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中国は、海外ハイレベル人材を招致するプロジェクトとして「千人計画」を推進している。技術窃取が目的だ。世界の一流学者に莫大な研究資金と生活費を渡し、研究成果を横取りする「ハゲタカ・プラン」である。本来ならば、自国の学者にやらせるべき仕事を海外学者に振り分けて、短期間で研究成果を手に入れようという横着な考えである。

 

最近、中国の研究費が急増している、中国人研究者の論文引用回数が増えている、派手な話題で中国の「活躍ぶり」が注目されている。その舞台裏は、今回のハーバード大学化学・化学生物学部の学部長チャールズ・リーバー教授が、FBIから「重大な虚偽、架空請求、詐欺」の容疑で刑事起訴されて明らかになった。

 

かねてから、私は中国研究者が彗星のように登場して、世界の耳目を集めていることが不思議でならなかった。失礼だが、そういう学問的な基盤のない中国から、短期間に輩出されるはずがない。案の定、「金満国家」の常套手段は、買収によって相手を手なずける旧弊な手口であった。中国は、相変わらず札束で人を支配できると見ている古い国である。

 


『大紀元』(2月2日付)は、「
ノーベル賞候補化学者の失墜、中国、千人計画で厚遇『報酬は月500万円』」と題する記事を掲載した。

 

米司法省は128、ハーバード大学化学・化学生物学部の学部長を中国政府との関係の申告義務を怠ったとして刑事起訴した。なぜ、ノーベル賞候補にもなるハイレベルの米専門家が、国の重要な知的財産が共産党政権に渡るリスクを顧みず、罠に足を踏み入れてしまったのか。その経緯が、司法省の起訴状で明らかにされた。

 

(1)「起訴状によると、教授は米国国防総省と国立衛生研究所から研究資金を受け取っていた期間と重なって、中国共産党中央組織部が率いる海外ハイレベル人材招致「千人計画」に加わっていた。中国側から報酬や研究資金を受け取っていたが、そのことを米国側に報告しなかった。司法省は、「外国政府または外国企業からの支援は財政的利益相反にあたるため、情報開示が必要」としている」

 

千人計画」とは、中国が科学発展、経済繁栄、国家安全保障を前進させるため、海外から、先駆的な技術を持つ科学者や研究者を厚遇で招き入れる、人材計画のひとつ。中国当局は、千人計画で迎え入れた外国研究者に対して、海外での研究成果や技術情報を中国側に渡すことを要求する。このため米司法省は、千人計画が知的財産と技術の窃盗に繋がるとみなしている。米ニューヨーク・タイムズによると、米捜査当局はこれまで米国71機関で、千人計画に関する180件の知的財産窃盗の調査を行っている。

 

(2)「リーバー教授は、ナノサイエンス・ナノテクノロジーの分野で先駆的な化学者とされる。2008年にはノーベル化学賞候補に名前が挙がった。ロイター通信は、 2010年に教授を「世界をリードする化学者」として報じた。国際的に権威ある科学誌に400以上の論文を発表し、ナノサイエンスに関する多くの書籍を編集した。教授はまた、50を超える米国の特許を保有する。発明家でもある教授は、ナノおよび分子レベルの有機生物を検出する顕微鏡を開発し、ロバート・A・ウェルチ化学賞など多数の賞を受賞している。ハーバード大学によると、中国国務院の直属機関でハイテク総合研究と自然科学の最高研究機関である中国科学院は、201512月、リーバー教授を招聘教授に任命している」

 

リーバー教授は、2008年にはノーベル化学賞候補に挙がる著名な化学者である。50を超える米国の特許を保有するほどで、「金に目が眩む」という訳でなかったはずだ。ここが、人間の弱さであろう。ただ、ハーバード大学の学部長に就任するほどの実力者であれば、自己の名誉を第一に考えて行動すべきであった。比較にならないが、かつて私も「学部長」を拝命していた時期がある。その際、「名誉」を汚してはいけないという意識がいつも頭にあった。そういう「自己抑制メカニズム」が働かなかったとすれば、教授失格である。

 


(3)「リーバー教授は、中国の武漢理工大学に「戦略科学者」として201116年まで、雇用計画を結んだ。これとは別に、中国国家計画の「千人計画」にも、201217年まで参加した。この千人計画の期間の5年間、教授は毎月5万米ドル(約540万円)の給料のほか、年間15万米ドル(約1620万円)の生活費を支給されている。「武漢理工大学ハーバード共同ナノテクノロジー研究所」設立費として150万米ドル(約16200万円)以上の資金も得ている。さらに、米中を往復するビジネスクラス航空券代金を中国側が負担する契約であった」

 

リーバー教授は、金銭的に至れり尽くせりの待遇を受けていた。米国に居住しながら毎月5万米ドル(約540万円)の給料のほか、年間15万米ドル(約1620万円)の生活費を支給されていた。中国が、破格な待遇をすることに疑問を感じないはずがない。共同正犯であろう。こういう形で支払われる金額が、中国の研究費に含まれているのだ。インチキな国である。

 

(4)「リーバー教授に課された仕事は次のようなものだった。

1)武漢理工大学(以下、大学)で化学研究を実施する

2)大学の名前を使い、有名な国際学術雑誌に高レベルの論文を発表する

3)大学で研究グループを設立し、研究革新に貢献する

4)大学で4人以上のポスドク(博士後研究員)学生の国際学術誌への論文発表を支援する
5)大学主催で、国際的に重要な影響を与える1つまたは2つの国際会議を開催する

6)「武漢理工大学ハーバード共同ナノ研究所」に、13人の国際的なトップレベルの科学者を招待し、実験の仕事に就かせる。


 上記6項目を見ると、武漢理工大学の「売名行為」に手を貸していることが明白だ。中国人研究者を世界に売り込む役割を担わされていた。「研究者セールスマン」である。しかし、こういうセールス目的だけに莫大な資金を使うとは思えない。技術窃取であろう。ここまで「金」を積まれれば、ノーとは言えなくなる。これが、人間の心の弱さだ。中国は、それを知り尽くして、金をばらまいているのだろう。