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武漢市で起こった新型肺炎は、感染者が日ごとに増えている。すでに二次感染、三次感染の段階に移行した。武漢市へ旅行したことがなくても発症しているのは、二次感染、三次感染を物語っている。まさに、爆発的な感染域の拡大である。

 

たまたま、春節(旧正月)の時期と重なるという不運も手伝い、ピークは2月になるとの見方さえ出始めた。WHO(世界保健機関)は「緊急事態」宣言に慎重であるが、中国以外の国々への感染がさらに広がれば、いつまでも「事態静観」では済まされまい。

 

『大紀元』(1月24日付)は、「新型肺炎、2月にピークか、2次―3次感染が起きているとの報道」と題する記事を掲載した。

 

中国湖北省武漢市を中心に発生した新型肺炎に2次感染と3次感染の事例が報告されたことが明らかになった。中国の専門家は2月が感染のピーク期になる恐れがあると指摘した。中国当局の発表によると、12324時までに、青海とチベットを除く29の省と市で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染者830人が確認され、死亡者25人にのぼった。

 


(1)「米CNN23日付によれば、新型肺炎の情報収集に当たっている世界保健機関(WHO)のデイビット・ハイマン博士は、「2次感染と3次感染が起きている」と話した。中国疾病管理予防センターの元副主任の楊功煥氏は23日、中国メディア『界面新聞』に対して、「2次感染の症例が報告された。症例が増えている。20202月が感染拡大のピーク期となると推測」と述べた。楊氏によると、上海市と広州市では2次感染の症例が報告された。感染者は武漢市への訪問歴がない

 

武漢市への訪問暦がない人が、上海と広州で発症しており、あきらかに2次感染である。これは、爆発的な患者発生の前兆であろう。菌が変異していることを伺わせている。まだ、特効薬がない段階だけに、「自然鎮火」を待つしかないのだ。今後も、感染患者が増え続け、2月ピーク説が出ている。

 

武漢市の防疫体制は不完全とされている。SARSの病原菌を突き止めた香港大学教授・管軼主任は、「今回の状況に恐怖を感じた」という。これまで「鳥インフルエンザ、SARS、A型インフルエンザウイルスのH5N1亜型、豚コレラ」を経験した同氏は、今回の武漢肺炎について、「強い無力感に襲われた」「今回の感染規模は控えめの試算でもSARSの10倍以上だ」「現在、感染源は全面的に広まっている」などと述べている(『大紀元』1月24日付)。この超専門家の意見に耳を傾けるべきだろう。

 

(2)「中国疾病管理予防センターの元副主任・楊功煥氏は取材中、中国当局が新型肺炎の情報を隠ぺいしていると批判した。「政府系メディアは、真実を話さない人が『千古の罪人』だと宣伝しているが、実際に、今回多くの医療従事者が感染したという事実も長い間隠され、最近やっと報道された」。楊氏は2003年重症急性呼吸器症候群(SARS)の大流行の際、国の防疫対策に携わった。「当時SARSの感染が爆発的に広がったのも、最初情報隠ぺいがあったからだ」。一方、中国衛生当局、国家衛生健康委員会は23日、「新型コロナウイルスによる肺炎の感染診療方案(試行第3版)」を各地政府に公布した。これによると、一部の重症、また危篤状態の患者が「熱は高くない」、あるいは「明らかな発熱がみられない」という

 

下線部分のように、重症患者でも発熱が見られないという特色がある。それ故、医師が見誤るケースも出ており、これが感染域を広げる結果になっているのかも知れない。「新型」と言われるゆえんだ。ベテラン医師でないとすぐには見抜けないかも知れない。

 

中国は、これから経済的にどの程度の被害を受けるのか。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月24日付け)は、「新型肺炎、中国経済の打撃はSARS以上か」と題する記事を掲載した。

 

(3)「帰省や海外渡航のために数億人が移動する春節を前に、中国は恐ろしい呼吸器感染症と再び戦っている。良いニュースは、湖北省武漢市で発見された新型コロナウイルスが今のところ重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスほど悪性ではないようにみえること。SARSウイルスは武漢のウイルスと似ており、動物から人に感染する。2003年に広東省で流行し、最終的に700人以上が死亡した」

 


(4)「悪いニュースは、高速鉄道をはじめとする中国の交通インフラが03年のSARS流行時よりもはるかに充実しているため、ウイルスが急拡大していると考えられることだ。中国経済も、2000年代の初めに比べてサービスや消費支出への依存度がかなり高くなっている。03年の流行のピーク時には、小売売上高の伸びが前年比で半分ほどに落ち込んだ。そのため、中国経済はSARSに見舞われた時よりも無防備だ。当局がいかに迅速に感染拡大を制御できるかが鍵になるだろう」

 

武漢肺炎は、SARSよりも致死率で悪性でないという。ただ、感染地域の拡大と感染者増加は、経済活動(個人消費)に大きな影響を与える。特に、武漢肺炎は春節時期と重なっているので、個人消費への影響は不可避だ。実は、SARS(2002~03年)の時は、名目民間最終消費支出の対名目GDP比にはっきりと影響が出ていた。この実態を見れば、「影響軽微」とは言えまい。

 

名目民間最終消費支出対名目GDP比率

2000年 46.86%

  01年 45.75%

  02年 45.25%

  03年 43.16%

  04年 41.14%

  05年 40.16%

  06年 38.33%

   (資料:国連)

 

02~03年を境目に、個人消費である名目最終消費支出は、45%ラインを下回り、2018年の38.68%に至るまで回復できずにいる。これは、GDP下支えでインフラ投資や不動産開発投資に依存した面もあるが、SARSの爪痕を感じる。

 

今回の武漢肺炎は、春節に重なっている。これは、個人消費が最も盛り上がる時期に水をかけるに等しく、GDPへの影響は「甚大」と見なければならない。米中貿易戦争は、「第1段合意」で、「半休戦」にこぎ着けた。だが、武漢肺炎がそれに、水をかけることは確実である。習近平氏は、次々と思わぬ事態に遭遇しており、持って生まれた「運」を使い果たしたようである。