a0005_000131_m
   


日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告の海外逃亡劇はドラマを見るような派手なものだった。それだけに、かかった費用は16億円超と推定されているという。日本で払った保釈保証金15億円を加えると、これだけで31億円にもなる。庶民には、夢のような話だ。

 

『ブルームバーグ』(1月10日付)は、「ゴーン被告に逃亡生活のツケ、資産が1年で40%減少ー脱出に16億円超」と題する記事を掲載した。

 

(1)「元日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告の逃亡生活は高くつきそうだ。日本からレバノンに逃れたために保釈金15億円は没収され、年末の脱出作戦には1500万ドル(約16億円)かそれ以上がかかったとみられる。プライベートジェット機のチャーター代金35万ドルのほか、半年がかりで作戦計画を立てた最大25人の多国籍チームへの支払いもあるだろう。民間の安全保障の専門家が匿名を条件に述べた。この専門家は作戦に加わっていない」

 

逃亡劇には、半年がかりで最大25人の多国籍チームが関わったという。プライベートジェット機のチャーター代金35万ドルがかかっているので、総額1500万ドル(約16億円)の巨額費用になりそうだという。

 


(2)「こうした費用によって、ゴーン被告の資産は約1年前に逮捕されて以降、約40%目減りした。ブルームバーグ・ミリオネア指数の概算によれば、資産額は現在約7000万ドルと、約1年前の1億2000万ドル前後から減少している。逮捕・起訴が続いたゴーン被告は既に、巨額の収入を失っている。日産自は昨年、同被告への退職金や株式関連報酬を取りやめ、フランスのルノー2015年の競業禁止契約に基づく支払いはしないとしている。同被告に対する罪状の多くは退職金に関連しており、計1億4000万ドル余りが受け取れなくなりそうだ」

 

ブルーバーグの予想によれば、資産額は現在約7000万ドル(約75億円)と、約1年前の1億2000万ドル前後から減少している。40%減である。退職金も日産とルノーは支払い取り止め方針である、これだけで計1億4000万ドル余り(約151億円)が受け取れなくなりそうだ。庶民から見れば、夢のような数字だ。

 

(3)「さらに、仏当局はゴーン被告が豪華なパーティーやコンサルティングにルノーの資金を回した可能性で調査を開始。被告はまた、支払われる予定だった報酬の開示を怠ったとされる問題を巡り、米証券取引委員会(SEC)100万ドルを支払って決着させることで合意済みだ。日産の計画について知る関係者によると、ゴーン被告に不当な資金利用があったとみる同社はそれを回収するためレバノンでの法的措置を検討している。同社はまた、ベイルートの豪邸からの被告退去を試みている。事情に詳しい関係者によると、この物件は日産が875万ドルを支払って購入、同被告のために改装した。日産は7日の発表文で、「当社の社内調査において判明したゴーン氏の不正行為について、同氏に対して責任を追及するという当社の基本的な方針は、今回の逃亡によって何ら影響を受けるものではありません」とした」

 

ゴーン被告は、米国SECへ100万ドルの罰金とレバンの日産所有の豪邸購入費875万ドルの計、975万ドル(約11億円)の支払い請求が出てくる。

 


(4)「当局は、ゴーン被告の資産の一部を押収しようとしているかもしれない。同被告はスイスの銀行ジュリアス・ベア・グループに口座を持つと報じられているが、スイス当局は1年前に東京地検から法的支援の要請を受けたと、同当局の報道官が述べた。内容を検討後、昨年3月にチューリヒの検察当局に依頼を送付したという。チューリヒの検察はコメントを控えた」

 

日本の当局は、ゴーン被告の資産を押収に出るとも予想されている。ただ、刑事事件の判決が出ないと押収は不可能と言うが、被告と逃亡で裁判できなければどうなるのか。

 

(3)「ゴーン被告の資産のいずれかが押収されたかどうかは不明。国士舘大学法学部の吉開多一教授によれば、日本の刑事事件では判決が出るまでは被告の資産を凍結したり没収したりすることはできない。没収されていないにしても、世界で最も有名な逃亡者としての生活には恐ろしく金がかかる。ゴーン被告と一族のような大金持ちですら、無視できる額ではないだろう」

 

ゴーン被告は、名誉も財産も失った形だが、反撃の狼煙を上げるという。著書発行は決定済み。映画企画も売り込むという。それで、どこまで「失地回復」できるのか。まだ、だれにも分からない。