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米朝関係が、悪化の様相を呈してきた。北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)に対抗して、米国もICBMの実験を開始するなど、厳しい対応を見せている。こうした緊張関係の下、脱北者で元北朝鮮高官が米国トランプ大統領に書簡を送った。米国『ワシントン・タイムズ』が、これをすっぱ抜いて話題になっている。

 

『朝鮮日報』(12月14日付)は、「元北朝鮮高官の脱北者がトランプ大統領に書『金正恩・文在寅があなたをだました』」と題する記事を掲載した。

 

北朝鮮から脱北した人物が米国のトランプ大統領に書簡を送り「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)に騙されてはならない」と警告した。ワシントン・タイムズ紙が11日(現地時間)付で報じた。

 

(1)「同紙は、この脱北者について「元北朝鮮政府高官で1年以上前に脱北した」「(米国の)安全保障当局などにはよく知られた人物」などと紹介した。脱北者は書簡の中で自らについて「50年間北朝鮮で生活し、30年にわたり朝鮮労働党幹部として働いた」と説明した。この書簡は米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のポッティンジャー副補佐官と同アジア担当のアリソン・フッカー補佐官に送られたという。ワシントン・タイムズ紙が伝えた」。

 

過去にも、脱北した元北朝鮮高官はいたが、切迫化する米朝関係の中で、具体的に金正恩氏の本音を伝えたもの。北朝鮮の和平論は、時間稼ぎの手段であるとの見方は根強い。「共産党革命論」から言えば、不都合な時は敵側と妥協して、力を温存するのが鉄則だ。この視点から見れば、正恩氏の和平論は策略であろう。

 

(2)「この脱北者は書簡の中で、「金正恩氏が権力を握る限り、北朝鮮の非核化は不可能だ」「金正恩氏は核兵器が敵の先制攻撃から自分たちを守り、今後50年は統治を維持できる最後の手段と確実に信じている」などと訴えた。さらに金正恩氏が北朝鮮の非核化ではなく韓半島非核化に署名した点や、これまで核兵器を一つも廃棄しなかったことなどがこの見方を裏付けているとも主張した。脱北者は「金正恩氏は今なお核による脅迫を続けており、あなた(トランプ大統領)との関係を利用している」とした上で「南北和解を主張する進歩主義者の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が金正恩氏の詐欺に荷担した」「金正恩・文在寅の2人が米国の大統領(トランプ大統領)をだましている」などとも指摘した

 

独裁者の場合、自分の身の安全が最大の優先策である。正恩氏にとって、核が唯一の安全策になる。これから言えば、正恩氏が最後の最後まで核に拘ることは必至だ。この現実を認めれば、安易な「核放棄」は絶対にないと見ざるを得なくなろう。過去三代にわたって北朝鮮を統治してきた「金ファミリー」が、「三代目の唐模様」になることは是が非でも避けるであろう。

 

以上のような見解が支配的になれば今後、米朝「和平論」は消えてしまうに違いない。正恩氏の存命中、朝鮮半島に平和を取り戻すことが不可能になろう。こうして、金体制がなお継続するとなれば、韓国はどのような道を選ぶべきか。文在寅大統領のような融和策は、北朝鮮に利用される下策とされるだろう。

 

韓国の文在寅大統領は、正恩氏と3回も会談している。また、北朝鮮の行動を熟知しているはず。その文氏が、北が核放棄すると心から信じているとしたら、大変「おめでたい人」であろう。物事を慎重に見るクセのある向きには、「在寅・正恩」が組んで、トランプを騙しにかかっている、と言うように見えるのだろう。

(3)「脱北者は、北朝鮮を非核化するためとして「北朝鮮のエリートたちに金正恩氏を排除するための心理戦を展開すべきだ」「これは核爆弾のような威力を持つだろう」と指摘した。脱北者は「平壌と大都市、軍に(金正恩氏の実態を伝える)心理戦関連の情報が大量に出回れば、核に執着する指導者(金正恩氏)に致命的な打撃を与えるだろう」「これが新たな政治体制の誕生につながる」などとも主張した。脱北者はさらに「今から効果的な心理戦を開始すれば、(北朝鮮の)将軍たちは危機の際に(金正恩氏の)攻撃命令に従わず、正しい決定を下すだろう」と忠告した」

 

次善の策は、北朝鮮内部での「自壊」を待つしかない。それには、北朝鮮のエリートたちに金正恩氏を排除するための心理戦を仕向けることだと指摘している。実害のない「排除方法」は、これしかないだろう。そうなると、どういう南北関係が理想的なものになるか。単なる南北の融和論だけでは、解決策につながらないことは確実だ。