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中国の習近平国家主席の打つ手はすべて失敗している。台湾総統選では、「反中国派」の現総統が再選される。台湾を孤立させるべく、台湾断交国には、多額の支援を約束する「札ビラ外交」を派手に行なってきた。こういう強硬策は、香港民主化要求デモの弾圧でも表面化した。これが、「台湾を第二の香港にするな」という共通認識を育て「反中国色」を強めることになった。米中貿易戦争でも手痛い打撃を受けている。

 

中国は、自らの経済力を過信して米中貿易戦争で暴走した。昨年5月、いったんは妥結方向に向かったが、「国権侵害」という理由で反古にし、妥結のチャンスを失った。この結果、近く署名する「第1段階合意」では、契約履行をチェックする機構設立まで約束させられる「最悪事態」に陥っている。中国経済自体の失速により、もはや米国へ対抗すべき時間と体力を失った。

 

台湾で11日、総統選の投開票が行われた。再選を目指す台湾独立志向の与党、民主進歩党(民進党)の蔡英文総統が親中路線の最大野党、国民党の韓国瑜・高雄市長らを抑えた。日本時間午後10時半の集計で、蔡氏の得票は800万票を超え、総統選の最多得票を記録した。民進党は、2018年11月の統一地方選で惨敗した。だが、香港での抗議活動によって反中意識が高まったことが追い風となり、息を吹き返したもの。習氏が、蔡氏を勝たせたと言える。

 

「台湾を第二の香港にするな」というスローガンは、台湾民主化の共感を呼んだ。海外留学で外国へ出ている若者や、台湾に国籍を置いて海外で働いている人たちが一時帰国して投票するなど、「反中国色」は、かつてない盛り上がりを見せている。

 


『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月9日付)は、「台湾で強まる中国への反発:香港となるな」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国政府に対する香港での抗議活動は、自治を維持する台湾の全域で広く共感を引き起こしている。台湾に対しては、中国が領有権を主張する一方で、米国が兵器売却と非公式の政治交流を通じて支援しており、台湾は長期にわたってこの地域の緊張要因となってきた。香港市民への共感は、蔡英文総統(63)の政治的命運を大きく変えた。蔡氏率いる与党・民主進歩党(民進党)は、中国とは異なる台湾の独自性を支持しており、伝統的に独立志向が強いとみられている。11日の総統選で再選を目指す蔡氏は選挙運動の中で、香港デモ参加者に対する支持を明確に打ち出してきた。主要対立候補で親中派とされる野党・国民党の韓国瑜・高雄市長との対比を際立たせた格好だ。現政権が中国の強権的な圧力に対する防波堤になっていると訴えているのだ」

 

習近平氏の民族主義が、香港と台湾で敗北した。「自由と民主主義」を味わった人間にとって、それを失うことがいかに苦痛で耐えられるか。それを市民がはっきりと示している。韓国の文政権は、何が何でも北朝鮮と統一したいと舵を切った。民主主義の「有難み」を理解しない証拠だろう。

 

(2)「蔡氏は今回の選挙を、経済的利益のために中国の思惑に屈するのか、それとも民主主義を守るのかという、選択の場だとしている。そのメッセージは有権者の心に響いており、各種世論調査は再選の可能性が高いことを示している。わずか1年前の地方選挙では、同氏率いる民進党は屈辱的敗北を喫していた。香港での抗議行動は、台湾市民の中国本土に対する根深い反感を強める役割を果たしている。これは、強大な統一国家を実現するという中国の習近平国家主席の構想にとって、新たな障害となる。中国政府は過去何十年もかけて、台湾の経済的未来は中国本土との関係次第だと台湾市民に納得させようとしてきた。その一方で軍事演習を通じ、武力による台湾併合も依然選択肢の1つであることも示してきた」

 

中国は、世界覇権に挑戦するという。世界中に独裁主義を普及させて歴史の歯車を逆回転させる企みをしている。香港と台湾は中華人でありながら、その無謀な試みに「ノー」と拒否をしたのだ。

 

(3)「中国は、台湾と経済的な結びつきを強めることで、統合を進めようとしてきた。一時はこの作戦がうまく機能しているように見えた。台湾が中国依存を高める中で、多くの台湾人も、完全な独立は幻想だとの考えを受け入れるか、独立という目標を無期限に封印するようになった。こうしたムードは、昨年の習氏の演説を受けて変わり始めた。同氏は「一国二制度」の枠組みの下、台湾を支配する計画を急ぐ意向を示唆した。一国二制度は半自治的な領土である香港とマカオの統治のために中国政府が使っている枠組みだ。長年、多くの台湾人たちはこうした考え方に抵抗してきた。習氏はまた、武力行使の選択肢も排除していないことを明確し、台湾独立を「行き止まり」と表現した。そして、香港で衝突が起きた。デモ隊は6月以降、香港で中国政府の影響力が高まっていることに反対し、大規模な抗議活動を展開している。

 

中国は、「GDP世界2位」の一枚看板で、中華世界を統一し、最終的に「世界統一」に乗り出す計画を持っている。この戦略は、出鼻で大きくつまずいた。こんな状況で、世界を「中華色」に染めることなどあり得ないのだ。中国が、世界の普遍的な価値観である自由と民主主義に変るしか、世界へ同化する道はない。