あじさいのたまご
   

中国は、大国と発展途上国の二つの顔を使い分けている。外交は、「大国づら」して他国を圧迫する。経済面では、1人当りGDPが1万ドル以下であることを理由に、「発展途上国」として特恵を求める。国家としてのプライドを投げ捨て、経済的な実利を求める姿はみっともない限りである。

 

中国が、世界銀行(世銀)から今なお低利資金を借りている。12月7日の本欄でもすでに取り上げたが、米国財務長官が、米議会で反対論を公表した。今度は、トランプ大統領による「ツイッター砲」で厳しく非難した。

 

『ロイター』(12月9日付)は、「トランプ氏、中国への融資止めるよう世銀に要求」と題する記事を掲載した。

 

トランプ米大統領は6日、世界銀行が既に承認した中国への融資計画について、止めるよう求めた。

 

(1)「世界銀行は5日、中国に対し2025年6月まで、年間10億15億ドルの低利融資計画を認めた。世銀は、向こう5年の融資規模について、それまでの5年の年間平均18億ドルから段階的に縮小させる計画だと説明している。これに対してトランプ氏はツイッターに「なぜ中国に融資するのか?こんなことは可能なのか?中国には十分金がある。なければ中国は作り出すことができる。(融資計画を)止めろ!」と投稿した」

 

日本もかつて世銀融資を受けて、高速道路を建設した。世銀関係者が日本を視察しての感想は、「日本に道路予定地はあるが、道路はない」と酷評された時代である。前回の東京オリンピック開催前の話である。こういう状況で初めて、世銀融資を活用できるのだ。

 

現在の中国は、空母を3隻も建艦する国である。AIIB(アジア・インフラ投資銀行)をつくって他国へ融資する国だ。そういう経済的に豊かになりながら、なお「低利のドル資金」に魅力を感じて世銀融資を受ける。何とも、けちくさい「金に汚い国」というイメージを世界中にばらまいている。

 

これを恥ずかしいと思わない精神構造はどこから来るか。「恥は一時(いっとき)」という中国人特有の心理が働いている。

 

「韓信の股くぐり」という言葉がある。韓信とは、中国秦末から前漢初期にかけての武将。劉邦の元で数々の戦いに勝利し、劉邦の覇権を決定付けた。張良・蕭何と共に漢の三傑である。その韓信が若い頃、町で無頼の青年に辱められ相手の股をくぐったが、のちに大をなしたという故事。大志のある者は目前の小事には忍耐して争わないというたとえである。

 

中国は、世銀から今後、年間10~15億ドルの融資を受けて、苦しい外貨資金繰りの一助にする計画であろう。今は恥をかいても、世界覇権獲得のためには恥を我慢する。こういう心理状態に読める。すべては、「世界覇権への道」と大真面目に考えている結果だ。

 

トランプ氏が、ツイッターで「融資を止めろ」と叫ぶのは当然である。世銀融資は「小国」を助ける道である。中国は普段、自らの大国を強調して、他国を「小国」とあざける国だ。そこまで「身分」を落としてまで、低利のドル資金を借りたい。よほど、切羽詰まった外貨事情にあるのだろう。

 

(2)「世界銀行はロイターへのメールで「中国への融資は速いペースで減っており、米国を含めた全ての出資国との合意の一環として今後も縮小する」とし、「国が豊かになれば融資も打ち切る」と説明した」

 

中国は、世銀へ副総裁を送っている。「お手盛り」で中国融資をさせる工作をして、世銀を丸め込んでいるのだろう。世銀は、なぜこういう不条理な融資を続けているのか。中国の「一帯一路」融資で、多くの国が債務漬けにされて、担保を取り上げられる「国際高利貸し」の中国である。世銀で借りた資金が、こういう「一帯一路」の債務漬けに利用されている事態も十分にありうる。世銀は甘いと思う。トランプ氏の怒りは当然である。