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2月3日は、春節の連休明け初取引である。株式・人民元の相場はどこまで下げるのか。新型コロナウイルスの感染者は、SARSを大幅に上回って1万人1791人(1日現在)を数えている。先行きが、全く見えない中で、上海市場は再開される。関係者は当局が、どのような対策を打つかにも目を配っている。

 

『ブルームバーグ』(1月31日付)は、「中国金融市場、週明け取引再開ー売り殺到に備える関係者」と題する記事を掲載した。

 

中国経済を脅かす新型コロナウイルス感染の拡大を受け、他国の金融市場には既に反応の機会があったが、2月3日に取引が再開される中国市場では容赦ない売りが殺到する公算が大きい。

 

(1)「春節(旧正月)連休入り前の1月23日以来初となる取引では、株・商品相場が急落するのはほぼ確実で、債券利回りも低下しそうだ。株式市場ではレバレッジが約11カ月ぶりの高水準にあるだけに、下げは増幅する可能性が高い。株価急落でトレーダーが追加証拠金の支払いを迫られさらなる下降スパイラルが生じる恐れがある」

 

下線部のような事態が起これば、スパイラル的な値下がりに追い込まれる。それ故、当局がどの時点で介入するかを注目している。

 

米キャタピラーは、製造業活動の世界的指標とされている。鉱業・建設機械メーカーの世界景気が、2020年に一段と厳しくなると警鐘を鳴らしている。それは、同社の示した20年通期の利益見通しが、アナリスト予想を1株当たり最大で2ドルも下回ったからだ。市場は、新型コロナウイルスの感染拡大や製造業活動の低迷、大幅な設備投資削減の影響で揺らいでいる。震源地の中国はどういう反応するか、世界が固唾を飲んで見守っている。

 


(2)「どれだけ売りが極端になりそうかを示す事例としては、昨年5月の連休明けに米中通商対立を巡る悪材料に反応し上海株式市場の指標が6%近く下落したケースがある。市場の緊張ムードを強めるのは、銀行が短期資金で1兆元(16兆円)余りを返済する中国で最大級の流動性イベントが予定されていることだ。人民元がオフショア取引で1ドル=7元台の元安水準にあるため、日々の人民元中心レートも注視されそうだ

 

昨年5月の連休明けに、上海株式市場の指標が6%近く下落した。米中通商対立を巡る悪材料に反応したものだ。今回の新型ウイルスによる経済停滞の影響は、昨年5月の比でない。前記6%をどこまで上回って下落するかである。少しでも、楽観材料があれば安値を拾う動きもあろうが現在、そういう明るい材料は後で述べる医薬品開発ぐらいである。

 

人民元は、すでにオフショア取引で1ドル=7元台の元安水準にある。これが、オンショア取引(上海為替市場)で、どこまで反映されるか。中国当局が、意図的に下げ場面へ誘導すれば、米国政府の目が光っている。安易な手は使えない。こちらは「無介入」を通すか。

 

(3)「INTL・FCストーンのトレーダー、ミンツォ・ウ氏(シンガポール在勤)は「市場は弱気な反応に備えている。月曜日に弱気一辺倒の動きが見込まれ、状況が改善するまでの予見可能な将来も立てられる可能性もある」と指摘。当局は資金注入と強い人民元レートの設定を通じて、ボラティリティーの抑制を試みるだろうと付け加えた。オンショア株式市場では、2015年のバブル崩壊後に導入されたサーキットブレーカーが裏目に出た後、指数下落を制限する同措置は停止されている。中国本土上場株の値幅制限は上下10%。デリバティブ(金融派生商品)を欠くことで投資家はヘッジが難しい状況だ」

 

当局は、ボラティリティ(予想変動率)を抑制する動きによって、相場を誘導することはあり得る。ただ、現実の売り勢力が強ければ、いかなる誘導策も吹き飛ばす。

 

一つ明るい材料は、未確定だが特効薬への期待だ。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月31日付)が、「新型ウイルス、米製薬大手が救援に」と題する社説で、次のよう指摘している。

 


(4)「科学者らがSARSワクチンを開発して臨床試験を行うまでに20カ月かかったが、今回NIH米国立衛生研究所)は4月までにワクチンの臨床試験の準備が整うことを期待している。その間に何万人もの人々が発病するかもしれないが、米国の製薬会社は新型ウイルスに効く可能性のある抗ウイルス薬を寄付しようとしている」

 

米国立衛生研究所では、4月までにワクチンの臨床試験準備ができるように期待しているという。その可能性があれば、局面が変ってくる。

 

(5)「アッヴィとJ&Jはエイズウイルス(HIV)治療薬を中国に出荷しつつあり、ギリアド・サイエンシズは他のコロナウイルス向けに動物実験を行った抗ウイルス治験薬が今回の感染症治療に役立つかどうかを研究している。メルクは、自社医薬品の製品群の中に転用可能なものがあるかどうかを調べている」

 

既存の医薬品のなかで、新型ウイルスの治療に役立つものがあるかどうかを調査中という。意外と、全く効用の違う薬品が役立つケースが報告されている例がある。その可能性にも期待しているのだ。