a1320_000159_m
   

1970〜1979年生まれの40代は、「86世代」と較べて雲泥の差である。もともと、40代は家庭・企業・社会にとって中核的な存在のはず。現実は、失業の憂き目に遭い、家庭でも社会でもその中核的な役割を果たせないのだ。

 

これに対して、「86世代」は順風満帆である。1960年代に生まれ、80年代に大学生活を送り、いまや政治の世界も牛耳っている。今の40代は、たった10年遅れて生まれてきただけで、これだけの辛酸をなめさせられている。この原因は、どこにあるのか。

 

『東亜日報』(12月4日付)は、「職場から押し出され、社会で行き場のない40代の危機」と題する記事を掲載した。

 

韓国社会と経済の中心を担う40代に、警告音が鳴っている。40代は、経験と推進力を一緒に備えているので、職場で柱となって働く歳であり、家庭では盛んに学校に通う子供たちを育てる時期だ。しかし、唯一韓国で、40代は仕事を失うか、会社に勤めていても上下に押さえ付けられて、自分の声を出せない「板挟みの世代」となっている。

 

(1)「雇用市場で40代が置かれた状況は惨憺たるものだ。10月の全体雇用率は61.7%で、23年ぶりに最高値を更新した。20代から60代、70代までがすべて雇用率が伸びたものの、40代だけが、就業者数が43万6000人が減少し、雇用率も下落した。40代の就業者数は、2015年から4年間減り続けている。製造業の不況で廃業と構造調整が増え、40代がその直撃を受けたのだ」

 

下線部分は、政府が財政資金でアルバイト雇用を増やした結果、雇用率が上がっただけだ。実態は、正規雇用にありつけず、アルバイトで糊口を凌(しの)いでいるのである。40代は、政府の救援対象にもなっていない。この層の就業者が減り続けているのは、大変な問題を韓国社会に突付けている。

 

(2)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領も10月の経済閣僚会議で、40代と製造業の雇用減少を「最も痛い部分だ」と指摘するほどだ。1970〜1979年生まれの40代は、最近の経済難を全身で体験した世代だ。盛んに職を追い求める20代に通貨危機に見舞われ、働き口が狭くなったし、家庭をつくる30代にはグローバル金融危機に見舞われた。最近は、造船業と海運業、自動車業界の構造調整により、失業に追い込まれた世代も主に40代だ」

 

40代は、10年ごとに大きな災難に遭遇してきた。20代に通貨危機、30代にグローバル金融危機(リーマンショック)、そして現在は、失業危機である。このように10年おきに災難に出遭うのは、韓国経済の構造危機と重なり合っているからだろう。「10年」と言えば、「設備投資循環」(ジュグラーサイクル)である。韓国の産業構造が、極端な製造業依存であることの欠陥が噴出している。

 

これは、韓国が「輸出で生きている」ことを誇りにしている不可避的は災難と言える。製造業のウエイトを下げる産業政策が行なわれていないのだ。文大統領は、最近の貿易記念日に、「世界4大貿易国を目指す」と演説した。そうではなく、内需を拡大する産業政策が必要なのだ。

 

(3)「40代の危機は、当事者だけでなく、社会全体の経済に問題を起こす。生産性が最も高い40代が、職場から押し出される状況が続けば、中長期的には産業全般の競争力を落としかねない。子供たちが盛んに育ち、支出も活発な40代が、経済的に困ることになれば、家庭が打撃を受けるだけでなく、社会全体の消費が減り、成長率にも悪影響を及ぼす」

 

このパラグラフで指摘している点は、すべて正しい。40代が路頭に迷うようでは、家庭はもちろんのこと、企業も社会も大変な損失である。この事実を認識しなければ、亡国は避けられない。

 

(4)「政府と社会の認識はまだ安易だ。政府の雇用支援政策は若年層と60代以上の高齢層にのみ集中しており、40代のための支援は不十分だ。来年の総選挙を控えて、青年層の政治参加の声や高齢層に向けた公約はあふれているが、40代は、ここでも冷遇される。今からでも4年連続減少した40代の雇用を増やすための対策を講じなければならない。政府と民間が一緒に40代の再就職のための相談サービスを増やし、製造活性化のための競争力強化策など、長短期のパッケージ対策が出なければならない」

 

製造業が高度に発展すれば、必ずここから附随するサービス業が展開するはずだ。サービス業と言えば、「オモテナシ」を連想しがちだが、そうではない。製造業を支援するサービス業である。韓国が、真の製造業に徹すれば、そういう派生的なビジネスが生まれるもの。米国が、その適例である。韓国経済を腐食させる「40代失業」は、韓国滅亡へのシグナルと読むべきであろう。