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1月28日午前の東京株式市場で日経平均株価は続落した。午前終値は前日比219円安の2万3124円51銭。中国で発生した新型肺炎の感染拡大への警戒感から27日の米国株が下落し、日本株にも売りが優勢になったもの。

 

今後の株価下落で参考になるのは、2002年~03年に猛威を奮ったSARS(重症急性呼吸器症候群)時の株価動向だ。当時は02年11月に発症が確認され、3年4月に株価は底入れした。同7月にWHOに封じ込め完了が宣言された経緯がある。

 

『ロイター』(1月28日付)は、「世界的に株価下落、新型肺炎への懸念強まる:識者はこうみる」と題する記事を掲載した。

 

27日は新型肺炎への懸念で世界的に株が売られ、米主要株価指数はいずれも1.5%超下落。原油価格も3カ月ぶりの安値を付けたほか、人民元も年初来安値まで下げた。

 

(1)「感染拡大はこれまでの措置では流行を抑止できていないことのシグナルだと市場が恐れていることは明らかだ。株式相場全体や米金利でもリスクオフの動きになっており、市場では6月の利下げ確率が約50%、12月までの利下げは確実だと織り込んでいる」(ナットウエスト・マーケッツの米州戦略部長、ジョン・ブリッグス氏)

 

米国株は、過去10年間、最高のパフォーマンスを上げてきた。その反動もあり、きつい下げ場面も予想される。ただ、今年は大統領選挙の年であり、市場は利下げを織りこむだろう、という予想だ。

 


(2)「投資家は問う前にまず売りを出す。株価下落は新型コロナウイルスの拡大に対する理性的な反応だ。中国経済、そしておそらく世界経済は短期的に打撃を受けるだろう。しかし、中期的には買いの好機であることが証明される公算が大きい。例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)が発生した2002年11月半ば03年3月半ばには、S&P500は底を打つまでに12%下落した。しかしその後切り返し、同年を19%高で終えている」(インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者クリス・ザッカレリ氏)

  

 SARSの例では、米国株(S&P500)が底を打つまでに12%下落し、その後2003年には19%高になった。この例から言えば、当面は売って様子を見ながら、買い戻す姿勢を持つことが「新型コロナウイルス」騒ぎを乗切る方法のようである。

 

当面の世界経済への影響はどうなるか。『ロイター』(1月24日付)「新型肺炎、世界経済に伝染リスク、あらゆる事態に備えよ」は、次のように伝えている。

 

(3)「新型コロナウイルスがどこまで拡大するか把握するのは難しい。1918年から19年に全世界で流行したスペイン風邪では、5000万人の死者が出た。世界銀行が2014年に出した推計では、これと規模と影響が類似した伝染病が広がれば、損失は世界の総生産(GDP)の5%近く、額にして3兆ドルに達する見通しだ。当時に比べて世界経済は成長しているため、今なら額はさらに膨らむかもしれない」

 


(4)「大半の伝染病は、これよりも死者数がはるかに少なく、地域も限られている。0203年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行による死者は800人弱で、大半はアジアだった。ただし、SARSへの恐怖は、観光業への深刻な打撃など、他の影響ももたらした。世界保健機関(WHO)は、感染が確認された都市への海外からの渡航が半分未満に減ったと推計している。調査によると、経済的損失は400億600億ドルに及んだ。ただ、各地の経済は急回復した」

 

SARSでは、観光業への影響が大きく出た。中国人観光客に依存する日本への影響は避けられないだろう。この面では、警戒すべきだ。