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韓国の青年は、危機的な状態に置かれている。就職難に結婚難だ。人生出発の基盤を築けないという深刻な事態に陥っている。最新の世論調査で、青年の75%が「国を出て行きたい」という恐るべき結果が出た。

 

文在寅政権は、進歩派のポーズをとっている。だが、実態は政治的な対立勢力に対して容赦ない敵意を示す非寛容的な政治である。政治を「敵と味方の二分化」しており、保守派排斥・支持母体優遇の政策を恥じることなく行なっている。

 

最低賃金の大幅引上げ(2018~19の2年間で約29%引上げ)は、労組を優遇したが庶民の生活を直撃した。自営業や零細・中小企業の労働者は、この最賃大幅引上げで失業に追い込まれている。文政権は、これを是正する意向を示さず、「雇用は順調」と嘯(うそぶ)いている。こういう国民の悩みに寄り添わない政治が、「進歩派」という名前で通っている。このことに、韓国の若者が絶望するのは当然であろう。

 

『ハンギョレ新聞』(12月15日付)は、「青年の75%が韓国を離れたい」と題する記事を掲載した。

 

韓国の1934歳の青年たちが、人生に感じる不安感が既成世代に比べて高いことが分かった。同世代であっても青年女性が感じる不安感は男性のそれより高かった。その結果、韓国を離れたいと考える青年は、女性が10人中7.9人、男性が7.2人と現れた。

 

(1)「12月15日、韓国女性政策研究院の政策フォーラム発表資料によれば、19~34歳の青年10人のうち、8人は韓国社会を「ヘル(地獄)朝鮮」と評価し、7.5人は韓国を離れて暮らしたいと答えた。反面、35~59歳の既成世代では、韓国社会を「ヘル朝鮮」と見る人は、10人中6.4人、韓国を離れたいと答えた人は6.5人だった。この研究は、19~59歳の国民5千人を調査して、世代・性別で分析した結果だ」

 

このパラグラフに見られるデータは、韓国が「生き地獄」であることを物語っている。この韓国が「反日」になると結束する。鬱憤を外に向けて一時でも不満を忘れたい現象であろう。ここに見られるデータから推測される韓国社会には、国民の悩みを解決する政治が事実上、消滅している。文政権が登場したばかりに、経済のバランスを崩した最低賃金引き上げという破壊要因が表れたからだ。その影で、大企業労組は最賃大幅引上げの余慶を受けて、「焼け太り」している。不公平の最たるケースだ。

 

19~34歳の青年10人のうち、8人は韓国社会を「ヘル(地獄)朝鮮」と評価し、7.5人は韓国を離れて暮らしたいと答えた。この事実が、文政権に突付ける不満はきわめて重いのだ。これでは、何のために政治が存在するのか、根本的な疑問を投げかけている。

 

(2)「青年世代は、既成世代に比べて、社会経済的・犯罪被害・関係不安など人生に対する全般的な不安感がさらに高く現れている。青年世代の中でも、女性が男性に比べて不安が高かった。特に、犯罪被害不安では男女間の格差が大きく、青年女性の犯罪被害不安指標は2.66点(4点尺度)である反面、青年男性は1.74点に終わった。青年女性は鬱憤も最も強く感じていた。彼女たちの鬱憤程度は2.79点で、同世代の男性(.53)、既成世代男性(.58)、既成世代女性(.66)に較べて高かった」

 

韓国では、性的な事件が頻発している。芸能人が犯す性犯罪は枚挙に暇がない。こういう性にルーズな社会が、人権を語り日本を批判している。戦前の世界には、残念ながら人権意識がなかった。これが、重視されるのは第二次世界大戦後である。法的に言えば、現在の権利意識に基づき、過去を裁くことはできない。この法的な認識にもかかわらず、日本を批判してやまない。韓国の性犯罪撲滅に対して、日本批判のエネルギーを向けるべきだ。そうすれば、韓国の「生き地獄」が少しは改善されるだろう。

 

韓国では、日本に較べて桁違いで国籍放棄の人が増えている。「韓国の生き地獄」が、長く続いていることを物語っているが、文政権になって急に国籍放棄の潜在願望が増えていることは間違いない。就職難と結婚難のデータが急増しているからだ。

 

やや古いが、昨年10月の時点で、次のようなデータを紹介したい。『朝鮮日報』(2018年11月25日付)に基づく。

 

国籍喪失者と国籍離脱者の二種類あることに先ず注意していただきたい。

 

.国籍を喪失した人とは、外国籍を取得して韓国籍を失う人:2万3791人

自発的に国籍を放棄するケース。昨年1~10月に帰化という形で外国国籍を取得した韓国人は2万1022人で、一昨年より3305人増え、2008~17年の平均(1万8925人)と比べても2097人多かった。年換算で2万8549人人にもなる

 

.国籍を離脱した人とは、二重国籍を解消して韓国籍を失う人:6493人

昨年1~10月の国籍離脱者は6493人で、前年同期(1905人)の3倍以上、2008~17年の平均(1002人)の6倍以上となっている。国籍離脱者は、兵役免除を目的とした満18歳未満の在外韓国系2世の男性がほとんどだ。年換算では、7791人である

 

ここで、日本の国籍喪失と国籍離脱者のデータを示したい。

 

日本国籍離脱者(二重国籍解消)

平成24年 262名

平成25年 380名

平成26年 603名

平成27年 518名

平成28年 613名

 

日本国籍喪失者(外国籍取得)

平成24年 711名

平成25年 767名

平成26年 899名

平成27年 921名

平成28年1058名

 

日本の国籍喪失者は、結婚で外国籍に入るケースが圧倒的とされる。国際化時代で、国際結婚が増える傾向であるので自然であろう。それにしても、韓国の2008~17年の平均が1万8925人である。この間、日本ではほぼ1000人以下である。その差は、ざっと18倍だ。韓国の「母国を離れたい」という潜在意識が、青年の75%にも達しているのは、政治自体が問題を抱えているという結論になろう。