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韓国経済は、音を立てて崩れている感じである。最低賃金の大幅引上げ(2年間で29%)と週労働52時間が、大きなブレーキになっている。現実を無視して、理想論を追いかけすぎた反動に見舞われている。昨年の実質GDPは、2.0%成長であった。名目GDP成長率は、1.2%の模様だ。この結果、GDPデフレーターはマイナス0.8%見当と見られ、これがGDP成長率を押し上げたもの。不況期特有であるGDPの「名実逆転」が起こっていた。

 

文政権は、学生運動家上がりの集団である。北朝鮮問題になると目の色を変えるが、経済成長には無頓着である。最賃の大幅引上げと労働時間短縮を組み合わせたらどうなるか。経済が失速するということに気付かなかったのだ。この集団が、韓国経済の舵取りをしている以上、潜在成長率は低下して当然である。一言で表わせば、韓国経済は衰退過程に嵌り込んでいる。

 

『中央日報』(1月28日付)は、「下降一途の韓国経済基礎体力、OECD推算潜在成長率 10年間で1.4%ポイント低下」と題する記事を掲載した。

 

韓国の潜在成長率が2%台中盤まで落ちたという経済協力開発機構(OECD)の分析が公表された。潜在成長率は労働力や資本のような生産要素を最大限活用して景気過熱を招かずに実現できる成長率だ。国家経済の基礎体力を示す。



(1)「28日、OECD発表によれば、韓国の潜在成長率予想は今年2.5%だ。これまでの潜在成長率の推移を示す。

2021年 2.4%

2020年 2.5%

2019年 2.7%

2018年 2.9%

2010年 3.9%

2009年 3.8%

潜在成長率が3%台から2%台に落ちるのに9年(2009~2018年)かかっているが、2%台から1%台に落ちるまでにかかる時間はこれより短くなる可能性が高い」

 

 

潜在成長率は、生産年齢人口比率と深い関係がある。
                     生産年齢人口比率

2014年 73.41%(ピーク)

  15年 73.36%

  16年 73.16%

  17年 72.92%

  18年 72.61%

(資料:世界銀行)

 

上記の生産年齢人口比率は、2014年がピークである。その後は、「人口オーナス期」に移行しているが、その低下幅は微々たるもの。一方、潜在成長率低下は大幅である。経済政策の失敗がもたらした結果と見るほかない。

 


(2)「人口高齢化が急速に進む中、革新不振、サービス業生産性の停滞などが複合的に作用して下落ペースが速まっているとみられている。15~64歳の生産年齢人口は2017年を基点に引き続き減少していく見通しだ。韓国経済の生産性向上ペースも遅くなっている。米国の経済研究機関「コンファレンスボード」によると、韓国の全要素生産性増加率は2017年1.2%から2018年0.5%に下落した。全要素生産性は労働と資本の投入量では説明できない付加価値の増加分を意味する。生産過程での革新と関連が深い」

 

韓国の全要素生産性増加率は、2017年1.2%から2018年0.5%に下落している。この理由は、失業率の増加と労働時間短縮がブレーキをかけたと見られる。生産量が減ったのだから、全要素生産性増加率が低下して当然であろう。

 

韓国雇用労働部が52時間を超えて勤務していた107万人余りを調査したところ、52時間制導入で平均月収が38万8000ウォン減少していた。上限の68時間近く勤務してきた労働者にとって、時間にすると23.5%の時間短縮だが、休日手当や夜勤手当、超過勤労手当等の割増支給を考慮すると手取り収入は20%から30%減ることになるという。生活の質を高めるはずの52時間制が、経済不安を高めるのだ。

 

(3)「実質成長率は、低下する潜在成長率にも及ばなくなっている。韓国の昨年の国内総生産(GDP)成長率は2%だ。OECD推算の潜在成長率に比べて0.7%ポイントも低い。今年、政府の成長率目標(2.4%)を達成するといっても、潜在成長率を下回っている。潜在成長率が低くなり、政府の拡張財政や韓国銀行の政策金利の利下げのような通貨政策が大きな効果をあげにくくなっているという意味だ

低下している潜在成長率を引上げるには、構造的な脆弱性にメスを入れるほかない。労働市場の流動化である。働き方の多様性を実現することだ。労組が反対しても国民を救済する目的であれば、強硬策で突破するのも政治力である。文政権には、それができないのであろう。