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著名投資家のジム・ロジャーズ氏は、南北統一の夢に賭けて韓国株を買っているという。統一後韓国は、日本に代わってアジアのリーダーになるという惚れ込みだ。日本を貶して韓国を褒めあげるというのだが、その南北統一に赤信号が出てきた。韓国の世論調査でここ3年、毎年「統一よりも平和共存」という堅実な見方が増えているからだ。

 

北朝鮮は専制国家。韓国は民主国家。この水と油の南北が、どうやって統一するのか。そんな七面倒なことよりも、平和共存でそれぞれが争いごともなく暮らす。そういう現実的な解決法が増えている。北朝鮮のGDPは、韓国の40分の1とされる。この北朝鮮の経済レベルを引上げるには、韓国が大変な財政支援をしなければならない。これでは、とも倒れになる。

 

かつて、東西ドイツ統一の際、西ドイツは東ドイツ救済の財政負担で、約10年間も経済停滞に追い込まれた。ドイツが10年ならば、南北朝鮮は経済格差ゆえに、韓国は30年以上も負担にあえぐことになろう。韓国の世論が、これを受入れるはずがない。ましてや、北朝鮮は専制政治である。韓国国民の負担で「金ファミリー」の贅沢を支えることに「No」と言うであろう。

 

『聯合ニュース』(12月12日付)は、「南北統一よりも平和共存、毎年増加」と題する記事を掲載した。

 

韓国と北朝鮮が平和的に共存できるのであれば、あえて統一する必要はないと考える人が韓国で毎年増加していることが12日、政府系シンクタンク、統一研究院の調査で分かった。統一研究院は毎年、成人男女約1000人を対象に対面調査を実施し、韓国人の統一に対する意識を調査している。

 

(1)「統一研究院はこの日、ソウル市内のホテルで開催したイベントで、「2016~19年の統一意識調査」の分析結果を発表した。 調査結果によると、「南北が戦争することなく平和的に共存できるのであれば、統一は必要ない」という意見に同意した人の割合は2016年が43.1%、17年が46.0%、18年が48.6%、19年が49.5%と毎年増加している」

 

南北統一よりも平和共存を希望する比率

2016年 43.1%、

2017年 46.0%、

2018年 48.6%、

2019年 49.5%

 

2017年から平和共存派が一段と増えたのは、文政権の統一論への反発かも知れない。文政権による経済悪化で、もはや統一は不可能という「絶望の証」とも読める。

 

(2)「 一方、「統一しなければならない」と回答した人の割合は同期間に37.3%、31.7%、32.4%、28.8%と減少傾向を示した。 その差も16年の5.8ポイントから19年には20.7ポイントに広がった。 特に20代の場合、17年以降、約4割が「統一」よりも「平和共存」を選んでいる。 統一研究院のイ・サンシン研究委員は、若者世代、保守系最大野党「自由韓国党」の支持者、女性などは統一よりも平和共存を望む明確な傾向がみられたとし、「これは統一に対する新しい国民的な合意が必要な時期であることを示唆している」と説明した。ただ、このような認識の変化は統一を求める意識の弱まりを示したものではなく、統一に対する考え方自体が変化していると解釈しなければならないとの見解を示した」

 

南北統一しなければならないという比率

2016年 37.3%

2017年 31.7%

2018年 32.4%

2019年 28.8%

 

確かに、統一賛成派が減っている。平和共存派は、若者世代、保守系最大野党「自由韓国党」の支持者、女性などとされている。統一賛成派は、政権支持派、中堅・高齢者、男性という分類になろう。これが総選挙のテーマになれば、政権与党は敗北するであろう。