38
   

文大統領は、現実を直視せず空想を愉しんでいる。本欄はかねてから、「文在寅」とはいかなる人物かと、その表現方法を考えてきた。米紙『ワシントンポスト』は、空想家という形容詞を使ったが、まさにこの言葉がピッタリする。「空想家・文在寅」に韓国国民だけでなく、世界が振り回されているのだ。

 

『朝鮮日報』(1月21日付)は、米紙 「南北共同五輪誘致構想は絵に描いた餅」 「文大統領はラ・ラ・ランドに住んでいる」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米ワシントンポストは18日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が新年の辞の記者会見で2032年の五輪南北共同誘致を表明したことを「絵に書いた餅(pie in the sky)」と評した。南北関係、北朝鮮の人権問題、外国人観光客、報道陣の安全問題を考えると現実性を欠くとの分析だ。同紙は、「これほど大規模のイベントを共同で準備するほど韓国と北朝鮮が何年も安定的な関係を維持し、世界のメディアが参加し、数百万人の観衆が自由に競技を楽しむことができるという考えは全く『絵に書いた餅』だとアナリストの多くが語る」と伝えた」

 

文氏は2032年、今から12年後の五輪南北共同誘致を表明した。現実に起こっている問題の解決よりも、12年先の話でお茶を濁す戦術かも知れない。目前に迫った総選挙対策であることは明白である。米紙『ワシントンポスト』が、絵に描いた餅と酷評したのは当然だ。

 

(2)「同紙は文大統領の対北朝鮮構想について、「空想家的(visionary)な物から愚かな(foolish)物までに分かれる」とし、「北朝鮮は韓国と対話することを拒否し、軽蔑と侮辱に満ちた公式報道を通じてのみ意思疎通を行っている」と指摘した。同紙は北朝鮮の女子サッカーチームが今年2月、済州島で開かれた東京五輪最終予選に参加せず、昨年10月に平壌で開かれたサッカー・ワールドカップ予選の韓国対北朝鮮戦が無観客・中継なしで行われたことを例に挙げた」

 

文氏の構想が、「空想家的なものから愚かな物まで」と酷評した。この表現はピッタリである。それにしてもVISIONARYからFOOLISHまでとは、思い切った表現である。それほど現実を無視した案ということであろう。北朝鮮の韓国に対する姿勢は、敵対的になっている。この状況を踏まえれば、いくら12年先の話とは言え、準備段階から躓くことは確実だ。その前に、五輪開催の決定が出るはずがない。

 


(3)「ヒューマン・ライツ・ウォッチでアジア局副局長を務めるフィル・ロバートソン氏は、「北朝鮮に対する認識に関して、文大統領は『ラ・ラ・ランド』(ファンタジー映画)のような別世界に住んでいる。五輪共同開催提案は現在の政治的現実と完全にかけ離れた太陽政策的楽観主義の上に構築された巨大プロジェクトだ」と評した」

 

文氏は、北朝鮮に対する認識が現実を無視した別世界であると指摘している。「北朝鮮愛」が暴走しているというべきだろう。この延長線で突然、韓国国民の北朝鮮旅行問題が浮上している。国民の安全性保障という重大問題を検討もせず、総選挙対策での人気取りでやるべきことではない。文氏は、「病膏肓(やまいこうこう)に入る」である。不治の病に陥っているのだ。

 

北朝鮮への個人旅行問題は突然、降って湧いた問題である。

 

文在寅大統領が新年記者会見(14日)で「北朝鮮への個別観光」に言及してからわずか6日後の20日、韓国統一部(省に相当)は「北朝鮮個別観光」の三つのシナリオを公表した。

 

(4)「統一部の当局者はこれらのシナリオについて説明する際、複数回にわたり「想像の翼を広げるとき」「政府の公式的な発表ではなく実務レベルでの検討」という言葉を使った。大統領が年頭から北朝鮮の個人観光をせきたてるため、綿密な検討もないまま時間に追われて出てきた「未完成のシナリオ」であることを認めた形だ。このように統一部が安全対策抜きの個人観光を進めていることについて、識者らは「国民を奥地の探検やサバイバルゲームに行かせようとしている」などと指摘する」(『朝鮮日報』1月21日付)

 


前記の記事は、次のような急場しのぎの案が考えられるという。

 

(A)「第三国経由の観光」で、これは北京の北朝鮮大使館や瀋陽の総領事館で北朝鮮ビザを受け、中国の旅行会社が販売する北朝鮮観光ツアーを利用するというものだ。現在、北朝鮮は韓国国民に観光目的のビザを発給していない。そのため北朝鮮が応じなければ実現不可能な「虚妄のシナリオ」にすぎない。

 

(B)北朝鮮が応じたとしても、国民の安全をどうやって担保するか検討も行われていない。2008年に金剛山観光が中断した理由は、北朝鮮が韓国人観光客を射殺し、これについて韓国政府が再発防止や安全対策を何度も要求したにもかかわらず、北朝鮮がこれらに一切応じなかったからだ。

 

(C)韓国統一部は、「個人観光は(かつて現代峨山が行っていた)事業形態の金剛山観光とは異なる」としか説明しない。確実な身の安全の保障がないまま個人観光の実現を目指すということだ。

 

文大統領は、思いつきでこんな危険な旅行を韓国国民に勧めている。国民の生命を守るべき大統領が、総選挙対策で無責任なことを発言したのだ。異常と言うほかない。