あじさいのたまご
   

中華料理に欠かせない豚肉が、アフリカ型豚コレラの蔓延で2倍へ高騰している。地方政府の役人が、情報を隠したために対応が手遅れになった。統制国家の悲劇がここにも見られる。

豚肉の高騰が、消費者物価指数(CPI)を押し上げている。11月は約8年ぶりの高騰だ。一方、生産者物価指数(PPI)は5ヶ月連続で前年比マイナスである。まさに、「不況下の物価上昇」に落込んでいる。本欄はこれまで一貫して、今年が設備投資循環のボトム期(約10年周期)であることと、在庫循環(約4年周期)のボトム期が重なりある局面であるので、景気の大幅落ち込みは不可避という見方を紹介してきた。現状は、それを裏付けるものと見ている。 

本来であれば、不況下で消費者物価も下落して当然である。ただ、アフリカ型豚コレラには予防薬がないので、いつ沈静化するのか予測は困難である。「不況下の物価上昇」という最悪事態が続くであろう。

 

中国の雇用状況は激変している。単純な「人手不足」は終わった。学歴のない出稼ぎ農村工が、生きて行くのは難しくなっている。中国で、15~64歳のうち高学歴(高等教育)者は11.5%(2010年の国勢調査)に止まっている。これでは、残り80%弱が、職業教育しなければ、変化する産業構造に適応できないという厳しい現実だ。

 

こういう事態の下で起こっている消費者物価上昇である。庶民の生活を直撃している。物価上昇が長引けば、生活苦から一騒動持ち上がらないという保証はどこにもない。これが、中国の現実である。

 

『ロイター』(12月10日付)は、「中国PPI、11月は5カ月連続下落、CPIは8年ぶりの高い伸び」と題する記事を掲載した。

 

中国国家統計局が10日発表した11月の生産者物価指数(PPI)は、軟調な需要や輸出の低迷が響いて5カ月連続で前年比で下落した。一方、消費者物価指数(CPI)は食品の値上がりで約8年ぶりの大幅な上昇率を記録した。

 

(1)「11月のPPIは前年比1.4%低下。市場予想は1.5%低下、10月は1.6%低下だった。11月のCPIは前年比4.5%上昇し、2012年1月以来の大幅な伸びを記録。アフリカ豚コレラの感染拡大による豚肉価格の急騰が主因で、上昇率は市場予想の4.2%、10月の3.8%をともに上回った。ただ、食品とエネルギーを除外したコアインフレ率は前年比1.4%上昇と穏やかな伸びにとどまり、しかも10月の1.5%上昇から減速した」

 

11月のCPIが、前年比4.5%の上昇である。豚肉の高騰が原因だ。来年2月の春節(旧正月)に向かって季節的な上昇期である。どこまで値上りするか分からない。米国からの豚肉輸入について、追加関税を撤廃している。ここでは、一足早い「貿易戦争休戦状態」である。

 

(2)「PPIが予想ほど低下しなかったのは、製造業活動回復の一時的な兆しが寄与した可能性がある。ただ、エコノミストは回復の持続は難しいとみている。PPIを分野別でみると、石油・ガス精製や化学繊維製造部門が落ち込んだ」

 

PPIは、在庫循環の調整期で下落しており、前回も長期下落を続けた。短期収束は困難である。ここで迂闊にも、米中貿易戦争を始めたのだ。最悪期である。

 

(3)「中国は米国と「第1段階」の通商合意に向けて交渉を続けているが、主要な部分でなお溝がある。合意が成立したとしても、経済の減速は当面続くと予想され、政府高官からは2020年の成長目標を6%程度に引き下げるべきとの声も聞かれる。中国政府は、市場金利や地方政府の特別債発行などの面から数々の景気支援策を打っている。しかし、過去に打ち出したような「洪水のような」大規模な景気対策には否定的だ」

 

米中通商交渉の「第1段階」合意が、できるのかどうか。見通し難である。米国経済が利下げで持ち直しているので、米国は強気を崩していない。中国が、妥協して自らの「経済危機」に対処するのか。専制国家ゆえに、習氏の席が脅かされるまでは、妥協を拒んで「強い習主席」を演じるのであろう。その間に、中国経済は取り返しの付かない損害を被っているのだ。それを気付かない。中国の悲劇である。