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韓国の産業通商資源省は1月早々、日本政府が昨年7月に輸出管理を厳格化した「フッ化水素」について、韓国の化学メーカーが高純度で大量生産が可能な製造技術を確立したと発表した。フッ化水素は半導体の洗浄に使われ、規制強化前は日本からの輸入に頼っていたものだ。この情報に韓国ネットは歓喜の声を上げたが、この「国産化情報」を打ち消すような報道が表れた。

 

『レコードチャイナ』(1月16日付)は、「韓国で日本からのフッ化水素輸入が急増、ネット驚き国産化成功はうそ?」と題する記事を掲載した。

 

「韓国『ニュース1』(1月16日)によると、韓国の昨年12月の日本からの半導体製造用フッ化水素の輸入額が約140万ドル(約1億5400万円)に達し、前月比約10倍に急増した。

 

(1)「フッ化水素は昨年7月に日本政府が対韓国輸出規制を強化した半導体素材3品目のうちの1つ。記事によると、韓国の昨年12月の日本からの半導体製造用フッ化水素の輸入額は139万8000ドルだった。規制強化以降で最大で、199万ドルを超えたのも半年ぶりのこと。14万ドルだった前月に比べると約10倍に増えたという。輸入量は約794トンで、これも前月比で1900倍以上増えたという」

 

韓国の産業通商資源省は年初、日本政府が昨年7月に輸出管理を厳格化した「フッ化水素」について、韓国の化学メーカーが高純度で大量生産が可能な製造技術を確立したと発表した。ところが、昨年12月のフッ化水素輸入が前月比10倍増という報道が表れ、「国産化説」はウソであったのかと読者が疑問を寄せているのだ。

 

韓国では、「未完成」のものを「完成」した、と大袈裟に発表するのが常套手段だという。これは、韓国でビジネス経験のある方から聞いた話だ。産業通商資源省によると、韓国の化学メーカー「ソウルブレーン」が製造工場を新設・拡充し、液体のフッ化水素の不純物を「1兆分の1」まで抑えられるようになったとした。極めて高い純度が求められる半導体製造に使える水準という。韓国企業が、フッ化水素生産技術を確立したとしても試験段階。実用段階に進めば、使えるかどうか判明する。現状は、「試験管」の中の話であろう。

 


パネルの製造工程に投入されるフッ化水素は、半導体の工程に使われる物に比べ純度が低い。ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)単位の微細な工程を処理する半導体とは異なり、ディスプレーパネルは微細工程の水準が高くないため、相対的に純度が低いフッ化水素でエッチング、洗浄工程を行うことができる。このため、半導体業界はまだ液体フッ化水素の大半を日本メーカーに依存している状況だ。

 

要するに、ディスプレーパネル用のフッ化水素は、純度が低いので国産で間に合う。だが、半導体製造に使う高純度のフッ化水素は、日本からの輸入に仰がざるを得ないのだ。これを反映して、12月のフッ化水素輸入が急増したのでないか。韓国の化学メーカー「ソウルブレーン」の生産能力は明らかになっていない。韓国の経済メディアは、韓国内の需要の70~80%程度を担う規模になるとの見方を伝えている。

 

これだけの「大ニュース」であれば、化学メーカー「ソウルブレーン」当事者が、発表の席に立ち会うべきだ。それが、なかったことも情報に疑問符がつく。海のものとも山のものともつかない「星雲状態」であろう。設計図の段階か。

 

(2)「これをめぐり、韓国の業界ではさまざまな分析が出ているという。まずは、昨年12月24日に中国・四川省成都で行われた15カ月ぶりの日韓首脳会談がきっかけで「関係が改善された」との見方。会談で文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、日本の輸出規制措置をめぐり「原状回復を求める」と述べていた「


12月24日の日韓首脳会談直後に、日本が大慌てで輸出を許可したとも思えない。

 

(3)「一方で、輸出規制措置の影響で売り上げが急減した日本企業の不満を緩和するための「一時的な措置だ」との見方もある。また「素材・部品・装備分野で日本依存脱却を目指す韓国の政府と企業をけん制する目的だ」との見方も強いという。ある業界関係者は「昨年の日韓関係では経済が政治に振り回され、両国の企業が被害を被った」とし「輸出規制措置の撤回への道のりはまだ遠いため慎重に状況を見守る必要がある」との考えを示したという」

 

輸入元の韓国企業は、日本での輸出手続き規制をクリアするには、実需であることを証明しなければ成らない。思惑輸入は不可能である。よって、すべて実需に基づく輸入であるはずだ。韓国半導体メーカーが、市況回復を見込んで強気の生産に入る兆候と見るべきだろう。

 


(4)「これを受け、韓国のネットユーザーからは次のような声が集っている。

「なぜ日本から輸入する?フッ化水素の国産化に成功したと言っていたよね?」

「国産化成功はうそだったようだ」

「つい最近まで『国産化しよう』と意気込んでいたのに、結局は楽な方にいくのか?」など不満げな声や、

「日本の態度が変わったとしても国産化を進めよう」

「国民の不買運動をあざ笑っていないで、企業も不買運動に参加するべき」と訴える声が上がっている」

 

韓国のネットは、12月のフッ化水素輸入急増に面食らっている。憎い日本から輸入しないで済むと思った矢先に、どんでん返しのニュースである。最大の責任は、事実を確認しないで報じた韓国政府のお先走にあろう。