テイカカズラ
   

今年4月の総選挙を前に、文政権は批判封じに必死である。「敵―味方論」という全体主義の思考を真似て、反対派弾圧に熱を帯びてきた。その面で、軍事政権と違うところはない。現政権を批判する壁新聞を大学構内に掲示したとして、右派青年団体の20代の会員が建造物侵入罪で起訴され裁判を受けることになった。左派の現政権は、「右派」を許しがたい敵なのだ。

 

文政権は、総選挙を前にして神経過敏である。陣営のスキャンダル捜査を徹底的に妨害する戦術にも出ている。韓国検察が10日、韓国大統領府自治発展秘書官室(旧・均衡発展秘書官室)のオフィスを家宅捜索しようとしたが、大統領府がこれを拒否したため、8時間以上にわたり待たされてから何もできずに引き返した。

 

ソウル中央地検公共捜査2部はこの日、2018年に行われた蔚山市長選挙の投開票を前に、チャン・ハンシク大統領府均衡発展秘書官(当時)らが文在寅(ムン・ジェイン)大統領の30年以上の知人である宋哲鎬(ソン・チョルホ)市長の選挙公約とりまとめを支援し、選挙に介入したとして家宅捜索を行おうとしたもの。清廉潔白であれば家宅捜査を受けたはず。身に疚しいところがあるので捜査を妨害したに違いない。

 


『朝鮮日報』(1月11日付)は、「大学構内に政権批判の壁新聞掲示して無断侵入になる喜劇」と題する社説を掲載した。

 

現政権を批判する壁新聞を大学構内に掲示したとして、右派青年団体の20代の会員が建造物侵入罪で起訴され裁判を受けることになった。

 

(1)「この男性が壇国大学天安キャンパスに壁新聞を掲示したのは昨年11月だった。中国の習近平・国家主席の顔が印刷された問題の壁新聞には「私(習近平)の忠犬・ムン・ジェアン(ジェアン=災難の意、文大統領の名前をもじったもの)は高位公職者犯罪捜査処(公捜処)や連動型比例代表制を通過させ、総選挙で勝利した後に米軍を撤退させ、完ぺきな中国の植民地になるように準備を終えるだろう」と書かれていた。大学などでよくみる一種のパロディ壁新聞だ。このように壁新聞の内容自体は法的に問題がなかったため、警察と検察は「この男性は大学に無断で侵入した」として建造物侵入罪を適用した。どう考えてもあり得ないことだ

 

社会派弁護士出身の文在寅大統領は、検察が自分に媚びを売ってくる捜査をどのような気持ちで見ているだろうか。多分、「当然」と思っているであろう。そうだとすれば、すでに「良心」を失い、目先の人気に右往左往する「普通の政治家」に墜ちた証拠であろう。権力とは、これほど恐ろしい魔力を秘めているのだ。パロディすら罰せざるを得ないほど、文氏の立場は弱体化しているのであろう。

 


(2)「建造物侵入罪は、「建物の管理者の意志に反して侵入した時に成立する」というのが大法院(最高裁に相当)の判例だ。ところが通常、大学には周辺の地域住民、営業社員、配達員など様々な立場の人が特に許可を受けることなく出入りすることができる。壇国大学天安キャンパスも構内に立ち入る際には特に制約はない。大学側も「校門は開放している」と説明した。しかもこの男性は大学構内の5カ所に壁新聞を貼っただけで、何か違法行為をしたわけでもなかった。大学側も「無断侵入された事実はない」「被害も発生していない」と説明している。警察に通報し、この男性の処罰を求めているわけでもないという」

 

この問題は、検察が敗訴すると見られる。大学校内が開放されており、誰でも自由に入れる場所であること。大学当局が、被害意識を持っていない以上、犯罪構成要件を満たさないことだ。多分、敗訴覚悟での起訴であれば、きわめて悪質な権力乱用になる。検察こそ、訴えられる立場であろう。

 

(3)「それでも警察と検察は監視カメラ映像まで使って捜査を進め、判例はもちろん一般常識にも反する形で無理に法律を適用し、将来のある若い20代の若者を法を犯した人間に仕立て上げようとしている。捜査権をめぐって対立する検察と警察が政権の顔色をうかがい、勝手にこびへつらっているのだ。世の中全体が少しずつコメディのように変わりつつある」

 

世間では、「韓国進歩派」を誤解している。権力行使に慎重で国民本位の政治と見間違っている。それは「ウソ」である。韓国進歩派は、ナチス全体主義に通じている「敵・味方論」に立っている。自己への敵対者をことごとく排除する独裁者に通じる思考方式だ。韓国の労組と市民団体の動きがそれを立証している。「独り善がり」であり、一切の妥協を排する集団である。「反日主義」もこの流れから発生している。