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韓国は4月の総選挙を目前にして、文政権が北朝鮮との交流事業再開を米国で示唆した。本欄はこれまで、その可能性を取り上げてきた。実際に行なわれれば、米国との対立は決定的なものになろう。

 

文政権は、日本との対立でも米国の反対を無視して、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)を打切り、再び「一時延期」というドタバタ劇を演じた。見通しのない刹那的外交が、文政権の特色だ。すべてが、選挙目当てである。

 

『朝鮮日報』(1月16日付)は、「康外相、ポンペオ国務長官に南北が先 対北独自行動を示唆」と題する記事を掲載した。

 

北朝鮮との経済協力を進めるため、韓国政府は米国との「二人三脚」をやめて独自の行動に乗り出す可能性を示唆した。「北朝鮮の実質的な非核化がなければ制裁緩和もない」とする米国に対し、韓国政府が北朝鮮に代わって「制裁緩和」を求める意図があるとの見方が指摘されている。

 


(1)「韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官は14日(米国時間)「朝米対話と南北対話が互いに、共に補い合い、善の循環プロセスを形成しながら進んでいくべきというのがわれわれの基本的な立場」としながらも「ある特定の時点で朝米が先を進むこともあるし、南北が先を進むこともあると思う」と述べた。さまざまな条件を付けつつも、外交長官が公の席で「(米朝関係よりも)南北関係が優先されることもある」と明言し、米国とは別の対北朝鮮政策を推進する意向を明確にするのは今回が初めてだ。

 

昨年12月末、韓国大統領府の文特別補佐官は、ワシントンのシンポジュームで「韓国の独自行動」を示唆した。その理由として、「韓国は民主社会である。支持者の希望することは実現せざるを得ない」と明快に指摘。選挙目的であることを明らかにしていた。4月の総選挙が、与党に取って厳しいという予想なのだろう。

 

(2)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今年の新年の辞で示した「南北関係において動きの幅を広げなければならない」との考えを指針とし、担当部処(省庁)が実際の行動に乗り出したものと言えそうだ。韓国統一部の金錬鉄(キム・ヨンチョル)長官もこの日「南北観光協力の可能性に注目している」と発言し、北朝鮮観光を推進する意向を明確にした」

 

南北交流事業は、観光開発とされている。観光事業は、「日銭商売」である。韓国が北朝鮮へ「経済支援」することと同じである。米国はじめ国連が、北に核を放棄させるべく経済制裁を強化している。その中で、「観光協力」することは、経済制裁の緩和と同じ行為である。米国が反対するのは当然だ。文政権は、この関連性が理解できないほど「民族主義」に走っている。

 


(3)「康長官は「米国側もわれわれのそのような意思や希望について十分に理解している」との考えを示した。韓国外交部のある幹部も「(北朝鮮の個別観光について)われわれの考えをしっかりと説明したし、ポンペオ長官も理解したようだ」と伝えた。別の複数の外交筋は、「文在寅政権は北朝鮮との事業を何としても推進したがっているが、米国政府はこれに頭を痛めている」との見方を伝えた」

 

韓国は、米国の理解できない行動を始めようとしている。多分、韓国はGSOMIAの件と同様に「暴走」するだろう。その結果は、米韓の対立を招き後で後悔するに違いない。文政権とは、感情的外交しかできないのだ。民族主義とは、こういう盲目的行動を生む。

 

(4)「康長官の前ではポンペオ長官も笑顔で対応したが、その裏では「韓国はなぜあんなことを言うのか」と当惑しているとの説明もある。京畿大学の南柱洪(ナム・ジュホン)碩座(せきざ)教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は「今年は北朝鮮が強い挑発に乗り出す可能性が高く、韓米間の協力関係を一層強化しても足りないだろう。そのような状況で韓米間の考えの違いが表面化するのは大きな問題だ」と指摘した」

 

GSOMIA破棄発表の際、韓国大統領府高官は、「同盟の前に国益が存在する」と啖呵を切った。これが米国を強く刺激し、米国から防衛費分担で「50億ドル」を請求される理由の一つをつくった。同盟と国益がバラバラでは困る事態も起こるのだ。現在の「南北交流事業再開」は、まさにこのケースである。

 

安全保障を巡る「ヤマ場」で、韓国は北朝鮮へ「塩を送る」と言い出した。敵へ塩を送ったのでは、解決すべきことが解決できず、韓国が最終的にしっぺ返しを受ける運命である。なぜそのことに気付かないのだろう。目先の総選挙対策が、「禁断の実」を食べさせるのだ。