a0960_006628_m
   


中国の高速鉄道は、日本の新幹線技術を導入してようやく実現した。この経緯をお首にも出さず、独自技術による開発と吹聴している。一時は盛んだった世界中の高速鉄道建設の話題が消えている。新興国にとっては、ランニング・コスト(維持費)が嵩むことが分かり、尻込みしてしまったのが実情であろう。

 

中国の場合は、高速鉄道をGDP押し上げ要因という、需要を無視して建設を強行している。いずれ、中国も人口減に見舞われることが不可避になっている以上、維持費を賄えず、「高速鉄道破産」に見舞われる。高速鉄道線路にぺんぺん草が生えるとき、中国経済が破綻する。

 

                                    米中の将来人口推計

               2020年      2100年    増減率

中国 14億3900万人  10億6500万人 -26%

米国  3億3100万人   4億4500万人 +34%

(資料:国連人口部 2019年6月)

 

上記のように、2100年の中国人口は、2020年比で26%減の10億6500万人となる。人口密度の低い地域の高速鉄道の経営が保つはずがない。赤字で倒産=ぺんぺん草にある。

 

『サーチナ』(12月6日付)は、「高速鉄道をせっせと建設する中国は『すでに遅れている国』なのかー中国メディア」と題する記事を掲載した。

 

インフラ建設を積極的に行っている中国。その代表的な存在の1つが「高速鉄道」と言えるだろう。中国国内における高速鉄道の総延長は3万キロを優に超えており、高速鉄道網は今なお拡大を続けている。

(1)「米国は中国よりも大きな国土を持っているが、中国のように高速鉄道で各都市を結ぼうとはしていない。一体これはなぜなのだろうか。中国メディアの『今日頭条』は12月4日、高速鉄道をせっせと建設している時点で、中国は「すでに遅れている」のだろうかと疑問を投げかける記事を掲載した」

 

鉄道建設が、最初に行なわれたのは英国である。産業革命を牽引した。このように鉄道と産業革命は密接に結びついている。日本も高度経済成長時代まで、政治家の「我田引鉄」と揶揄されるように、全国へ支線を建設した。現在は、すでに赤字路線となり姿を消したが、中国でも必ず起こる事態である。中国の場合は、高速鉄道である。維持費が嵩んで赤字に耐えられるはずがない。その時、中国はどうするのか。各地の治安を守るべく迅速に軍隊を輸送するのが目的とは言え、その鉄道が破壊されれば対応不不可能になろう。大変お荷物になることも分らず、せっせと建設しているのだ。

(2)「記事は、中国ネット上でこのほど「ある主張」が大きな注目を集めたと伝え、それは「地上に高速鉄道を建設している時点で中国は遅れている」というものだと紹介。この主張の内容としては、米国は高速鉄道ではなく、「航空産業」を発展させており、「空中における高速鉄道とも呼べる航空機は、空中を有効活用できるうえに線路を引く必要がないため、地上も有効活用できる」というものだったと伝えた」

 

下線部分は、正鵠を得ている主張だ。時代遅れである。維持費が莫大であるからだ。今後の人口減社会を考えれば、なおさらである。中国の場合、治安対策の意味も含めているが、それにしても高コスト過ぎる。


(3)「一方、中国のネット上ではこの主張に対して「都市の郊外に建設する空港に比べ、高速鉄道の駅の方が利便性は高い」など激しい反発の声が上がったと紹介。中国では中国高速鉄道の発展ぶりを誇りに思っている中国人は少なくないが、それゆえ「高速鉄道を発展させている時点で遅れている」という論調は、多くの中国人にとって受け入れられるものではなかったようだ」

 

利便性が高い裏には、維持費がかかっているという現実がある。人口が増加している場合、維持費を上回る乗車賃収入が得られて黒字化する。だが、維持費は固定費で変らす、人口減による乗車賃収入が減れば赤字だ。その赤字は財政で負担する。結局は、国民の肩に掛かってくるのだ。利便性の裏にはこういう経営問題が絡むのだ。


(4)「記事には、中国人ネットユーザーからコメントが寄せられており、こちらでも反発の声が寄せられているのかと思いきや、意外にも「中国でも各地にもっと空港ができれば、高速鉄道はあまり利用されなくなるのではないか」、「数世代後には中国高速鉄道は廃れていると思う」という声が寄せられていた

 

下線のように、廃れる運命にあることは間違いない。その時期は、「数世代後」でなく、20年後には、その兆候がはっきりと出るはずだ。