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文大統領は、4月15日の総選挙が、「審判の日」と見ているようだ。与党「共に民主党」が敗北すれば、文大統領が退任後に盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の二の舞になると恐れているという。自身の「身の安全」のためにも与党を勝たせねばならないと思い込んでいる。そのためには、禁じ手でも何でもやると殺気だった雰囲気である。

 

『中央日報』(1月22日付)は、「文大統領の危険な勝負手」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のイ・チョルホ/中央日報コラムニストである。

 

(1)「4月の総選挙が、「文在寅(ムン・ジェイン)選挙」に固まっていく雰囲気だ。与党ではひたすら文大統領だけが見える。官僚らは「青瓦台(チョンワデ、大統領府)政府」に圧倒されており、民主党も垂直的な与党・青瓦台関係に踏み付けられて存在感が感じられない。青瓦台出身の「親文(文大統領寄り要人)」だけで60人余りが総選挙に出て「非文」は見当たらない。文大統領のよどみない独走だ」

 

大統領府に秘書官として、かき集められた「86世代の浪人」が、再就職の積もりで総選挙へ60人も立候補させるという。これら「浪人」は、かつての学生運動家上がりで、ブルブラしていた連中という。文氏が、大統領を退けば「失業」必至の人たちだ。総選挙が再就職の機会のようである。



(2)「大統領の言葉にも凄じい力が加えられている。文大統領が新年記者会見で「チョ・グク前長官にとても大きな負い目を感じている」と言うと、2日後に新任検察幹部が「チョ・グク氏を無嫌疑で処理しなければならない」と主張した。青瓦台に向かって捜査の矛先を向けていた検事長は全員交代され、明日は部長・検事補に対する報復粛清が予告されている。軍事独裁政権もこれほどではなかった」

 

検察改革は、文氏とその支持者を守るためにやっていることがはっきりしてきた。これまでは、いかに検察が横暴であったかを力説してきた。横暴であったのは、裏にまわって検察を利用してきた大統領府であることが、下線部分で証明されている。

 

(3)「文大統領の「もう米朝対話だけを見つめない」という発言もものすごい波紋を起こした。それにけちをつけたハリス駐韓米大使に向かって「朝鮮総督か」(民主党議員)、「鼻ひげが日本巡査のようだ」(親文ネットユーザー)という人種差別・人格殺人の無差別的な攻撃が注がれた。大統領の一言に青瓦台・政府・民主党がスクラムを組んでひとまず押しつけるわけだ。常識や合理的な判断は姿を消した。文在寅・青瓦台で勤めたことのある人々はこのように口をそろえる。「首席と秘書官は過去の政権よりさらに大統領の顔色をうかがい、文大統領は民主労組と参加連帯だけを意識する」。そのため、左派政策だけがあふれるということだ。固定支持層に集中しているためだ」

本欄は、文大統領が支持団体の労組と市民団体だけに関心を向けていると主張してきた。下線の通り、文氏の頭はこれら「スポンサー」の顔色を覗っている。気の毒な大統領である。

 


(4)「大統領府の人々が語る共通分母は、文大統領が政権再創出に失敗(注:総選挙敗北)するかもしれないという漠然とした恐怖だ。文大統領は盧武鉉氏のそばで総選挙・大統領選挙に敗北する場合、どのようなみじめな末路を迎えるのか最も近くで見守った。そのせいか昨年末から無理に選挙法を直して総選挙の変数になり得る検察の捜査は急いで無力化している。また、「検察改革」という名で検察トップの「尹錫悦(ユン・ソクヨル)ライン」を直接除去した。想像することさえ難しかったことを全く恥とも感じずに全うしている

 

文大統領は、高尚な政治家ではない。ただの「政治屋」に成り下がっている。選挙に勝つために、「禁じ手」を次々と繰り出しているからだ。選挙法を変える。検察トップを支えてきた人たちを一斉に左遷する。軍事政権時にも考えられなかった手を使っている。こういうなりふり構わない姿を見ると、自分の政策がすべて失敗したという自覚があるのだろう。

 

(5)「これ以上陣営論理かどうかを問い詰めるのは無駄なことだ。文大統領は4月の総選挙を全面戦争であり、最後の勝負所とみて報告総力戦を覚悟している

 

文大統領は、4月の総選挙結果が自身に直接、影響してくると認識している。政策を真面目にやらず、良い結果だけを求める。そんな虫の良いことが実現するはずがあるまい。