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中国外相の王毅氏は、2日の訪韓中に韓国側へ「微妙な問題を解決せよ」と迫っていたことが分った。微妙な問題とは、THAAD(超高高度ミサイル網)の撤去である。THAADは、米国の肝いりで導入したもの。これを撤去せよとは、米韓同盟からの離脱を求めているに等しいことだ。

 

王毅外相が訪韓した目的には、習近平国家主席訪韓の雰囲気づくりもあった。それだけに、韓国側はTHAAD問題と習訪韓を結びつけていると反応している。中国が、こういう形で圧力をかけることに、韓国は複雑な思いを抱いている。中国の傲慢さが露骨に表れており、米韓の間にひび割れを作るべく必死の工作を始めている表れである。

 

『朝鮮日報』(12月7日付)は、「王毅外相、『THAAD解決しなければ習主席訪韓ない』課題投げ掛ける」と題する記事を掲載した。

 

中国の王毅・外交担当国務委員兼外相が訪韓期間中に与党・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)代表に別個に会い、「敏感な問題をうまく処理すべきだ」と言ったことが6日、確認された。「敏感な問題」とは、慶尚北道星州に臨時配備された在韓米軍の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を意味する。今月4日と5日に約4年ぶりに訪韓した王毅外相は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官、李海チャン代表という韓国側の主要人物全員に「THAAD圧力」をかけて韓国を去ったことになる。

 

(1)「文在寅大統領をはじめとする韓国側の主要人物たちは、「習近平国家主席の早期訪韓」問題を集中的に取り上げたが、王毅外相は確答しなかったとのことだ。外交消息筋は「中国が習近平主席の訪韓とTHAAD解決を結びつけようとしている意図が見え隠れする」と話す。

 

韓国側は、習近平国家主席の訪韓を切望したが、王毅外相はこれに答えず、「微妙な問題の解決」を求めた。この構図は、どう見ても「中韓」が対等な関係でなく、上下関係にあることを示している。他国のことながら、不愉快千万に映る。

 

(2)「中国外務省が6日に明らかにしたところによると、王毅外相はソウル到着当日の4日、李海チャン代表に会い、「中国は韓国との意思疎通を強化し、一帯一路(中国主導の新シルクロード構想)を韓国の発展戦略とつなぎ合わせることができるよう努力し、第3者の協力を積極的に研究するだろう」と語った。米国からインド太平洋戦略への賛同を求められている韓国に「一帯一路への合流」圧力をかけたものだ。そして、「両者は互いに心から接し、相互核心利益と重大関心事を尊重すべきだ。中韓関係のしっかりとした発展に影響を与える敏感な問題をうまく処理し、両者関係の発展を守らなければならない」と述べた。

 

王毅外相の発言を見ると、米韓同盟の切り離しを策していることがはっきり分る。中国は、こうやって韓国を揺さぶってゆくのだ。これが、秦の始皇帝以来2000年の伝統的な中国外交であろう。脅しすかして、相手を動揺させる。その隙に乗じて、くさびを撃ち込む。この見え透いた方式で、漢族は領土を拡大して、現在の壮大な版図を実現したのであろう。中国外交の生きた化石が、韓国に表れていると思えばよい。

 

(3)「ある元外交部次官は、「中国が公に反対しているTHAADや米の中距離ミサイル配備といった『敏感な問題』を韓国がうまく処理しなければ、習近平主席の訪韓など両国関係の発展は難しいという警告を外交的修辞で包んだものだ」と話す。中国の外交部によると、これに対して李海チャン代表は「両国関係がさらに高い水準になるよう、共に民主党にはいっそう大きな役割を果たす意向がある」と明らかにしたとのことだ」

 

文大統領は、明年4月の総選挙を前に「習訪韓」を、外交面での得点にしたいのは明白である。経済面はマイナス点であるだけに、習訪韓で得点を挙げなければ選挙を戦えないのだ。中国は、こういう文政権の苦境を知り抜いており、ここへくさびを打てば効果があると見ているはずだ。

 

(4)「外交関係者の間では、「王毅外相は『文在寅政権が習近平主席訪韓というプレゼントをもらうには、THAAD撤退という先送りされてきた宿題をしなければならない』というメッセージを投げかけた」との見方が出ている。韓国政府では王毅外相のTHAAD言及は「原論的水準」と説明しているが、THAAD問題解決を強調する王毅外相の姿勢は、これまでよりもはるかに執拗(しつよう)になっているように見える」

 

文大統領は、苦し紛れに何をするか分らないという弱さがある。とりわけ、文氏を取り巻く「元学生運動家上がり」の側近は、とんでもない決定をする危険性を抱えている。THAAD撤去という事態になれば、米国が黙っているはずがない。韓国は、米国との同盟関係を重視するか否かの選択を迫られている。