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韓国は、4月15日の総選挙を控え死に物狂いで支持率引上げの動きを強めている。国民に北朝鮮観光を進める目的で、法律で禁止されている北朝鮮の観光サイトを開けたからだ。これにより、南北交流を進めようという狙いである。

 

一方、米朝関係は緊迫してきた。米軍が朝鮮半島周辺へ空母2隻を展開させる事態である。2017年以来のことだ。朝鮮日報は20日、次のように報じている。

 

在日米軍のシュナイダー司令官は19日、読売新聞とのインタビューで「北朝鮮はこの数カ月間、(軍事)態勢とレトリックを変化させている」「(東北アジアにおける)最も差し迫った安全保障上の挑戦は北朝鮮だ」などと述べた。シュナイダー氏は韓半島で戦争の危機が高まった2017年当時にも言及し「17年には金正恩(キム・ジョンウン)体制が弾道ミサイル開発と実験を繰り返した。それが再開されるかもしれない」と予想した。

 

韓国は、こういう中で国民に北朝鮮旅行を進める姿勢だが、人質などの不測の事態が懸念され始めている。

 


『朝鮮日報』(1月20日付)は、「今の米朝関係だと観光客はいつでも人質になり得る」と題する社説を掲載した。

 

(1)「米国と北朝鮮の関係が尋常ではない。米国は東太平洋に展開する原子力空母「セオドア・ルーズベルト」を中心とする艦隊を17日から西太平洋に移動させている。日本に拠点を置く原子力空母「ロナルド・レーガン」と共に韓半島周辺海域に配備する予定のようだ。中国をけん制すると同時に「衝撃的な行動」などの言葉で脅迫する北朝鮮に圧力を加えるためだ。韓半島周辺に2隻以上の米空母が集結するのは、北朝鮮が核や大陸間弾道ミサイル(ICBM)による挑発で戦争の危機が高まった2017年以来となる。在日米軍基地には先日から世界で唯一の核探知特殊偵察機も配備された。在日米軍司令官は19日にメディアとのインタビューで「2017年の危機的状況が繰り返されるかもしれない」と述べた」

 

2017年以来、米海軍が朝鮮半島周辺へ2隻の空母を同時展開する状況になっている。米国が、明らかに北朝鮮に異変が起こっていることをキャッチした結果であろう。

 

(2)「一方で北朝鮮では外相が李容浩(リ・ヨンホ)氏から李善権(リ・ソングォン)氏に交代したと報じられた。外交官出身の李容浩氏は米国との核交渉専門家だったが、李善権氏は朝鮮人民軍出身で、韓国の大企業トップらを「冷麺が喉を通るのか」などと侮辱した人物だ。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長自ら交渉はせず、米国に対抗するシグナルとも考えられる。最近になって北朝鮮は「制裁と核施設を交換するような交渉は二度としない」と主張している。核とミサイルを持った状態で最後までわが道を行くという意味だ」

 

北朝鮮は、軍事的に強硬策を「演じる」姿勢を見せてきた。米軍が、これを見逃すはずがない。「力には力で対抗する」という論理が、展開され始めている。国民が、北朝鮮を観光旅行するいう雰囲気ではない。

 


(3)「北朝鮮は「人質」を交渉によく利用する。マレーシア空港で化学物質による殺人を行った工作員を取り返す際には、平壌駐在のマレーシア大使館職員を人質とした。2009年には米国の女性記者二人を豆満江近くから連れ去り、クリントン前大統領を北朝鮮に来させることにも成功している。平壌のあるホテルで宣伝物を持ち去ろうとした米国人大学生ワームビアさんを拘束し、瀕死(ひんし)の状態で送り返したこともあった。今回も緊張が高まると北朝鮮は再び「人質」を探そうとするだろう。米国は北朝鮮を「旅行禁止国」に指定しており、英国やオーストラリアは「旅行自制国」リストに掲載している

 

米、英、豪などの諸国は、北朝鮮を旅行禁止国ないし自制国に指定している。韓国政府は、そういうリスクのある地域へ旅行を推薦する姿勢は、無責任というほかない。目前に迫った総選挙目当ての政策は、国民に新たな危険を強いるようなものであろう。