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傍目八目という言葉がある。第三者が当事者の気付かぬ点をズバリ指摘することだ。日韓外交は、昨年の超過熱期を過ぎて、一呼吸整えている段階である。これから、どう展開するのか。中国は、日韓関係の動きをじっと凝視している。

 

日本では、「ホワイト国」問題で膠着状態が続き、3月に入れば韓国が再度、「GSOMIA破棄」に動き出すという説も聞かれる。韓国が、実力行使に出れば、米韓関係は冷却化必至だ。韓国の狙いは、4月の総選挙目当てのパホーマンスである。外交まで犠牲にして、総選挙に勝ちたいという妄念だ。

 

中国から、今後の日韓関係を予測する記事が登場した。傍目八目である。中国は、日米関係と米韓関係が上手く行かなければ、「漁夫の利」を得ようという立場である。そのように、中国の思う壺にはまって行くか。

 

『レコードチャイナ』(1月16日付)は、「日韓は徹底的にやり合うつもりか、日本は文政権に期待していないー中国専門家」と題する記事を掲載した。

 

中国メディア『中国網』(1月14日付)は、日韓関係について「両国は徹底的にやり合うつもりなのか」とする論評記事を掲載した。著者は中国社会科学院アジア太平洋・グローバル戦略研究院の楊丹志(ヤン・ダンジー)氏である。

 

楊氏は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が7日に行った新年のあいさつで日本との関係改善に意欲を示した一方で、安倍晋三首相は日韓関係に触れなかったことに言及。「日韓関係改善への積極性の違いが見て取れる」とした上で、その背景について「外交と内政の両面から読み解くことができる」とした。



(1)「まず外交について、「韓国は困難な時期にあるのに対し、日本は柔軟かつ現実的な議論を進めて効果をあげている」と指摘。「韓国は、米国、中国、日本のいずれとも関係が良くない。北朝鮮との関係はやや改善したが、行き詰まってから新展はない。日韓の争いが続く中、韓国は在韓米軍の駐留費問題などで米国から大きな脅迫と圧力を受けている。中韓もTHAAD(高高度防衛ミサイル)の配備をめぐる傷がまだ癒えていない」と評した。日本については、「米国との同盟関係を強化しつつ中国との交流も進め、日中関係は徐々に回復。日米、日中という二つの重要な外交関係がいずれも進展を見た。韓国との関係は重要ではない位置に置かれることとなった」と解説した」

 

下線部分は、核心を突いている。日本が日米関係を基軸にして中国との関係を修復している。こういう段階で、韓国が占める外交上の重要性は低下した。日本の安全保障において重要な国は、米国・豪州・印度・ASEAN(東南アジア諸国連合)、そして韓国の序列になっている。韓国は、この現実を認識せずGSOMIAで「暴走」した。

 

(2)「内政について、「文政権の支持率は下降を続けている。チョ・グク(前法相)事件によって、文大統領肝いりの司法改革の先行きが暗澹たるものになった。政権末期に文政権は必ず野党の攻撃を受けることになる。日本との関係が悪化を続け、韓国経済への負の影響が明らかになるにつれ、文政権の基盤は揺らぐだろう」とした。日本については、「自民党の現在の地位は揺るぎなく、野党は厳しい状態。これはある程度、自民党の政策がスピードをもって進められることを保証するものだ。アベノミクスが良好な成果を収めていることも安倍政権の基盤を強固なものにしている」との見方を示した」

 

下線部分もその通りである。日本は、「政経非分離」政策に転じている。韓国が歴史問題を持ち出してくれば、日本は経済問題で対応する関係だ。従来の「政経分離」では、日本は叩かれるだけで、謝罪と賠償を請求されてきた。その上、「世界で日本をバカにできるのは韓国だけ」という世迷言まで許してきた。これでは、正常な外交関係は不可能である。節制と礼儀が外交の基本である。

 

(3)「楊氏は、「韓国が外交問題の進展を急いでいるのに対し、日本は比較的余裕がある」とした。その上で、今後の日韓関係のポイントを3つ挙げた。
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つ目は、「日韓関係は短期には修復困難」ということ。楊氏は、「日韓の相互信頼の基礎はすでに破壊されており、再建には比較的長い時間を要する。政府レベルから民間レベルまで、さらに相互理解と協力を強化していく必要がある」とした」

 

文氏は、日本との信頼関係を破壊してしまった。韓国国内で「親日排除」の号令を出している。日韓併合の痕跡を「草木一本まで残さない」という革命的な煽動である。日本が良い感じを持つはずがない。日韓関係が悪化して困るのは韓国だ。学生の就職をはじめ、日本が協力する場面は多々ある。それを見失っている。

 

(4)「2つ目は、「日韓関係は両国の外交において主要な問題ではない」ことだとし、「韓国は日本との関係改善を検討してはいるが、北朝鮮の核問題や米韓関係の方が喫緊かつ重要。日本にとっても、米国や中国との関係の方が韓国との関係よりもはるかに重要だ」と指摘した」

 

韓国は、日本が不可欠である。技術や中間財など、日本の「恩恵」に預かっている。その認識がないのだ。当然のこととして受け取っているから、日本の「謙韓感情」が、いやでも高まって行くのだ。

 

(5)「3つ目は、「日本は自らが韓国を屈服させるために十分な手段を持っていると考えている」ことだとし、「日本は文政権が重大な妥協をすることにそれほど期待をしていない。文氏の任期には限りがあり、日本には次の大統領と話し合う方法もある。そのため、日本は韓国との関係修復を積極的に進めようとはしない。韓国が一方的に(関係改善に向けて)努力しても成果を挙げることは難しい」と論じた」

日本の謙韓感情が基盤であれば、ポスト安倍が日韓関係改善のために譲歩することはあり得ない。それは、政権の基盤を揺るがすであろう。日本人は、それほどまでに文政権の「仕打ち」を許しがたい行為と見ている。

 

    日韓慰安婦合意の破棄

    徴用工賠償問題に対する不誠実な態度

    政治目的で親日排除を行なっている

 

歴代韓国大統領の中では、文政権が日本に対して最悪な振る舞いをしてきたのである。