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韓国国会議長の文喜相(ムン・ヒサン)氏は、日本での評判がすこぶる悪い。天皇陛下(上皇陛下)に対する「謝罪強要発言」が、日本中で反発を呼んだ。その人物が提案するものは、一切信用しないという向きもいる。ごもっともだが、これでは外交は停滞する。その後、謝罪し、上皇陛下にも手紙を差し上げたという。多分、謝罪であろう。

 

文国会議長は、来春の総選挙に出馬しない。国会議員としての「最後の土産」として法案化に全力を挙げているのだろう。文国会議長は、難物の問題処理で抜群の調整力を発揮すると評価されている。与野党を一本化して、徴用工賠償問題解決策として、「日韓の企業・個人による寄付金」で基金をつくり、「代位弁済」という形式で賠償金を払うというもの。この案は、日本政府に内々、打診している。それなりの「反応」を得ていると見られる。

 

『聯合ニュース』(12月5日付)は、「徴用被害者への寄付金支給案、最も現実的方策―韓国国会議長室」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国の国会議長室は5日、文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が強制徴用被害者への賠償問題の解決策として表明したいわゆる「1プラス1プラスアルファ」法案に関する説明会を開き、「(被害者に)実質的に補償し、韓日関係を解決できる最も現実的な方策」との認識を示した。文氏は法案の来週中の発議と年内の成立を目指している」

 

韓国大法院判決と日韓基本条約に抵触しないのが、寄付金と代位弁済方式である。文国会議長は、この案をもっとも現実的解決案としている。韓国野党では、こういう案を提案したこともあるので、法律になる可能性を持っている。来週中に議会へ提案し、年内成立というスピード立法を目指している。

 

韓国にとって、迫りくる経済危機への対応として、日本との関係を改善し、米国との関係も正常化させたい狙いであろう。文議長は、文大統領と刎頸の友である。文大統領の苦境を少しでも軽くしたいという気持ちもあるに違いたい。

 

(2)「国会議長政策首席秘書官は「韓日首脳会談を通じ、過去を直視し未来志向の韓日関係に向かおうとした『金大中(キム・デジュン)・小渕共同宣言』を再確認することを前提とする」として、「この精神が文在寅(ムン・ジェイン)大統領と安倍晋三首相の首脳会談を通じた共同宣言として出されることを望むというのが文議長の考え」と説明した」

 

文議長は、小渕・金大中による「日韓共同宣言」(1998年)のような日韓和解になることを期待しているという。前記の共同宣言は、韓国経済が通貨危機(1997年)に見舞われた後に出された経緯がある。今回は、早くも同じような危機到来を意識し始めたのかも知れない。

 

(3)「韓忠熙(ハン・チュンヒ)国会議長外交特任大使は「24日に韓日首脳会談(の開催)が予想されるが、その前に立法(の手続き)に入れば、会談に文議長の案を持っていくことができる」として、「法案が触媒剤、呼び水のようなものとなり、この案に基づいて議論すれば良い雰囲気が生まれるのではないかと期待している」と述べた。その上で、「安全保障、外交上で極めて重要な状況だが、さまざまな外交的なレバレッジ(てこ)を持つためには、この問題を大局的に解決しなければならない」として、「先制的かつ主導的に状況を解決し、リードすべきだ」と強調した」

 

12月末に開催案の出ている日韓首脳会談で、この「基金構想」が国会審議中となれば、両首脳間で話題に上がると期待しているようだ。日本側としても、何らかの公式反応をせざるを得まい。

 

(4)「支援金の受け取りより日本側の謝罪を求める被害者側が慰労金を申請せず、訴訟を続けて日本企業の韓国内資産が再び差し押さえられれば、同法案の実効性に問題が生じるとの指摘に関しては、「時間と裁判費用の問題があるが、そこまでする理由はないと思っている」と述べた。文氏は両国の企業と国民が自発的に出した寄付金で「記憶・和解・未来財団」を設立し、強制徴用被害者に慰謝料、または慰労金を支払うことを盛り込んだ「記憶・和解・未来財団法」の発議を準備している」

 

徴用工賠償問題は、「代位弁済」として、第三者が賠償金を払うもの。日本政府は無関係である。かねての主張通り、日韓基本条約で解決済みの線を貫けるのだ。

 

(5)「当初は支給対象に旧日本軍の慰安婦被害者を含め、日本政府の拠出金で設立されたが活動を終了した「和解・癒やし財団」の残金60億ウォン(約5億4800万円)を記憶・和解・未来財団の設立時に加える考えだったが、関連団体の反対などを受け、対象に加えないことにした。同法案によると、基金の募金の窓口は財団だけでなく、メディアなどに委託できるようにする。慰謝料、または慰労金の支給可否や規模は審議委員会の審査で決める」

 

下線部分が、ミソである。これまで反日を主張してきた韓国メディアが、基金募集の窓口になると今後、反日の先頭に立った記事を書けなくなる。そういう精神的な圧迫を加えるであろう。文国会議長が、日韓接近のために絞り出したアイデアに違いない。