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韓国は2011年、太陽熱発電所を建設したが無用の長物で、ほとんど成果も出せず昨年12月撤去された。太陽熱発電は、太陽光発電とは違い高度の技術が必要という。動く太陽に合せて鏡も動き、集光して発生する熱でボイラーを炊き発電するシステムだ。世界でも成功している例は米国などわずかだ。不思議なのは、基礎研究を十分に行なわず、いきなり高度50メートルのタワーを建てて実験したことだ。これだけ聞いただけで、無謀の一言である。

 

太陽熱発電所のシステムを少し説明したい。タワー式の施設は、平面鏡、太陽の動きに追従して鏡の向きを調整する機構。それらを支える枠とで構成される光を反射する装置と、タワー上部に設置された集熱器、タワー下部の蒸気タービン、発電機、復水器などで構成される。なにやら、聞いただけでも「難しさ」が分かるのだ。

 

今回撤去されたのは、大邱市に韓国初のタワー型太陽熱発電所である。韓国エネルギー技術研究院などが3年間の工事の末2011年、下水処理場2万3000平方メートルの敷地に、高さ50メートルのタワー型太陽熱発電所を完成させた。発電容量は毎時200キロワットで、約80世帯分の電力供給が可能であった。これが失敗したのだ。

 


『レコードチャイナ』(1月18日付)は、「11
億円かけた韓国初のタワー型太陽熱発電所、使いものにならず8年で撤去」と題する記事を掲載した。

 

『中央日報』1月16日付)によると、116億ウォン(約11億円)かけた太陽熱発電所が8年で撤去された。


(1)「記事によると、韓国では李明博(イ・ミョンバク)政権時代の2011年、大邱(テグ)にあるテソンエネルギーが韓国初となるタワー型太陽熱発電所を建設した。建設費約116億ウォンのうち、国費(韓国エネルギー技術評価院)が約71億ウォン、テソンエネルギーを中心とした協力会社が約45億ウォンを負担したという。こうした「巨額の投資」にもかかわらず、大邱市は今月15日に「テソンエネルギーが先月、約2億ウォンを投じて発電所を撤去した」と発表した。記事は「100億ウォン以上が8年で消えてしまった」と伝えている」

 

新しい技術開発には失敗はつきものである。決して、今回の失敗を責めるものではない。ただ、責められるべきは事前の基礎研究が十分でなかったという点である。米国に先駆的な太陽熱発電所が稼働しているのだから、そこと十分に連携するなどの下準備がなかったのだろう。高さ50メートルのタワーを建設してしまえば、タワーの構造上からも機器の微調整は不可能だ。研究姿勢が全く整っていなかったと言えよう。

 

この事例から見て、韓国は何年経ってもノーベル科学賞などとは、無縁のような感じがする。研究は、資金だけ掛ければ自然に成果が出る。そういう錯覚をしているのでないか。その点では、中国と非常に似通った体質である。儒教文化の荒っぽさが実に良く表れているのだ。

 


(2)「撤去のきっかけは2011年。当時テソンエネルギーは協力会社とコンソーシアムを作り、韓国エネルギー技術評価院の「新再生エネルギー課題事業」に参加した。太陽熱施設が電気をちゃんと作れるのか、太陽熱で電気を生産する技術開発が可能なのかなどの課題に取り組み、5年間の研究結果を報告するというものだったという。こうして国費の支援を受け、研究遂行のためにできたのがタワー型太陽熱発電所だ。韓国政府は2008年~2013年「低炭素グリーン成長」と題して新再生エネルギーの開発に力を注いでいたという」

 

最初から、目的は基礎研究であったようだ。それならば、これだけの資金を掛けず、かつ、機器を柔軟に動かせる建物の構造にしておくべきだっただろう。米国に成功例があって、韓国で失敗したのは、明らかに韓国の研究体制に間違いがあったのだ。

 

(3)「発電所は、事業後に「無用の長物」と化し、8年間で出した研究実績も計4件(特許3件を含む)のみだったという。電力生産量も毎時200キロワットという予想値からは程遠く、2050キロワットにとどまったという。結局、大邱市とテソンエネルギー側は「発電所はもはや機能していない」と判断、昨年12月に撤去したという」

発電量は、毎時200キロワットの予定が20~50キロワットに止まった。これは、原理に間違いがなく、オペレーションの失敗だろう。この裏には、政権が交代して李政権から朴政権となり、研究資金を十分に出さなかったことが想像できる。韓国政治では、政権交代ともに政策の目玉が変わってしまう欠陥がある。どうやら、研究姿勢の間違いと政権交代が、失敗の原因として重なり合っているようだ。典型的な韓国における研究の失敗例である。