テイカカズラ
   

製造業では、ますます高度の教育を受けた労働者が必要になってきた。これまで、ホワイトカラーとかブルーカラーという呼び方がされて来た。今後は、そういう呼び方が死語になってくる。ブルーカラーの職場が、大卒者が担当する時代になったからだ。

 

米国では、この動きがとくに急速である、高い生産性を維持するために、労働現場はAI(人工知能)を活用し計器を操作しながらの作業工程になってくる。次に25~64歳の大卒人工比率(2018年)を見ておきたい。

 

1位 カナダ    57.89%

2位 ロシア    56.70%

3位 日本     51.93%

4位 イスラエル  50.92%

5位 韓国     49.01%

6位 米国     47.43%

7位 アイスランド 46.94%

8位 英国     45.73%

9位 豪州     45.73%

10位フィンランド 45.19%

(資料:OECD)

 

以上のデータを見ると、日本は3位である。米国は6位だ。生産性上昇は、生産システムの合理化さへ行なえば、人材面での供給に不足はない。ただ、非熟練労働力をいかに教育するかという新たな問題が発生する。前記の統計にはないが、中国の高等教育卒の人口比率は11.5%(2010年国勢調査)で、先進国との差はとうてい埋めきれないほどの開きがある。中国の製造業での生産性上昇はきわめて困難である。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(12月11日付)は、「米国の労働者、大学水準の教育が必要に」と題する記事を掲載した。

 

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)による連邦政府データの分析によると、以前と比べて高い技術が必要な新しい仕事が製造業分野に登場したことにより、工場労働者に求められる教育水準も高まっている。過去何世代かの工場労働者はこれまで、高学歴でなくとも何とかやっていくことができた。

 

(1)「今後3年以内に、米国の製造業企業は初めて、高卒以下の教育水準の労働者よりも大卒労働者を多く雇用するようになるとみられる。これは、生産の拡大をもたらしている作業自動化の進展の一側面であり、女性の雇用拡大の道を開く一方で、熟練度の低い労働者の雇用機会を減らすとみられる。 シカゴ大学の経済学教授であるエリック・ハースト氏は「かつては手作業が多かったが、現在求められるのは機械操作ができる労働者だ」と語る」

 

米国製造業が、中国から撤退しても生産コストで安くなっている背景には、機械化の進展が大きな支えになっている。こういう企業の場合、機械化によって労働現場の労働者を減らしているケースが圧倒的である。すでに、大卒者が労働現場に立つ時代だ。この動きが一層、進む時代になった。

 

(2)「WSJの分析によると、米国の製造業企業の労働者数は、前回の景気後退期以降に100万人以上増えたが、その増加分は大卒資格を持つ男女に振り向けられた。同じ期間に、製造業企業が雇用した高卒以下の労働者の数は減少した。工業技術者など最も複雑な問題解決能力を求められる職の就業者数は、2012年から2018年の間に10%増えたが、最も要求レベルの低い仕事の就業者数は3%減少したことが、WSJの分析で分かった。

 

下線部分で、ここ10年間の製造業において100万人以上の労働者が増えている。その大部分は大卒資格を持つ人たちで、高卒以下の労働者は減っている。この動きが、さらに加速される。3年後には大卒者でなければ労働現場が勤まらない環境になるという。

 

(3)「製造業分野の改善は、米国の工場の生産性をかつてないレベルに引き上げた。そして、最近の米雇用者数の伸びにもかかわらず、製造業分野の従業員数は、ピーク時の1979年の2000万人近い水準から3分の2に減っている。製造業分野の就業者数は今年これまでに、56000人増えた。これに対し、昨年の同時期までの増加幅は244000人だった。自動化の流れと、賃金水準が低い国々との競争が、米製造業分野で雇用が減少傾向にある要因だ」

 

米国製造業は、生産性がかつてなく上がっている。製造業は、1979年の2000万人近い労働者が現在、3分の2へ減っている。高能率の大卒者が労働現場に立っている結果だ。高い生産性であるから、労働者の減少分をカバーしている。