷静に中国経済を分析すれば、「行き詰まり」は明らかだ。日本がバブル経済崩壊後、政治も経済も混迷した。この経験を思い出せば、すでに中国も同様な事態に陥っていることは、想像に難くないであろう。

 

中国の場合、市場機構を無視して権力で経済を動かす致命的な欠陥を抱えている。市場機構であれば、経済の矛楯は価格変動を通して自律的に調整される。権力による経済計画の矛楯は、破綻寸前まで表面化しないのだ。表面化したときは、すでに時遅しで解決不能である。長年にわたり健康診断を受けないで、突然の病魔に驚くのと同じである。

 

中国は、国有企業という最悪形態に経済を集約化している。国有企業は財政と一体化している。赤字の把握が遅れて手遅れになる。習近平氏は、この国有企業という「経済の墓場」へ、強引に中国経済を追い込んだ。まさに、「万死に値する」誤りである。

 

経済の破綻が、政治を狂わせる。民衆弾圧で監視カメラを多用する。政治形態としては最悪である。この異常状態が恒常的なものになったら、中国は窒息する。中国国民は、それでも羊のように沈黙しているはずがない。金の切れ目は縁の切れ目だ。中国経済破綻は、中国共産党終焉の鐘になる。

 

『大紀元』(12月2日付)は、「『中共政権はもう道がないと自覚している』知中家の米教授」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米ペンシルベニア州立大学のアーサー・ウォルドロン(Arthur Waldron)教授(アジア・中国史専門)はこのほど、『大紀元』英字版の番組で、中国習近平主席の側近の話として、「中国共産党の内部は、もう進む道がないと認識している」と述べた。同教授は大紀元英字版のインタビュー番組、「アメリカの思想リーダーたち」(America Thought Leaders)に出演した。教授は、米議会の米中経済安全保障審査委員会の創設者で、シンクタンク・戦略国際問題研究所の常任理事でもある」

 

アーサー・ウォルドロン教授は、米国の著名人である。その経歴から見ても、こけおどしの話をするはずがない。信憑性があるものと受け取るべきだろう。

 

(2)「ウォルドロン教授は、習近平主席の側近とされる、ある共産党高官との会話で、この高官が「私たち(中共政権)はどこにも行く道がない。誰もがこの体制は行き詰まっていると知っている。どこにでも地雷があり、一歩踏み間違えば滅びてしまう」と発言したという。ウォルドロン教授はまた、この発言を踏まえて、中国共産党はすでにソビエト連邦の末期と同じように、崩壊の時期に入ったと語った」

 

下線部分の発言は、中国の価値観が普遍的でないゆえに、他国が中国に同調する基盤のないことを示唆している。中国から利益を引き出そうと狙っている国を除けば、中国の価値観に同調することは自殺行為である。

 

(3)「教授は、当時の米ソ対峙と違って、米企業や金融機関が現在、中国に投資し、経済関係を築いているとした。「しかし、中国共産党が崩壊することは中国の崩壊ではない。中国はまだそこにある。政治体制だけが大きく変わるだろう」。中国共産党は現状を正しく把握できてないため、機能不全に陥っている。手当たり次第で問題に対応しており、現状から抜け出すための施策をまったく打ち出していない」

 

中国共産党は崩壊しても、中国経済は残っているという意味だ。ただ、巨大債務が、中国の潜在成長力を奪っている。楽観は禁物である。

 

(4)「さらに教授は、米ポンペオ国務長官と彼のチームに、共産党体制の崩壊とその後の政治体制の転換に備えるよう助言したと述べた。教授は、米国は過去50年にわたり、リチャード・ニクソン氏やヘンリー・キッシンジャー氏ら米国のかつての指導者たちが、対中政策に大きな過ちを犯してきたと述べた。「彼らは中国共産党に接近し、中国をソ連と対峙させる戦略だった。」この戦略は、「ファンタジー」であり失敗であるとした。「彼らは中国の複雑な政治と社会構造を理解していなかった」。現在続いている香港デモについて、教授は香港の特別な地位が失われるとの考えを示した」

 

米共和党は、ニクソンが米中復交の立て役者のなったことから、強い思い入れがある。キッシンジャー氏は高齢にもかかわらず、なお米中共存を夢見ている。現在の中国は、習近平氏によって異質のものに変形している。その事実を認めようとしない結果であろう。

 

(5)「教授は、自らはもう中国の地を踏むことはないだろうと考えていたが、現在の情勢の変化でこの考え方を改めたという。体制変化後の「新しい中国」を確認するため、再び訪中してみたいと語った」

 

世界は、中国経済が空前絶後のバブルに陥っていることを理解しようとしないのだ。はっきり言えばその「無知」が、中国と世界の経済を楽観視している理由であろう。歴史的な低金利で新興国は、中国を筆頭に巨額の債務を背負っている。返済は不可能なほどの規模である。

 

中国は本来、米国と経済的な争いを起こすべき時期でなかった。だが、中国の民族主義によって、無謀な争いに突入して経済力を疲弊させている。米国が要求する市場経済化の推進は、中国再生に不可欠である。だが、民族主義によって改革への道を自ら閉ざしている。香港問題は、絶対に起こしてはならなかった。米国の「香港人権法」で、香港の運命すら握られているという最悪事態だ。