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中国にとって「核心的利益」である台湾総統選で、習近平国家主席は親中派候補者の大敗を喫した。香港では民主派が、区議会選挙で大勝し「親中派候補」が少数派に追いやられた。この二つの動きは、習近平氏の強硬策がいずれも失敗したことを意味する。

 

識者によれば、つい最近のイランにおける「政府批判」と絡めて、「トランプ外交の勝利」という見方さえ出ている。反民主主義国に対して、トランプ米大統領が、毅然として対応していることが、人権弾圧が顕著な中国やイランで、反対勢力が息を吹き返してきたというのである。

 

イラン問題は別としても、香港と台湾が中国からの圧迫を跳ね返えした裏には、米国が強力な後ろ盾という事実がある。米中貿易戦争によって、米国は中国の主張する「核心的利益」に配慮する気配は全くなくなっている。むしろ、中国への圧力手段に使っている。これまでの中国であれば、「強力な不満を表明する」と抗議したものだが、今やその声も小さくなっている。米中貿易戦争により、中国経済がガタガタになっている結果である。米国に対抗する前に、中国経済の信用崩壊が始まる懸念が強まっているほどだ。

 

『大紀元』(1月14日付)は、「蔡英文氏が大勝、中国の台湾政策に変化もたらすのか」と題する記事を掲載した。

 

111日に行われた台湾総統選では、与党・民進党の蔡英文総統は、817万票と過去最多得票で再選を果たした。対中融和路線の最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長の552万票を大幅に上回り圧勝した。専門家は、中国当局が今後、台湾政策を変更するのか注目している。

 

(1)「ポンペオ米国務長官は12日に声明を発表し、蔡英文総統の再選について「強固な民主主義制度の力強さを再び示した」などと祝意を表明した。これを受けて、英国、日本、オーストラリアを含む60の国の政府や団体が相次いで、蔡総統に祝意を表した。今回の総統選では、世界各国13の訪問団、107人の外国人学者が台湾を視察に訪れ、台湾総統選に対する国際社会の関心の高さが示された」

 

世界各国13の訪問団、107人の外国人学者が台湾視察した。また、英国、日本、オーストラリアを含む60の国の政府や団体が相次いで、蔡総統に祝意を表したという。この事実は、きわめて重い意味を持つ。台湾が米国の強い支援を受け、中国が経済的に左前になっている現実を如実に表わしている。中国が強要する「一つの中国論」に縛られことなく、台湾へメッセージを送れるという国際情勢の変化である。

 

(2)「蔡英文総統が総統選で史上過去最多の817万票を獲得したことは、中国当局の台湾政策および台湾への介入が完全に失敗したことを意味する。台湾市民が、中国当局が唱える「一国二制度」に対してノーと明確に否定した。今後、中国当局が政策の方向性を修正するのかに関心が高まっている」

 

蔡氏が817万票を得たことは、中国に対して無言の抵抗力になる。台湾有権者が圧倒的な支持を与えたことになるからだ。習氏の台湾威嚇は無視されたのだ。

 


(3)「ドイツメディア『ドイチェベレ』中国語版112日付によると、米スタンフォード大学の台湾問題専門家、カーリス・テンプルマン氏は、中国当局が台湾への圧力を緩めて「将来4年間、蔡英文氏のことを放って置く」可能性があるとの見方を示した。理由は、中国当局は蔡英文氏が総統選で勝利したことよりも、副総裁に選出された民進党の重鎮である賴清徳氏を最も警戒しているからだという。賴氏は蔡英文氏と比べて、中国当局に対してさらに強硬姿勢を示している。「2024年の総統選では、賴氏は有力な総統候補者である」

 

「一国二制度」を否定する蔡氏が、圧倒的多数で再選された。この結果、中国は台湾へ圧力を掛けにくくなった。中国は、台湾に干渉しても恥をかくだけである。中台は、静かなにらみ合いが続くと見られる。中国に軍事行動を取りにくくさせるであろう。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月15日付)は、「台湾総統選で熾烈な国際謀略戦、『親中』消す米中激突」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙の編集員の中沢克二氏である。

(4)「『(中国)共産党に近付き過ぎると国民党は大敗の道を歩む。反省しなければならない。4年後の総統選も勝てない見通しになれば崩壊さえありうる。既に台湾政界には『親中国』の市場はなくなってしまった』。これは長年、国民党を支持してきた有力経済人の指摘である。惨敗した国民党では既に党内政局が始まっている。党主席が辞任の意向を表明した今、カギは現職の高雄市長でもある韓国瑜の動静だ。敗戦の弁では選挙戦の攻撃性から一転し、言い訳を一切しなかった。爽やかな印象を残したことで本拠地、高雄で市民からの市長罷免要求をかわせるかどうか。彼は今後、数カ月は高雄市長の地位を守る戦いを強いられる」

 

国民党は、中国へ接近しすぎて住民の支持を失った。今回の総統選では、海外へ出ている留学生や社会人が、自弁で帰国して「民主主義を守る」ための一票を投じた。一度、自由主義と民主主義の恩恵を受けた者が、率先して民主主義を守るために立ち上がったのだ。中国の誤算は、草の根民主主義の威力を知らなかったことである。