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韓国の文大統領は、北朝鮮の金正恩氏の「衝撃的行動」発言についても沈黙している。何を言われても、「われ関せず」でひたすら北朝鮮への融和姿勢を貫いている。これほど、北朝鮮に気配りしている理由は何か。北朝鮮と韓国の統一を夢見ているからだ。しかし、怒り狂う金正恩氏の姿を見て、この北朝鮮と統一が可能と思っているだろうか。

 

韓国の政治スタイルと北朝鮮のそれは、水と油である。文大統領が念願とする「一国二制度」は、北朝鮮に韓国を武力統合する野望を深めさせるだけであろう。オオカミに玄関を開けてやるようなものに映るのだ。中国が、香港を「一国二制度」で支配しようという手順と同じである。

 

韓国の文大統領が、2018年9月に北朝鮮を訪問し、金正恩国務委員長と第5回南北首脳会談を行った。その際、非武装地帯をはじめとする南北対峙地域での軍事的な敵対関係終息を足がかりにして、根本的な敵対関係の解消につなげていくことを決め、すでに一部で実行されている。

 

この南北会談で北朝鮮側は、統一戦線部長一人だけを同席させたにすぎなかった。これについて、脱北の元北朝鮮高官は「嘘をつく様子を(北朝鮮側の)複数の人間に見せたくなかったから」と説明している。正恩氏が、韓国との約束を守る意思がなく、嘘をつくためだと指摘するのだ。この発言には、金正恩氏の最近の言動からみて、信憑性がにわかに高まる。韓国は、北朝鮮に騙されているとすれば、金正恩氏の言動が気になるのだ。

 


『韓国経済新聞』(1月3日付)は、「韓半島1~2月が峠、米国『金正恩委員長が危険なチキンゲーム』」と題する記事を掲載した。

 

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が1日、「衝撃的な行動に出る」として戦略武器開発の意思と対米強硬路線を明らかにした中、米国の専門家らは金正恩委員長が対米圧力の程度を高め、より多くの譲歩を引き出そうとしていると指摘した。

(1)「米国益研究センター(CNI)のハリー・カジアニス韓国担当局長は先月31日(現地時間)、 「金正恩委員長は危険な地政学的『チキンゲーム』をしている」と指摘し、「北朝鮮が制裁解除と体制保障を得るために事実上、大陸間弾道ミサイル(ICBM)カードを取り出した。米国からより多くの譲歩を勝ち取るための賭け」と批判した。ヘリテージ財団のブルース・クリンガー専任研究員は「北朝鮮は影響力と外交的レバレッジを最大化するために緊張を高めていくだろう」とし「中距離弾道ミサイル発射から先にするようだ」と予想した」

北朝鮮は、昨年末に米国へ「クリスマスギフト」を要求したが不発に終わった。米国が取り合わず、逆に軍事警戒を極度に強めたので恐れをなした面もあろう。この延長で、今年1~2月に何を始めるか。米軍の厳重な警戒下では、昨年12月と同じ失敗に終わる。ICBM(大陸間弾道ミサイル)関連の実験は、米国の尾を踏むに等しい行為である。北朝鮮にとっては、米国から何が起こるか分からない事態を招くリスクを抱える。それを覚悟でやれるだろうか。

 

となると、韓国と軍事的紛争を起こして、米国への当てつけに変える戦略もありうるのだ。問題は、肝心の韓国軍がすっかり北朝鮮との戦意を失っているのでないか。これまで「主敵」は北朝鮮となっていた。最近は暗黙裏に「日本」とされている。文政権の巧妙な戦術で、韓国軍は「精神棒」を抜かれてしまった。こういう「換骨奪胎」によって、韓国軍の士気に弛緩が起こっていれば、深刻な事態になろう。

 

(2)「韓国の統一研究院は2日、北朝鮮党中央委全員会議に関する報告書で「1-2月が韓半島情勢の重大の峠になるだろう」と明らかにした。また「1-2月に韓国と米国が米朝交渉を維持する積極的かつ果敢な対北メッセージと宣伝的措置を出す必要がある」と強調した。北朝鮮が、「新年の辞」の代わりに党全員会議の結果を報告した理由については、「『新たな道』の転換的な決定を党全体の総意を通じて決定する姿を演出しようという意図と読むことができる」と説明した。金正恩委員長が、対米長期戦体制を設定した意図に関しては、「今後1年間の情勢の不確実性を観望し、機会をつかむ政治的な時間として活用する名分を用意するため」と解釈した。今年11月の米国大統領選挙でトランプ大統領が再選するかどうかを考慮したということだ」

 

北朝鮮にとって、トランプ大統領は最高の大統領である。トランプ氏は、「金正恩氏は友人」と言ってくれている。これは、国際的にはありがたい話だ。トランプ氏を困らせないで、北朝鮮がやれる道とは何か。それは、韓国への軍事的な嫌がらせであろう。韓国の受ける被害によっては、文大統領は窮地に立たされる。「北朝鮮に騙された」という声が大きくなろう。

 

(3)「ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日(現地時間)、ツイッターで「米国は韓国で取り消しまたは縮小したすべての軍事訓練を完全に再開する必要がある」と主張した。金正恩委員長が米国を相手に「衝撃的な行動に出る」とし「新たな戦略武器」を予告したことに「強硬姿勢」で対応すべきだと強調したのだ。また「米軍が本当に『今夜にでも戦う』準備ができているかについて議会の公聴会を開くべき」とも述べた。対北朝鮮強硬派のボルトン元補佐官は外交政策をめぐってトランプ大統領と不和が生じ、昨年9月に更迭された

 

文大統領にとって、韓国が北朝鮮の「強硬姿勢」に対応した行動の展開は、死ぬほど辛いことに見える。文在寅氏は、金正恩氏と「義兄弟の契り」を交わしたかも知れないような雰囲気である。北朝鮮が何をやろうと黙認しているからだ。