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文政権の本心が、「親中朝・反日米」であることはよく知られている。その本心を隠して、中朝へさりげなく秋波を送っているのが文政権である。公式の席上で、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官が4日、国際会義でとんでもない発言したというのだ。

 

文正仁氏は、これまでもたびたび不規則発言を行い批判されてきた。それでも解任されないのは、文大統領との特別のつながりがあるためとされている。それを良いことにして、傍若無人の発言を続けているのだろう。

 

『朝鮮日報』(12月5日付)は、「文正仁特別補佐官、『在韓米軍が撤退したら中国が核の傘を提供すればどうか』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は4日、国立外交院の外交安保研究所が開催した国際会議で、「もし北朝鮮の非核化が行われていない状態で在韓米軍が撤退したら、中国が韓国に『核の傘』を提供し、その状態で北朝鮮との交渉をする案はどうだろうか」と述べた。同補佐官はこの会議で司会を務めている際、このような突発的な質問を中国側の参加者に投げかけた。大統領安保特別補佐官が在韓米軍の撤退を仮定して、中国に韓国の安保を任せればどうかと尋ねたものだ」。

 

文特別補佐官の発言を聞いて、これが大統領に政策を進言する立場の特別補佐官であろうか、と唖然とする思いだ。韓国の自由主義体制という価値観の根本からいって、共産主義国家とは相容れないものである。文特別補佐官は、そういう原点を無視して、中国の膝下に屈するというのだから、もはや正常とは思えない。韓国が、中国の傘に入ることは、韓国が共産化するという意味である。そこまで認識した上での発言か不明だが、中国に対して大変な親近感を持っていることは疑いない。文大統領も同じであろう。だから、こういう発言をする特別補佐官を抱えているのであろう。

 

(2)「韓国外交部の康京和(カン・ギョンファ)長官はこの会議の基調講演で、最近相次いでいる北朝鮮のミサイル・放射砲挑発や対米圧力発言について、「北朝鮮は現在、危機的な状況にあるように見ることもできる」と言いながらも、「少なくとも対話の経路は開かれている」と述べた。また、「どんな状況でも韓半島で戦争が発生することはないだろう」とも言った」

 

外交部の康京和長官暢気だ。「どんな状況でも韓半島で戦争が発生することはないだろう」と言っている。希望的な段階を超えて、「無能」という域かもしれない。北朝鮮が現在、危険な動きを見せている。米国に対して12月までに「回答」をせよと、「小」が「大」に向かって「威嚇同然」の発言をする状況が、正常とは思えない。

 

(3)「これに対して、チャールズ・カプチャン・ジョージタウン大教授兼米外交協会主任研究員は、「韓半島に戦争が100%ないだろうと確信しすぎてはならない。北朝鮮との関係を改善するには数十年かかる可能性があるため、息の長い交渉をしなければならない。北朝鮮と合意に至らなければ、北朝鮮は緊張を高めるかもしれない」と語った」

 

下線を引いたように、北朝鮮との交渉は相当の時間がかかることを覚悟する必要がでてきた。その間、軍事的な衝突という最悪事態を棚に上げて、「夢のような話」ばかりしていられるものでない。瀬戸際外交が得意の得意な北朝鮮である。それに備えた対応も必要である。

 

『朝鮮日報』(12月5日付)は、「緊張高まる韓国軍、 鄭国防相『北による軍事活動増強を鋭意注視』」と題する記事を掲載した。

 

(4)「韓国国防部(省に相当)の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防長官は4日「北朝鮮は軍事活動を強化しており、これを韓国軍は鋭意注視している」と述べた。鄭長官はこの日、国防部庁舎で開催された「2019下半期全軍主要指揮官会議」に出席し「北朝鮮はわれわれと米国政府に対し、年内に対北朝鮮政策の転換をしなければ対話には応じず『新しい道』を模索するなどとして緊張を高めている」とした上で上記のように述べた。北朝鮮が近くミサイル発射などの挑発に乗り出す可能性が高いと予想しているようだ」

 

(5)「鄭長官は「北朝鮮は戦闘飛行術大会を行い、また西海の昌麟島でも射撃を行うことで919軍事合意に違反した」「最近は超大型放射砲(多連装ロケット砲)を発射するなど、今年に入って13回にわたりミサイルを発射し、軍事活動を強化しているが、現在韓国軍はこのような状況を鋭意注視している」と述べた。鄭長官はさらに「今年は安全保障環境が過去に比べて大きく変化し、予測も非常に難しかった」とも指摘した」

 

北朝鮮は、軍事国家である。こういう相手に対して、外交部長官が朝鮮半島では戦争は起こるまいと、暢気な発言していること自体、きわめて危険である。火事を小火に止めるには、細心の注意が必要である。韓国軍は、南北融和ムードで北への警戒感が緩んでいる。これを元に戻すにも時間がかかるのだ。緊張感を一度緩めると、「いざ」と言うときに間に合わなくなる。