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中国は二枚看板である。「大国」と「発展途上国」の看板を使い分けている。相手国を威嚇する場合は、「大国づら」をする。WTO(世界貿易機関)や世界銀行から経済的な特典を得る場合は、「小国づら」で対応する。このカメレオン外交が、韓国では「大国づら」で圧力をかけている。

 

中国は、韓国の安全保障政策に露骨な介入をしている。THAAD(超高高度ミサイル網)の撤去を要求しているのだ。安全保障は国家主権である。弱い相手と見た韓国には、この国家主権に該当する「THAAD」撤去をしなければ、習近平国家主席の訪韓は困難と圧力を掛けているのだ。

 

『聯合ニュース』(12月9日付)は、「近く離任の駐韓中国大使、韓国にTHAAD問題解決促す 習主席の訪韓前に」と題する記事を掲載した。

 

(1)「近く離任する邱国洪駐韓中国大使は9日、韓国野党第2党「正しい未来党」の孫鶴圭(ソン・ハクギュ)代表と非公開で会談し、習近平国家主席が国賓として韓国を訪問するまでに、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備問題や、中距離ミサイルの朝鮮半島配備問題が解決することを願うと述べた。会談に同席した同党の関係者が明らかにした。韓国の政府当局者などによると、韓中両国は来年上半期の習氏の国賓訪問を検討しているとされる」

 

中国の王毅相が12月4日、約4年ぶりに訪韓した。韓国へ残した王外相のイメージは、「強引」、「高圧的、「米国批判」と芳しいものではなかった。とりわけ、韓国が要請した習近平国家主席の訪韓要請には答えず、韓国に対して「THAAD(超高高度ミサイル網)」の撤去を要請した。言外に、習近平国家主席の訪韓は、THAAD撤去が前提という示唆を与えたのだ。

 

駐韓中国大使の邱国洪氏は王毅外相と異なり、はっきりとTHAADと習訪韓を結びつけてきた。この要求は、傍若無人である。韓国は、米国の同盟国である。THAADは米国製であり、米国の強い要請で設置した事情がある。いわば、米韓同盟の「申し子」でもあり、それを撤去せよと要求することは、米韓同盟を破棄せよと言うに等しいことなのだ。中国にそれを要求する権利はない。韓国は断固、拒否しなければ米韓同盟の意義を失うだろう。

 

中国は、THAAD撤去と習氏訪韓をセットにしている。仮に、韓国が中国の要求を飲んだとしよう。同時に、米韓同盟はメチャクチャになる。北朝鮮のミサイル発射実験が繰り返されている中で、もっともTHAADが機能する局面での撤去など不可能である。

 

中国の狙いは、THAADを撤去させた後、北朝鮮に韓国を攻撃させる準備をしているのかも知れない。「第二次朝鮮戦争」開始を狙っているのだ。これを、荒唐無稽と笑ってはいけない。朝鮮戦争は、米国務長官(当時)が「北東アジアの防衛線は日本」と喋ったばかりに北朝鮮が韓国侵略を決意したとされている。韓国は、こういう点まで目配りして、中国の言い分を拒否することだ。

 

文政権は、北朝鮮の金正恩氏の訪韓で明春の総選挙を有利に運ぶ計算をしてきた。だが、これが不可能な現在、中国の習近平国家主席の訪韓で「埋め合わせよう」と意図している。この選挙戦略から言えば、THAAD撤去と交換に習氏の訪韓を要請するという、とんでもないことを仕掛けないとも限らない。文在寅氏は、こういう禁じ手を使いかねない危険性がある。

 

(2)「邱氏はこの日、離任のあいさつのため国会を訪れた。邱氏は野党「民主平和党」の鄭東泳(チョン・ドンヨン)代表とも会談し、米朝関係の緊張が高まりつつあることと関連し、非核化交渉で北朝鮮がまず非核化の措置を取ったが、米国は何も与えていないとし、「米国が対北朝鮮制裁に対して頑強な態度を見せたため」と指摘した。 邱氏は2014年2月に駐韓中国大使に任命され、歴代で最も長く駐韓中国大使を務めた」

 

下線を引いた部分は、過去の米朝交渉で米国が二度も騙された経緯がある。北朝鮮は破棄を約束して米国から見返りを受取りながら、約束を果たさなかったのだ。米国が、見返りを与えることに慎重になるのは当然。中国の言い分は間違えている。