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 元日産自動車のカルロス・ゴーン被告は、逃亡先のレバノンで逃げ得によって安泰か。日本の司法当局とレバノン当局間で新たな動きがあった。

 

ゴーン被告の弁護団のうち弘中惇一郎弁護士と高野隆弁護士が弁護人を辞任したことが16日、分かった。主任だった河津博史弁護士は引き続き担当するという。弘中弁護士と髙野弁護士には「懲戒請求」が出されるなど、逃亡後の日本ではその余波が収まらない状況である。

 

『ロイター』(1月23日付)は、「日本とレバノン、ゴーン被告の裁判巡り40日以内の合意必要=関係筋」と題する記事を掲載した。

 

保釈中に不正に日本を出国した日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告について、逃亡先のレバノンと日本の当局は日本に身柄を引き渡すか、レバノンで裁判を開くかについて約40日以内に決定する必要がある。司法筋とゴーン氏に近い関係筋が23日、明らかにした。

 

(1)「日本とレバノンは犯罪人引き渡し協定を結んでおらず、レバノンは通常、自国民の身柄を他国に引き渡すことはしない。ゴーン被告の弁護団は、被告が国籍を持ち、深いつながりがあるレバノンで裁判を受け、潔白を証明することを望んでいる」

 

(2)「関係筋によると、日本の当局は最近、正式な引き渡し要請のためには、どのような資料を提出する必要があるのか、明確にするようレバノン側に求めた。司法筋は「レバノン側は回答し、私たちはきょう、これを日本側に送った」と述べた。関係筋によると、この両国のやりとりは重要性が高い。ゴーン被告の裁判をどこで、どのように行うかについては、両国が

40日以内に合意を結ぶという国際刑事警察機構(ICPO)規則上の規定が適用されるためだ

 

(3)「ゴーン氏に近い関係筋は、日本側はレバノンに正式にゴーン被告の引き渡しを要請するか、被告の捜査資料をレバノンに送り、同国での裁判手続きに合意するかのどちらかを行う必要に迫られていると指摘した。レバノン検察当局は今月、ICPOによる逮捕手配書を受け、ゴーン被告の事情聴取を実施し、渡航禁止令を出した。日本の検察当局はこれまで、国内で裁判を開くことを引き続き求めていると明らかにしている」

 

日本とレバノン両国は、40日以内に合意を結ぶという国際刑事警察機構(ICPO)規則が適用されるので、2月一杯にはゴーン被告を巡る措置が決まる見通しになった。

 

『産経新聞』(1月17日付)は、「高野弁護士にも懲戒請求、ゴーン被告逃亡肯定『品位に反する』」と題する記事を掲載した。

 

カルロス・ゴーン被告の弁護人を務めた高野隆弁護士に対し、東京都内の男性から「被告の逃走を肯定する発言をブログでしたのは重大な非行」などとして第二東京弁護士会に懲戒請求が出され、同会の綱紀委員会が調査を開始したことが17日、関係者への取材で分かった。弘中惇一郎弁護士にも東京弁護士会に懲戒請求が出され、既に調査が始まっている。

 

(5)「高野氏はゴーン被告逃亡発覚後の4日、自身のブログで「公正な裁判は期待できない」などと日本の刑事司法制度を批判した上で「彼と同じ財力、人脈、行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとするだろうことは想像に難くない」などと発信した。関係者によると、懲戒請求書では高野氏について「被告を管理監督する立場にいながら、このような発言をすることは、あまりに無責任であり、違法行為を肯定する発言であり、助長する行為。弁護士としての品位に反する行為であるのは明白」などと指摘。高野氏が逃亡に関与した疑いもあるとして同弁護士会に調査を求めた」

 

弘中弁護士は、「無罪請負人」とまで言われる敏腕弁護士として名を馳せている。ゴーン被告の逃亡は、そのキャリアにシミを残すであろう。ゴーン被告は、とんだ騒ぎをまき散らしものだ。