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新型ウイルスの発症地の武漢市は、春節前に500万人が脱出していたことが判明。中国全土にウイルスを拡散したと見られる。総人口1100万人とされる同市で、約5割近い人がいなくなった計算だ。

 

SNSによって、悲惨な実態が飛び交っていた。「自衛上」の措置ではあるが、感染拡大という点で、深刻な事態が予想される。

 

『レコードチャイナ』(1月27日付)は、「衝撃、武漢から出た人は500万人以上」と題する記事を掲載した。

 

環球時報(1月27日付)は、新型肺炎が発生した湖北省武漢市から春節前に500万人が市外へと脱出したことに関する社説を掲載した。

(1)「社説は、周先旺(ジョウ・シエンワン)武漢市長が26日の記者会見で「春節や新型肺炎の影響により、現在までに500万人余りが武漢を離れた」と発表したことを紹介。この情報が大きな衝撃を与えたとした上で、「武漢市が必要な緊急措置を講じず、これほど多くの人を全国各地に拡散させたことは、非常に残念な作業上の手抜かりであると指摘しなければならない」と批判した」

 

(2)「一方で、「この500万人全員が感染から逃れるため故意に武漢を離れたわけではないと信じている。武漢は全国でも最も大学が集中した都市で、里帰りしたい学生がたくさんいたはずであり、武漢を離れた人すべてに怒りの矛先を向けることはできない」とし、現在の最重要課題はこの500万人による巨大なリスクを可能な限りコントロールすることだと論じた。そして、世論に対して「武漢を離れた市民に対して、自ら進んで現在の滞在地の関係機関に連絡し、自己隔離を積極的に行うよう宣伝を強化する必要がある」とした。また同時に「各地の社会は決して現地にいる武漢人を差別してはならない。一番避けなければいけないのは、感染地域からやってきた人たちが差別を恐れて情報を隠すことだ」と指摘している」

 

(3)「社説は最後に、「2003年のSARS時の経験が、どんなに複雑でも社会全体を動員すれば感染はコントロールできるということを教えてくれる」とし、「決して慌てたり恐れたりすることなく断固とした態度で行動し、社会一人一人の責任感を動員すれば、新型肺炎の前に市民の意志による強固な砦ができ上がるのだ」と結んだ」

 

SARS(2002~03年)発生時と較べて、個人情報発信力が格段に発達している現在、当局が情報管理したことの失敗が、こういう形で表れたと見られる。個人への言論弾圧が、政府への信頼を失わせて、自衛行動へ駆り立てたものだろう。