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米朝関係が悪化してきた。互いに非難声明を繰り返している。北朝鮮は、一段とオクターブ上げてきた。第三者から見ると、子犬が成犬に向かって吠えている感じが強い。北朝鮮は、勝ち目のない争いでいかに取引条件を良くするか。そういう恫喝だが、意味はないように思える。世界で孤立している北朝鮮が、こうやってますます孤立する。

 

『朝鮮日報』(12月13日付)は、「米、30分以内に平壌をたたけるICBMテストで警告」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国は11日(現地時間)の国連安全保障理事会で、これまで黙認してきた北朝鮮の短距離弾道ミサイル挑発まで取り上げ、強い「警告状」を送った。挑発した場合には追加制裁を行うこともあり得る、という意向も反映させた。ただし米国は「(交渉で)柔軟に行動し得る」と、北朝鮮の対話復帰も求めた。米軍は、安保理の会議の直後、カリフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地付近に飛行禁止区域を設定し、軍事行動を予告した」

 

米国が、国連安保理に北朝鮮問題を持ち込んだ理由は、これまでのように米朝間で問題処理する方式を止めて、国連を背景に事態へ対処する決意を表明したと同じことであろう。最悪の場合、軍事行動もありうるという意思表示である。北朝鮮は、この米国の方針変更を見誤ってはいけないだろう。

 

(2)「これに対し北朝鮮は、「米国の厚かましい本性」だとして「絶対に黙過しない」と脅した。また「どの道を選ぶか、決心を下すことにした」として、今月下旬に召集される労働党中央委の全員会議で、核・ミサイルのモラトリアム(実験・発射の猶予)の約束を覆すなどの対米超強硬路線が公式に採択されることを示唆した」

 

北朝鮮が、強気で対抗すれば墓穴を掘るようなものだ。中ロも表向きは、北朝鮮の核武装を容認できない立場である。北朝鮮の核武装が容認されれば、日韓も自衛上、核武装する議論が出て来ても阻止はできないはず。こういう連鎖を考えれば、最低限で米国の対応を認めざるを得ないだろう。ここまで来ると、北朝鮮は最後の支援を中ロに求められない弱点を抱えている。このことに、早くきづくことだ。

 

(3)「米空軍は11日、航空告示報(ノータム)を通して、バンデンバーグ基地から太平洋方向へ1000キロほどを飛行禁止区域として設定すると発表した。同基地では今年5月から10月にかけて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」の試射が数回行われた。米国本土から発射すれば30分以内に平壌を攻撃できる兵器だ。専門家らは、米軍がICBMICBM迎撃、または新型中距離弾道ミサイル(IRBM)の試験を行う可能性があるとみている

 

世界最貧国の北朝鮮が、世界最強の米国を相手に戦う構図は漫画である。北朝鮮は、権力に目が眩んでいる状況下で、冷静な判断ができないのであろう。

 

(4)「これに先立ち米国のケリー・クラフト国連大使は、安保理の会議で「北朝鮮は、今後数週間以内に『新たな道』へ向かうと脅してきて、深刻な挑発再開を暗示する発表を行ってきた」として「これは北朝鮮が、長距離弾道ミサイル技術を利用した宇宙発射体や、核兵器で米大陸を攻撃するため考案されたICBMを発射することもあり得ることを意味する」と指摘した。さらにクラフト国連大使は、「北朝鮮の持続的な弾道ミサイル発射は、ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が(首脳会談で)話し合った共有目標に深刻に反対するもの」だとして「ミサイルおよび核実験は北朝鮮に安全保障・安定をもたらさないものであって、北朝鮮が追求する経済的機会を達成する上でも役に立たない」「北朝鮮のこうした行動は、未来へ向かうよりよい道を探る機会を閉ざす危険がある」と発言した」

 

北朝鮮は、「失うモノがない」と捨て身の一戦で挑むとしている。北朝鮮国民が、犠牲になるのだ。北朝鮮指導部は、山中のトンネルに身を隠して安全でも、国民に隠れる場所はない。国民がいなくなれば、北朝鮮自体が成り立たなくなる。普段、虐げている国民がいるから、国家をなすのだ。権力は、こういう点できわめて往生際が悪くなる。その好例が北朝鮮である。