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12月4日のウォン相場は、1ドル=1200ウォン目前の1194ウォンまで下げている。この裏には、韓国経済が「50年ぶりの不況」という見方が海外で報じられていることが響いている。ウォン相場が再度、1200ウォン割れを起こすと、ズルズルとウォン安へ引っ張られるリスクが高まる。韓国経済が、関門に立たされていることは疑いない。

 

韓国経済を見る上で注目すべきは、ウォン相場である。過去2回も通貨危機を招いていうことは、今も不気味である。韓国は、外貨準備高が当時と違って手厚くなっていると強弁する。一方で、輸出依存度がGDPの38.1%(2018年)にも達している現実は、異常な高さと言うほかない。海外経済動向に強く左右される構造だ。米中貿易戦争の影響を全面的に受けているほか、半導体市況の急落も響いた。

 

米中貿易戦争については、トランプ大統領が通商協定を急がないという姿勢を見せ始めた。米国にとって、中国は最大の貿易相手だったが、米国との貿易摩擦が1年5カ月にわたり続いている。トランプ氏は3日、中国との通商合意について「期限はなく」、来年の大統領選の「後まで待つという考え」が良いと思うと発言し、株価が急落した。これは、韓国ウォン相場にマイナスの影響を与えるだろう。

 

『朝鮮日報』(12月4日付)は、「韓国経済、『過去50年で最悪』海外の懸念」と題する社説を掲載した。

 

(1)「消費者物価や輸出入物価などを総合的に反映したGDPデフレーターが今年79月期にマイナス1.6%を記録し、史上初めて4四半期連続のマイナスとなった。経済の委縮が続いていることを示している。物価が緩やかに上昇し、経済が成長するのが正常だが、韓国経済は物価が下落し、経済規模も縮小するという病人のような状況だ。経済が活力を失い、成長動力が委縮する構造的低迷の典型的な様相と言える。一度デフレ心理が形成されると、取り返しがつかなくなり、経済を回復不可能な状況へと追い込みかねない。それがデフレを経験した国々の教訓だ。「失われた20年」を経験した日本が代表的だ」

 

GDPデフレーターは、綜合物価指標である。名目GDPは、このGDPデフレーターによって、実質GDPに換算される。そういう意味で重要な役割を果たしている。中国のGDP統計では、GDPデフレーターを悪用して、実質GDPを高めに引っ張り上げている。

 

GDPデフレーターがマイナスであることは、韓国経済の「体温」が急激に下がっている証拠である。日本経済もこの苦しみを熟知している。日本はバブル崩壊という理由があった。韓国には、それが見当たらない点で不気味である。「老衰経済」とでも形容するほかない。

 

(2)「79月期のGDP成長率は0.4%にすぎなかった。このままでは今年の成長率は1%台にとどまる可能性が高い。オイルショックや通貨危機のような外部からの大きな衝撃がないにもかかわらず、1%台を記録するのは初めてだ。輸出は12カ月連続で減少しており、先月には投資、生産、消費が同時に減少する「トリプルマイナス」も記録した。来年も成長率が2%前後にとどまるとの見方が圧倒的だ」

 

今年のGDPは、2%割れという見通しが海外で強まっている。韓国の潜在成長率は、2.5%見当であるから。この差が、高い失業率となって表れる。潜在成長率を下回る経済運営を行なっていると、さらに潜在成長率を引下げるという「負の相乗効果」が出てくる。これが、警戒すべき点である。

 

(3)「英『フィナンシャル・タイムズ』は、「韓国経済が半世紀で最悪の状況に直面した」と伝えた。信用格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(SP)は「韓国経済は来年も低成長基調が続くとみられる」とした。それでも韓国政府は経済再生ではなく、選挙で票を集めるための経済政策ばかりを繰り返している。税金をばらまき、成長率や雇用の数字を押し上げようとしている。選挙用の粉飾にすぎない。今度は税金も足りなくなり、数十兆ウォンの借金までするという。企業は労組の横暴、規制の壁、週52時間上限労働などで悲鳴を上げている。住宅価格を抑制しようと強行した政策がかえって住宅価格を押し上げる真逆の効果を生んでいる。それでも自画自賛しているのだから本当に一大事だ」

 

文政権が、こういう経済的に厳しい局面で登場したのは、歴史的な悲劇と言うほかない。経済的な実証の裏付けのない、「理念先行」の経済政策に取り憑かれているからだ。文政権は、国民に対して誠実な政府と言いがたい。この無謀な政策の穴埋めに、財政を湯水のようにつぎ込んでいる。まさに、二重の誤りを冒しているのである。