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けさ、下記の目次で発行しました。よろしくお願い申し上げます。

 

ウイルス発症の裏に低医療費

野生動物を食する文化が仇に

米が中国経済回復のカギ握る

アジアの「病人」に成下がる

 

中国は、武漢を発症地とする新型コロナウイルスによって、その脆弱性がすべてむき出しになった。GDPは世界2位でも、1人当り名目GDPは昨年、ようやく1万ドル台に乗ったばかりだ。ここで一気呵成に成長路線を歩むのか、と言えば絶望的である。この1万ドル台に乗るまでに、不動産バブルという「ロケット」で押し上げられたからである。

 

バブルは所詮、バブルである。バブルが「泡」である以上、いつかは消え去る運命である。中国は、これが永遠に続くものと誤解している。足元を固めずに「前へ前へ」とのめり込んで来たのだ。そのフラフラになっている足元に起こったのが、今回の新型コロナウイルス発症である。起こるべくして起こった事件である。

 

ウイルス発症の裏に低医療費

中国の医療費は、驚くほど低位である。海外から技術窃取する目的で招請する人材計画の「千人計画」は、対GDP比2%の資金をつぎ込んでいる国である。国威発揚には、湯水のように資金を使い、国民の医療向上には熱意を見せない国なのだ。国民大衆には、足手まといといわんばかりの冷遇である。

 

中国医療費の対GDP比率

2012年 4.55%(世界順位 140位)

2013年 4.71%( 〃   140位)

2014年 4.77%( 〃   142位)

2015年 4.89%( 〃   139位)

2016年 4.98%( 〃   133位)

(資料:世界銀行)

 

人口世界一の中国が支払う医療費の対GDP比が、世界140~133位というのは、どう頭をひねっても理解できない数字である。中国全土に3000箇所といわれる「ガン村」が存在する。土壌汚染、水質汚染による被害が、国民の健康を蝕んでいる。これすら満足に解決できない。それが中国政府である。

 

今回の新型コロナウイルス発症は、医療現場で感染症防疫体制が完全に抜け落ちていることを露呈した。その例を示したい。

 


(1)中国国内の医療現場では、防護服、N95防護マスク、医療用ゴーグル、手術衣などの必需品が不足している。
1月27日、湖北省に隣接する江西省新余市人民医院はSNS上で、防護服、N95防護マスク、医療用ゴーグル、手術衣、検査キット、消毒液、赤外線体温測定器などの寄付を呼び掛けた。呼び掛け文とともに、レインコートを着た4人の医師の姿がある。防護服がなくなったため、同病院の医師らは防護服の代わりにレインコートを着て、医療活動を行っている。『大紀元』(1月31日付)が報じた。

 

(2)武漢市には、新型コロナウイルスの検査キットが置いてある病院は10カ所しかない。数千人の患者に対して、病院側は10個、または100個の検査キットしか提供できないのが現状だ。検査キットをもらえない患者はみな、新型肺炎の感染の疑いがあると診断されている。こういう人たちは、患者の89割を占めるだろう。110番で2時間ダイヤルして救急車を要請しても、なかなか来ない。市の救急車は全部出動していると言われた。武漢市内は今、まるでゴーストタウンだ。『大紀元』(2月4日付)が伝えた。

 

武漢市の現状は、「生き地獄」そのものになっている。これまで、感染者数が比較的少なかったのは、検査キットが不足している結果にすぎない。新型コロナウイルス患者として、認定されずにいる人が多いのだ。この結果、治療も受けられず自宅療養を迫られている市民は、死を待つしかない冷酷な現実が待っている。

 

今回の新型コロナウイルス事件は、中国の根本的な矛楯を浮き上がらせた。

 

第1は、昨年12月に武漢市の医師が、SNSで新型ウイルスでないかと投稿した。その際、武漢市は社会的な混乱をもたらすとして、削除するとともに「始末書」を書かせて隠蔽した。武漢市長は後に、そのような情報を発表する権限が地方政府に与えられていないと発言した。言論自由な社会であれば、すぐに対応できたはず。ここまで感染者が増えることはあり得ないのだ。今回の感染症大流行は、中国のトップダウン型統治機構の脆弱性が生んだものである。その打撃は、中国はもちろん世界中に及ぼし、大変な被害を与える結果となった。

 

習近平国家主席は常々、「中国式社会主義」と称して世界に誇る政治経済システムであると誇ってきた。その結末が、今回の新型コロナウイルス発症である。(つづく)