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文大統領は、最低賃金を大幅に引上げれば、個人消費が増えて経済が好循環を描くと信じ切っている。この「所得主導経済論」について、米ハーバード大ロバート・バロー教授は、左派系政権が陥る無謀な政策と切り捨てた。バロー教授は昨年、ノーベル経済学賞を受賞したマイケル・クレーマー教授を大学院時代に指導したことで知られている。

 

韓国の進歩派は、最低賃金の大幅引上げが韓国経済に活力を及ぼすとしている。これは、韓国だけの議論である。バロー教授は、そういう学説を聞いたこともないと一蹴しているのだ。「韓流学説」であり、これによって韓国経済は確実に破綻への道を歩んでいる。

 

『中央日報』(1月14日付)は、「所得主導成長はナンセンス、韓国経済は所得主導貧困に進んでいる」と題する記事を掲載した。

 

米ハーバード大ロバート・バロー教授は韓国経済に関して、次のように語った。「韓国政府は低成長の原因に米中貿易戦争を挙げるが、本当の原因は所得主導成長(政策だ。むしろ所得主導貧困と呼ばなければいけない状況だ」。そして、質問する度に、「このために韓国の成長速度が遅くなった」と語った。バロー教授は、過去の高度成長で開発途上国のロールモデルだった韓国経済が、停滞する姿に遺憾を表した。

 


バロー教授は、「韓国が過去の高成長の栄光を取り戻すためには、今からでも経済政策の方向を変えなければいけない」とし「投資と生産性を増やし、企業・市場の自由を保障することがすべての経済成長の核心」と述べた。バロー教授は代表的な供給主義経済学者(減税と規制緩和で経済成長と雇用を促進するという理論)で、市場経済と自由貿易の重要性を強調する。

 

この記事は、インタビューを要約したものである。

 

(1)「所得主導成長について聞いたことはあるか。
韓国で初めて聞いた用語だ。あなたの国の政府が作り出した言葉であるようだ。供給主義経済学の反対の意味でケインジアン(ケインズ主義)など需要主義経済学が存在することはある。政治的な名分を前に出して成長よりも分配に集中するという主張は理解できるが、人件費を引き上げて業務時間を減らしながら経済成長を図るという論理は生まれて初めて聞く」

下線を引いた部分は、その通りである。賃金を上げて労働時間を短縮する経済が伸びるはずがない。

 

(2)「現在の韓国経済状況をどう評価するか。
国内総生産(GDP)増加率が大きく落ちた。景気沈滞(リセッション)に陥る可能性がかなり高い。2019年の韓国の成長率は1.8%と予想されるが、過去10年間で最も低い水準だ。特に全体投資額の数値が減少した点が懸念される。2019年の固定投資額はマイナス4%と推定される。投資の冷え込みは今後の景気に対する自信が落ちたという証拠であり、リセッションの強い兆候だ

 

2019年の実質GDP成長率は、1.8%と予想している。潜在成長率は2.5%以上と推計されているので、相当のデフレギャップに落込んでいる。完全に「低成長・低物価」パターンに落込んでいる。


(3)「韓国経済が厳しいのは、米中貿易戦争のためではないのか。
それは(韓国政府の)言い訳だ。もちろん対米・対中輸出比率が大きい韓国経済にマイナスの影響はあるだろうが、貿易戦争の当事者である米国・中国よりも韓国に大きな被害があるだろうか。まだ米国・中国の内部でも貿易戦争の経済的損失についてはさまざまな見方があるが、韓国の成長が貿易戦争のため阻害されたというのは少し誇張があるようだ。もともと(政府は)外部的要因が問題だと責任を転嫁すればよいと考える」

韓国政府は、経済悪化の理由を米中貿易戦争の影響としている。これは、言い訳である。根本原因は、「所得主導経済論」にある。


(3)「実際、韓国企業は米中貿易戦争による業績の悪化を心配しているが。
韓国と似た経済構造を持つほかのアジアの国と比較すればよい。政治的な混乱を迎えている香港を除いて、韓国は相対的に過去2年間の成長率が過度に落ちた。規制を増やし、人件費を引き上げた政策が企業に直撃弾として作用した。労働コストが増える状況で、雇用を増やして投資を拡大する企業がどこにあるだろうか

韓国経済の沈滞は、政策ミスにある。過去の2年間の経済成長率の急低下がすべてを物語っている。元凶は、文政権の大幅な最賃引き上げにある。

 

(4)「では、韓国政府はどうすべきなのか。
今からでも市場的で企業が投資しやすい政策に向かわなければいけない。過去に韓国が高度成長した時期のようにすればよい。最低賃金引き上げは左派政治家のお決まりのテーマだった。労働者の賃金を引き上げれば裕福になるという単純な主張をする。しかし経済学者の立場で見ると、賃金は資本・労働生産性により効率的な水準で決まる時、経済的な効用性が最大化する。政府が介入しなくても賃金は十分に合理的な水準に決まる」

韓国経済を復活させるには、文政権が退陣することがベストである。それが不可能であれば、現在の最賃大幅引上げを即刻、中止することだ。そういう政治的な勇断を出来る政権ではない。