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韓国は、4月の総選挙を前にして北朝鮮の動きに一喜一憂している。米朝会談が開催されれば、文大統領の「南北交流」に道が開けるかも知れないからだ。文氏の年頭所感では、南北問題が大半を占めたほど。文氏の頭の中は、ほとんど南北問題といわれる。

 

北朝鮮は、年末にあれだけの「バカ騒ぎ」をした。瀬戸際政策を演じて、米国の経済制裁を解除させようという狙いだった。米国は、「いつもの火病(ストレス障害)」と見ていたから適当にあしらって、病気の鎮まるのを待っていた。ようやく、その時期になったようだ。

 

北朝鮮は過去、米国に対する「火病」で2回、大きな利益を得ている。その際、米国に経済制裁を解除させ利益を得た後、食い逃げする常套手段を使ったのだ。米国が3回目も騙されれば、「騙した方よりも騙された方が鈍」ということになる。朝鮮民族は、他人を騙すことはスポーツ感覚という。スポーツであれば、敗者は尊敬されない。手段を選ばず勝った方が、「賢い」という評価になる。こうなると、米国は3回も騙される訳にいかないのだ。

 

北朝鮮が、米国へ話合いを求めているのは、ICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の実験段階になると、そのリアクションが大きくなることを恐れているからだ。これは、米国だけでなく、中国までが看過しないという「レッドゾーン」に踏込むことである。北朝鮮は、「やるぞ、やるぞ」とポーズだけ見せれば、それで目的達成である。米国に、高く買い取らせる思惑だ。米国は、これを見抜いている。トランプ米大統領は「金正恩氏は友人である」と広言して、誕生祝いのメッセージを送って気を持たせているのだ。

 

北朝鮮は、事態がここまで来ている以上、もはや「瀬戸際政策」を行なっても、その演技価値が低く見られるだけである。米軍の厳戒体制と「ピンポイント攻撃」で、正恩氏が消されてしまうリスクも背負わされる段階となっている。こういう環境変化の中で、北朝鮮が話合い路線へ戻り始めてきたのだろう。

 


『聯合ニュース』(1月11日付)は、「北朝鮮、要求受け入れなければ対話しない、米国をけん制」と題する記事を掲載した。

 

北朝鮮の金桂官(キム・ゲグァン)外務省顧問は11日に発表した談話で、北朝鮮は制裁緩和のために寧辺などの核施設を放棄しないとした上で、米国が自分たちの要求を受け入れられない限り対話に応じないとの姿勢を示した。朝鮮中央通信が報じた。

 

(1)「金氏は談話で、昨年2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談で北朝鮮が行った国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁を解除する代わりに北朝鮮が主要各施設を廃棄するとした提案に言及。「そのような交渉はもう二度とないだろう」と述べた。また、これまでのように米国にだまされて時間を浪費することは絶対にないと強調した上で、われわれに一方的に強要したり、だましたりしようとする会談を行う意欲はないと言明した」

 

北朝鮮は、これまでの瀬戸際作戦から降りてきたので、その照れ隠しもあって、大仰な態度である。米国に向かって、「話合ってやるから、ありがたく思え」という調子である。世界最貧国が、覇権国へ向かって申入れる姿勢ではない。こういう調子でなければ、格好が付かないのだろう。北朝鮮は一切妥協しないと宣言している。これでは、交渉にならない。ただ、北朝鮮式の「ラブコール」と思えば良かろう。

 

(2)「北朝鮮は、ハノイでの米朝首脳会談で「寧辺核施設の廃棄」と国連安保理の制裁解除を同時に行うことを米国側に提案したが、米国は寧辺以外の核施設の廃棄も要求。会談は物別れに終わった。金氏は米朝間の対話を再開させるには、「われわれが米国に提示した要求を全面的に受け入れる条件でのみ可能」としながらも米国側は準備ができておらず、そうすることもできないとけん制することも忘れなかった。同氏は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)とトランプ米大統領の関係は悪くないと認めながらも、米国に対し対話再開に期待を持つなと釘を刺した」

 

何とも、妙な話である。ハノイ会談時で、北朝鮮が提案した案を受入れろ、というのだ。一方では、対話再開ではないといっている。高飛車に出ているだけだ。

 


(3)「今回の談話は米国を刺激したり、圧力を加えるために挑発に乗り出すというよりも、ひとまず情勢を見ようということに比重を置いたものだと受け止められる。また金氏は談話で、トランプ氏が韓国高官に金委員長の誕生日(1月8日)を祝うメッセージを託したことについても言及。韓国青瓦台(大統領府)がこれについて発表したことに不快感を示した上で、米朝関係の仲介役としての役割に未練があるようだが米朝間には対話のチャンネルがあるとして、韓国側に自重するよう促した」

 

韓国に対しては、冷たい態度だ。米朝間の話合いに韓国が口を差し挟むな、と拒絶している。これでは、韓国が期待する南北会談など開催される可能性は、ほぼゼロであろう。韓国が狙った米朝会談への「仲介役」は、ゼロとなっている。この韓国無視は今後、長く続くと見られる。韓国からの好条件を引き出す戦術であろう。