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4月の総選挙を前に、文政権にとってまた一つ「悪材料」が増えた。2018年から実施している最低賃金の大幅引上げ(2年間で約29%)によって、自営業者が貧困層へ転落したことが、政府機関の分析で判明した。

 

文政権はこれまで頑強に、前記事実を否定してきた。最賃大幅引上げは、国民の所得を増やしてきたと強調してきたのだ。それは、政権支持基盤の大手企業労組だけで、他の未組織労働者はすべて被害を受けることになった。

 

18~19年の2年間で約29%も最賃を引上げれば、これに追いつけない自営業者が増えて当然である。生産性が29%も上がるはずがないからだ。この結果、従業員を解雇することや、労働時間を減らして対応したが、それに伴い自営業主の所得そのものが減っている。つまり、従業員も自営業主もともに所得が減ったのだ。

 


『韓国経済新聞』(1月13日付)は、「韓国の自営業者7万世帯が貧困層に転落、政府分析でも所得主導成長の逆説確認」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)政権の核心経済政策である「所得主導成長」の骨子は、次のようなものだ。「最低賃金引き上げで低所得層労働者の所得水準を上げ、この所得が再び消費につながり景気が浮揚される好循環構造を作る」。だが、昨年低所得層の所得はむしろ減り、消費増加の恩恵を得られるだろうとしていた自営業者は低所得層に転落していることが明らかになった。最近大統領直属の所得主導成長特別委員会と進歩性向シンクタンクの韓国労働社会研究所が分析した結果だ。所得主導成長の失敗を青瓦台(チョンワデ、大統領府)と進歩陣営自ら認めたと評価される」

国民を貧しくさせる。そういう経済政策を行なう政府が、韓国に現れたのである。こんな政府が必要であるはずがない。最賃引き上げ前から、OECDやIMFがこぞって反対を表明した政策である。当欄もむろん反対の立場を鮮明にして、撤回を求めてきた。

 

この間、文政権は奇妙な論理を展開してきた。大企業労組の労働者が最賃引き上げで所得が増えているからだ。労組は、組織力で要求を貫徹させるが、未組織労働者にその手は使えないのだ。勤務先の利益が伸びなければ、最賃引上は困難で解雇されるか、労働時間短縮によって所得が減らされている。この厳しい現実が理解できないほど、文政権は一般国民から遠い存在になっている。

 

(2)「労働社会研究所は6日、「最低賃金引き上げが賃金不平等縮小に及ぼした影響」という報告書を出した。統計庁が昨年発表した経済活動人口調査の原資料を分析した内容だ。これによると、低所得層の時間当たり賃金は昨年大きく高くなったが、月間給与は減少したことがわかった。最低賃金引き上げで自営業者などの雇い主が雇用時間を減らしたのに伴った結果だ。所得が最も低い所得下位20%に当たる1分位の昨年の時間当たり賃金は8.3%、2分位は8.8%増えた。だが月間給与は1分位が4.1%、2分位は2.4%減った。月間労働時間がそれぞれ2.8時間と3.1時間減少した結果だ」

こんな皮肉な話があるだろうか。時間当り賃金は上がって、月間給与が減っているのだ。時間当りの最賃は上がったが、労働時間を減らされたのでトータルの月間給与が減ったのである。明らかに、最賃大幅引上げのもたらした事態である。こんな逆さまな事態が発生している。これこそ政治の矛楯だ。

 


(3)「所得主導成長特別委は9日、「1分位勤労所得減少に対する誤解と真実」という報告書を出した。やはり統計庁が発表した昨年7-9月期の家計動向調査の原資料を分析した。2年近く続いている1分位低所得層の勤労所得減少が事業所得に該当する自営業者の1分位内での割合増加に伴ったものという主張を入れた。だが逆説的に該当資料は悪化する自営業者の現実を現わした。自営業者は最も所得が高い5分位で5万700世帯、4分位で9万5800世帯、3分位で3万5000世帯減った。だが2分位は6万1500世帯、1分位は6万6400世帯増えた。自営業者が文字通り低所得層に転がり落ちているのだ。これに伴い、1分位で自営業者が占める割合は2018年の13.6%から昨年は16.1%に上昇した」

所得階層は、5段階に分けられて分析される。最も底辺から、1分位、2分位、3分位、4分位、5分位(最高層)となっている。自営業の階層別の世帯数は次のようになった。

5分位 -5万700世帯

4分位 -9万5800世帯

3分位 -3万5000世帯

2分位 +6万1500世帯

1分位 +6万6400世帯

 

この階層別の世帯数の減少の中に、文政権への「恨み辛み」の涙が隠されているように思える。文大統領誕生に一票を投じたのは自営業者とその従業員も含まれている。まんまと「一杯」食わされたのだ。大企業労組の餌食にされた。