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1月23日午前10時、武漢市の交通機関が閉鎖された。人口1100万人の都市である。市民は、この日の未明に朝10時に駅を閉鎖されると聞かされ、行く当てもなく列車に飛び乗って武漢を離れるのに精一杯であった。武漢市民が、これだけ慌てて脱出を図る裏には、相当数の患者が出ていることを知っていたからだろう。裏情報に強い中国市民は、政府の公式発表を信用せず、独自の情報を頼りに動いているに違いない。

 

中国国営テレビによると、武漢肺炎による死者数は23日午前11時点(日本時間)で17人、発症者は571人。感染は武漢市のほか、北京、上海、マカオ、香港でも確認された。タイでも4人、米国、台湾、韓国、日本ではそれぞれ1人の感染が確認されている。問題はこれからどう事態が動くかである。

 

中国メディア『財新網』は、武漢市内の重点病院に勤務する複数の医師の話として、武漢肺炎の感染者は6000人を超えていると伝えた。国営テレビでは、発症者数は571人である。武漢市内の重点病院に勤務する医師の情報では、政府発表の10倍にも達している。どちらの話を信用するかと言えば、中国人的な感覚では身近な人の情報である。

 


『大紀元』(1月23日付)は、武漢市、「戦時状態」宣言、交通機関を閉鎖、脱出図る市民で混乱」と題する記事を掲載した。

 

中国湖北省武漢市政府が23日早朝に開催した新型肺炎の対策会議で、「全面的に戦時状態に入った」と宣言した。当局は同日未明、23日午前10時から武漢市から出発する高速鉄道、航空便、長距離バスなどの運行を停止すると発表した。多くの市民が脱出を試みた。

 

(1)「中国メディアによると、武漢市党委員会書記で感染防止指揮部のトップである馬国強氏が早朝、会議を召集した。会議は、今後の感染拡大防止について「全面的に戦時状態に入った」とし、「戦時状態の措置を実施し、感染のまん延を断固として阻止する」との方針を固めた。武漢市は23日午前2時、交通機関を閉鎖すると公表した。通達は「2020123日午前10時以降、市内のバス、地下鉄、フェリー、長距離バスなどの運行を一時停止する。特別な事情がない限り武漢を離れてはいけない。空港、鉄道駅を一時閉鎖する。再開について、別途に通知する」とした」

 

ウイルスは、すでに「変異」していると指摘されている。中国の春節では、延べ20億人以上が移動すると言われるだけに、月末にどれほど患者が増えているかが焦点である。WHO(世界保健機関)は、まだ結論を出さずに「状況を見る」としているが、出遅れにならないだろうか。

 


(2)「ネット上では、中国軍、共産党中央軍事委員会は、社会不安の広がりを防ぐために、中部戦区の一部の兵士を武漢市に派遣し、空港などの閉鎖に当たらせたとの情報が出た。しかし、中国当局からの発表はない。市の発表を受けて、市民の間ではさらに不安が広まった。多くの市民が閉鎖時間の10時までに市からの脱出を図り、高速鉄道の駅、鉄道駅、空港などに殺到した模様。中国メディア『財新網』(23日付)によると、鉄道駅のチケット売り場で列に並んだ市民は「どこへ行ってもよい、武漢を出られるならどこでもいい」と話した。観光で武漢を訪れていた北京市民は「武漢市政府が空港などを封鎖すると知って、すぐ荷物をまとめた。でなければ、ここに足止めされてしまうから」とした」

 

武漢市民で、避難できる経済的にゆとりある層はいいものの、残留せざるを得ない人には深刻であろう。長期戦の構えはできているだろうか。封鎖解除までには、かなりの時間がかかる。その間、中国の受ける経済的な損害は甚大だ。2003年のSARSでは、個人消費が相当な影響を受けている。

 

(3)「香港紙『蘋果日報』(23日付)によれば、武漢市の高速鉄道駅では、市からを脱出しようとする市民らが大きな荷物を持っていて、「皆が慌てている様子だった」。高速鉄道の券売機に全部「故障中」との張り紙が貼られていたため、市民らは窓口に集中した。現場は混乱していた。

 

SARSといい今回の武漢肺炎といい、発症地はいずれも中国である。衛生環境が悪い結果だ。こうした脆弱性を抱える中国が、世界覇権の夢を持つこと自体に矛楯を感じないだろうか。偉大なる空想国家、と言うほかない。